第683毛 相反
…
……
………
その場は
騒ぎを聞きつけたボタニストさんが収めてくれた。
俺は
簡単な事情聴取で済んだ。
『絡んだ理由』を彼等はボタニストさんへ話していたが
『依頼を受けるうえで、家柄は関係ない』
『私的な理由付けをしているのは、寧ろ絡んだ側である3名のほう』
と、結論付けられた。
それでも難癖をつけようとした彼等だったが
ボタニスト「問答無用!!とぉっ!!」バキッ
3名「「「ぐぇっ!!!!」」」ガシャーン
後から来たボタニストさんから、いきなり飛び蹴りをくらっていた。
もっとも
そのボタニストさんは『やり過ぎ』という事で
最初から対応してくれていたボタニストさんから
簀巻き(すまき)にされていたが。
ともあれ
その場から離れた俺はひとり
路地裏に来ていた。
衝動は
まだ
止まっていない。
ラックス「…ッハァ…ハァ………フゥ………」ダンッ
路地裏の壁に
背を預ける。
心の臓あたりをギュッと掴む。
ラ「………ハァ……お前………何をしようと……いや、何をしたかった??」ギリッ
…
……………
ラ「………お前……また……『枯らそうと』しただろう………」
……
………ラ
……ラックス……
ラ「!!……お前……名前を………」
……
……ラックス……
ラックス………セ…
セイ……
セイ……チョ……
ラ「何だ?? 俺のせい、とでも言うつもりなのか?」
…
……セ………セイ…………
チョ……セイ……
ラ「?? 上手く調整ができていないのは、認めるけど……だからってアレは、やり過ぎだ。勝手にヒトを枯らしちゃダメだ」
……
……ラックス……ラックス
……マ……マ……
ラ「?? マ?」
……マ……マ……マモ………
ラ「? 『魔が差した』とでも言うつもりか? それで済む話ではないよ」
………マ………マ………
ラ「……ふぅ………いいか。確かにボクは、お前というチカラ……『スーパーリッチ』の扱いが、決して上手くはない。でも、そもそも俺は、チカラ…スキルに頼りたくないんだよ」
………ラックス……ラックス………
ラ「……俺は、誰かを枯らしたりはしたくない。『肥やす』ことも……ただのリーブの民のひとりである俺が、誰彼構わずやっていいことじゃない。…だから……申し訳ないけど『余計な事はしないでくれ』」
……
……ヨ……
……ヨケイ……
……………
ラ「………それに、言うつもりはなかったけど………お前……その………エルターお母様のとき、何かしでかしただろう」
……!!
………エ……
エルター………
……シデ……
シデ………カ………
ラ「………何をした? ……母上が憎かったのか?? ……それとも………キュレルが??」
……
………ニク……
ニク………カラ……
カラ……シ…タ………
シ……タク………
カラ…カラ………カラ……………
ラ「………っ………」ギリッ
ラックスは
深く息を吸う。
ラ「いいかよく聞け」
……
………
………
ラ「…今後、俺の家族に手を出そうとするなら、容赦はしない。…俺自身がどうなろうと、お前を止める。…忘れるな」
……
……ラックス……
……ラ………
カラ………
カラ…カラ……………
ラ「………とりあえず、少しばかり受け答えができるようになったのはよかった。受け答えができるなら、俺の想いも分かるだろう。…頼むから、もう出てこないでくれ」
ラックスはそう言い
ゆっくりと歩き出した。
ミタマ(この場合、心)は
どこが空虚に感じられた。




