3話:ユニオンソード
ガーディアンの詳細な大きさは決めてなかったりします。
俺は意を決して、扉の向こうへと足を踏み入れた。
――ズゴゴゴゴ。
数歩、足を進めたところで背後の扉が鈍く閉じる音が響いた。
「閉じ込められた!?」
定番だ。遺跡ではよくある、入ったら最後、出られないパターン。
そしてその解除方法は決まっている。
この部屋の守護者を倒すことだ。
薄暗がりの向こうに、赤く光る何かが――三つ、ゆっくりと浮かび上がった。
「でかい! 中型どころじゃない……!」
闇から巨体が、ゆっくりと姿を現す。
この広さは、こいつのためだったんだ。
大型ガーディアンを見る。小型とも中型とも違い二足歩行。
左腕はハンマーが備え付けられており右腕は丸鋸になっている。
こんな巨大な奴に攻撃されたらひとたまりもない。
だが見る限り動きは緩慢なようだ先手を打てば光明が見えるかもしれない。
雷撃兵装を最大チャージして赤い三つ目に放つ。ガーディアンは光ってるところが大体弱い。
シュン……
雷槍はむなしくかき消された。
そしてどんどん大型が近づいてくる。近づくにつれ動きが緩慢だと感じたのはあまりにも大きかったからだった。
あいつの間合いに入れば、一撃で終わる。
俺は距離を保ちながら、横に回り込もうとする。
弱点を探すためだ。
だが、広間は無駄に広すぎた。遮蔽物も少ない。
柱を見つけ、俺はグラップリングガンを撃ち込んで一気に移動する。
「……相当きついな、これは」
装備のリソースがじわじわ減っていくのを感じていた。
魔力も残弾も限界が近い。
そのとき――
ガーディアンが両腕を大きく広げた。
そして、上半身ごと回転を始める!
「嘘だろ……!?」
回り込んでも意味がない!?
あのハンマーと丸鋸が、回転の遠心力で迫ってくる――!
大型は柱をガンガンと破壊しながら、確実に迫ってくる!
俺は必死に、グラップリングガンを駆使して逃げ回る。
一瞬でも止まれば、あの回転兵装に巻き込まれる――
「くそっ……!」
柱の残りも少ない。逃げ場がない。
そして――
ポシュッ
鈍い音とともに、グラップリングガンの魔力が尽きた。
ワイヤーは途中で垂れ下がり、ぶら下がった俺の体が傾く。
「ここまで……か」
諦めとともに地面へ落下しようとした、その瞬間――
「――ようやくだね」
優しい声が、頭の奥に直接響いた。
「……え?」
突然、足元の床が崩れ落ちる。
眩い光が俺を包み込んだ。
光を抜けた先俺は異質な空間にいた。
そしていま俺の目の前には、これまで見たこともない――いや、“完成されすぎている”とすら思える遺物があった。
赤黒い金属光沢を放ち、まるで剣のような形状をしたそれは、ただ静かに横たわっていた。
「こんな遺物、おじさんの話でも聞いたことない……魔剣、じゃないよな」
大型ガーディアンに歯が立たず、逃げるように落ちた先。
この部屋には出口も、他の道もなかった。ただ、そいつだけがあった。
息を飲み、俺はそいつの“柄”に手を伸ばす。
その瞬間――
「融合……せよ……全て……を……」
頭の中に、掠れた、だが確かに“声”が響いた。
「……ユニオン……ソード……?」
「これが名前……なのか。まさか、魔剣……!?」
次の瞬間、信じられない量の“剣技”と“記憶”が、怒涛のように流れ込んできた!
「ぐ、ああああっ……頭が、割れる……!」
意識が闇に落ちる中、俺の全身は光に包まれ、どこか別の場所へと引き寄せられていった――。
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