第687毛 お願い
メ「……っ……」グスッ
一連の様子を見ていたメトリーにも
こみ上げるものがあり
涙が溢れる。
その『二名』の様子を
優しく見守り
二名が落ち着くのをシゲルは待つ。
…
……
メ「…失礼…致しました…」グスッ
シ「いえいえ。貴殿も、落ち着きましたか??」
「……オレ…ココニ………」
シ「はい。ここに居ます。今までも、これからも」
「……オレ……シゲル……シゲル……」
シ「む? 私の名前を覚えてくれたのですね。ありがとうございます」
「……シゲル…シゲル…」
シ「はは。何だか嬉しいですね。…さて、もう少しお話しもしたいですが、夜も更けています。本日は、まもなくお開きに致しましょう」
「……オ…ヒラキ………」
シ「はい。また別の機会に、多くのお話しができればと思います。…そのためには、ラックス達も交えて、色々と『気持ちの整理』をする必要がありそうですがね」
「!…ラックス…ラックス…オコル…」
シ「怒り、というのも、大切な感情であり、それをぶつけてくれる、という事は、ラックスが貴殿としっかり向き合っている証拠なのですよ」
「……ムキ…アウ………」
シ「はい。それに、私も立ち会いましょう。言葉が足りなかったり、齟齬があるようなら、私の方でも少々補足致します」
「………ラックス…ラックス…ナカ…ナカヨ…ク……」
シ「そうですね。ラックスも、今の状態を良しとは思っていないはずです。なので、腹を割って話していきましょう」
「……ワッテ……ハナス…」
メ「……良かったですね………ぁ…」
シ「む? どうしましたかメトリー氏」
メ「…はい………」
メトリーは
暫し考え込む素振りを見せる。
メ「………シゲル様、ひとつ、お願いがあります」
シ「はい」
メ「…この子に、『名』を、授けていただけないでしょうか」




