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第三話 欠陥と完璧の境界線
ユウリは倒れたまま、ナユタの背中を見ていた。
(……なんだ、あいつ)
自分の能力を模倣し、再構築し、完全な“死角”を突く。
あの一瞬に、あいつは──何を見た?
そのとき、シイナのもとに一枚のファイルが届く。
【機密通知:対象個体 君影ナユタ】
「当学園の枠組み外存在。既存理力体系に該当せず」
「過去記録不明、特級観察対象──」
シイナは、それを読みながらそっと口元を綻ばせた。
「──面白い。学園を壊し得る唯一の異端。なら、私が矯正する」
“制度”を守る者として、御鏡シイナは君影ナユタに照準を合わせた。