第55毛 暗躍
シ「すみません。それで、椿とは?」
ゴ「はい。そもそも、国力、そのままの意味で国の力とするなら、単純に土地や人が多い方が強くなります。あまりにも環境に適応できないという場合を覗いて。これはすなわち、単純に国土面積が小さい国は様々な対策を講じなければならないと言う事です」
シ「そうでしょうね」
ゴ「あえて『小国』という言い方をしますが、そのような国は、試行錯誤しながら、国を守る必要があります。それこそ、表には出せない事も」
シ「その一端が、椿だと??」
ゴ「…はい。隣接するコウセイ帝国は、今でこそ表向きはこちらと友好国ですが、かつては対立していまして。独裁的な支配のもと、国家に仇なす者を徹底的に排除しているという噂もたちました」
シ「なるほど」
ゴ「当初は、そもそも内密なものなので一切名前は出ませんでした。ですが、数多の戦で破れ、国家崩壊の危機に陥った時、裏の取り組みをもみ消そうとした当時の帝の結果、『椿』という暗殺者集団の名が表に出てしまったのです」
シャルル「………」
パ「当時はこっちも緊張状態だったと聞いて…おります。なかには、椿から亡命してきた方毛いたとか」
ゴ「はい、その通りです。いきなり表舞台にさらされた椿は、そのままいきなり解散…というか、他国への見せしめのために、処刑されました」
シ「………そうですか」
ゴ「ただ、それも含め悪政を働いた帝が病で倒れ、次代を受け継いだ新帝の采配が優秀だったこともあり、国としては何とか持ちこたえました」
シ「そうですか…」
ゴ「当然、処刑も含め、椿の残党は片端から捕らえる風潮であったほか、『椿を捕らえる椿』なる者たちも出てきました」
シ「堂々巡りですね」
ゴ「繰り返す、という意味でしたら、正解です。結局、今の今まで、残党と処刑人とのいさかいが、国を越えで続いているのです」
シャルル「………」




