第563毛 『ミダレル』
…
……
………
エクステ「お兄ちゃん!」
ウェーボ「ん? なんだいエクステ」
エ「…お兄ちゃん…どこにも行かないよね…?」
ウェ「! …どうしたんだい? 急に…」
エ「…私、お父さんも、おじいちゃんも、尊敬してるの。世界を飛び回る大商人だし、いろんな事を知ってるし。もちろん。お兄ちゃんの事も!」
ウェ「…うん」
エ「…でもね、いつも…不安になるんだ…。お仕事はとっても危険で、何日も家を空けることもあるし…ケガをして帰ってくることもあるし…。それでも、帰ってきてくれるから、嬉しいんだけど…。でも、でも…『もしかしたら次は、帰ってこないんじゃないか』って…ひとりでお留守番しているときは、思うんだ…」
ウェ「…うん…」
エ「お兄ちゃんも、『情報屋』さんっていう、とってもカッコイイお仕事だと思う!!…でも、お兄ちゃんも、同じように、危険…なんだよね??」
ウェ「……そうだね…」
エ「!! ……お兄ちゃん…」
エクステは、ウェーボをジッと見据える。
ウェ「…うん」
エ「…どこにも、行かな…ううん、『必ず、帰ってきてくれる』??」
ウェ「………」
エ「………お兄ちゃん??」
ウェ「……」
ウェーボは、一度目を閉じ、またそっと開ける。
ウェ「…うん。約束するよ。僕は、必ず、エクステや、シンシュークさんのところに帰ってくる。どんなことがあってもね」
エ「!!ほんと!?うん!!約束だよ!!」
ウェ「…うん。約束だ」
エ「良かった!!『指切りげんまん』ね~♪」
ウェ「…フフッ。うん」
…
……
………
エクステ「…お兄ちゃん…『さよなら』って、どういうこと?? …お兄ちゃん…どこにも…行かないよね…?」
ウェー「…エクステ、ごめん…僕は」
エ「なんで謝るの!?謝らないでよ!!約束したじゃん!!お兄ちゃんは、どこにも…いや、必ず、帰ってくるって!!どんなことがあってもって!!!!」
ウェー「………」
エ「お兄ちゃん!?」
シンシュ「……エクステ」
エ「! お父さん!!お兄ちゃんと一緒に、戦おうよ!!ぜったい、ぜったい、みんなで生きて帰るの!!そう、約束したの!!!!!!」
シンシュ「……」
ウェー「…エクステ…よく聞い…!!!!!!」
エ「ぇ……!!!!」
シンシュ「!!」
刹那
空間が
『乱れる』ような感覚を
皆が覚える。
???「…っち…きたか…」
イカレス「……ブハッ!!や、やっと解いた…くそ…」ゼーゼー
???「…イカレス…もたもたしている暇は…なさそうだ…」
イカ「…ぁあもう…ことごとく上手くいかないね…ハァ…」
……………
その
空間が
歪む。
〚私の 場 を 乱すのは だぁれ?〛
その『声』が
皆の『ミタマ』に
染み込み始めた。




