第480毛 罵詈(ばり)
…
……
………
ぁれ……
私……
私は……
???「…っち…しぶといな…」
??「でも、ここなら永遠に…苦しみを味わわせてやれる…」
?「確かに…いい気味…」
…??
ぇ…この…声は…???
???「気が付いたか…ここは『ハザマのセカイ』。お前は…まぁ、死んだようなもんだ。ヒルデ」
ヒルデ「…え⁉」
??「…最期に、なんか邪魔が入ったけど…ある意味僥倖ね…あの黒猫は代償として死んだもの」
ヒルデ「…黒猫…??」
??「どうでもいいでしょ。それより、『この人たち』の事…覚えてる??」
ヒルデ「…え…」
徐々に
何もない真っ暗な空間へ
その輪郭が出現される。
ヒルデ「…!!…ぁ…アナタたちは…」
?「へぇ、覚えているんだ。『処理した者の事』なんて、きれいさっぱり忘れてるもんだと思ってたよ」
???「だな。心はあるってか? しゃらくせぇ」
??「ほんとほんと」
ヒルデ「……ど、どうして…」
?「お前が理由なんか知る必要はないよ。この人殺しが」
ヒルデ「…っ…」
気が付くと
幾人もの輪郭が見え始め
数多の人が
その場に現れる。
???「ほ~ら、ご登場だ。みんな、お前に殺られたヤツだぜ。可哀想によ」
ザワザワ…
ザワザワ…
有象無象が
ヒルデを取り囲む。
ヒルデ「…っ…」
??「ねぇ、私の事はわかる?わからないわよね」
ヒルデ「…?…」
??の方を向いたヒルデ。
??の言うとおり、『処理した記憶にない』人物であり、ヒルデは困惑する。
ヒルデ「……ぇ…ぇっと…」
??「…はっ、そうよね…。まぁ無理もないわ…。私はね、アナタに殺された人の妻よ」
ヒルデ「!!」
??は、ゆっくりと自らの左隣を見る。
??の左隣へ、別の輪郭が見え始める。
『ソレ』は
子どもの様相を呈している。
??「そしてこの子も…私と一緒に…」
ヒルデ「……まさか…」
??「まさか? そんな意外かしら? 私達は、愛する夫を殺されたのよ!!もう、生きる意味なんて、なかったの…」
子ども「…パパを…パパを…返して…」
ヒルデ「…ぁ……ぁ…」
…
その空間に『ある』
『抜け殻』が
僅かに動いたのを
誰一人、気付いていない。




