第671毛 各々
※第658毛 己 の続きです。
…
……
………
キュレルは
すくすく育っている。
生命力が強そうだ
と
医師に言われた。
キュレルは
妻
エルターが見守っていてくれるだろうか。
…
エルター………
君は………
どうして………
ドウシテ……………………
…
……
………
母は偉大だ
リッチ家を裕福に
何不自由のない基盤を創り上げてくれたらしい。
父は偉大だ
そんな基盤に臆さず
自身が柱になると決意して
家族のため
このネイチャー王国のみならず、国外へも顔を広げてくださった。
キュレルは大切だ
母の『ミタマ(この場合、生命)』と引き換えのように
このセカイへ生まれ出でてくれた
よく笑い
よく食べ
よく遊ぶ
幼子として、成長に必要な環境を与えられているのは
ひとえに、父のお陰だと思う。
ただ
気の所為かもしれないけど
キュレルは時々 フッと
寂しそうな顔を見せる。
何かが足りないような
誰かを探しているような
でも
もうどこにも居ない と
分かっているような
そんな顔を見せる。
キュレル
君も
寂しいのかな
俺は
あの時
なにも
なにもできなかった。
母上は
俺のせいじゃない、と言ってくれた
けど
あんなに元気で
『生きる(活きる)チカラ』が漲っていた母上が
…
……
俺は
俺は
何かできているのか
家族のために
何かを成し得ているのか
お前は
ナニをしたいんだ?
なぁ…




