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第88毛 カミカクシ
頼る先は、ここしかありませんでした。
しかし、教会の皆さんも、顔色は優れません。
存在を無くされた者ではないからです。
しかも、敵対する隣国の者だからです。
ただ、私は必死に説明しました。
おそらく、彼にはスキルがある、と。
そのスキルのお陰で、ここまでこれた、と。
教会の皆さんは、真剣に話を聴いてくれました。
そして、『鑑定』なるものを使用しても良いかをきいてきました。
彼は黙って頷きます。
…
……
………
『カミカクシ』
そんな名前だそうです。
そしてこれは
ものすごく
ものすごく
貴重なモノだそうです。
教会の皆さんがザワザワとしていると
後ろに気配を感じました。
と同時に
彼もまた、気がついたようです。
いえ
おそらく私の「気がつく」と彼等の「気がつく」は、全然違ったモノだったかもしれません。
「気がつく」と
彼等は互いに顔を見合わせていました。




