第463毛 前面
…
セレンディピティ共和国につき、オルビス(カラダはバルクザール)からテンカイ等での状況を聴いた日の夜
宿屋の廊下にて
アーデランス「………ふぅ……」
トテトテ…
トテトテ…
ヨル「ふんふ〜ん♪」
アー「あ、ヨルさん…」
ヨル「!! お姫様!!こんばんは!!」
ア「はい!! こんばんはですわ!!」
ヨル「あれ? お姫様、確か、モイスチャーさんと一緒のお部屋でお休みになられていたんじゃ??」
ア「あ、はい……ただ、ちょっと眠れなくて…その…」
ヨル「そうなんですね。確かに、昼間の話を聴いたあとだと、なかなか寝付けないですよね」
ア「あ…はい……。ヨルさんは、どうしてここに?」
ヨル「あ、私は何というか、少し1人(1猫?)で散歩したいな、と…。他国に来るのが初めてなもので…」
ア「そうでしたのね!! …でも、もう夜分ですが…」
ヨル「あ、生前…というか、この姿になる前は、夜のお仕事も多かったため、むしろ夜目がきくんです。あと、この黒猫さんのカラダにミタマが移ってからは、黒猫さんの元々の夜目の影響もあるようで…ますます目が良くなりました」
ヨルはその姿で、フンスと胸を張る。
ア「そうなのですね…」
その姿を可愛らしいと思ったアーデランスは
自然と
ヨルを撫でようとし
察知したヨルも
撫でられる体勢(?)になるが
寸前でアーデランスはビクッとカラダを震わせ
手を引いた。
ヨル「……?」
アー「…っあ……失礼致しましたわ……」
ヨル「………いえ…? …どうかされたのですか? …何だか…怯えているような……」
アー「………いえ………」
ヨル「?」
アー「……はぐらかすのは…失礼ですわよね……。…以前、ウサギさんを撫でようとしたとき、ウサギさんを怖がらせてしまい……その……『敵意』を向けられ………それで……」
ヨル「…あ!! 眠っちゃった、という事ですか??」
アー「………はい。ウサギさんも、私も……」
ヨル「…(というかそれって、私、ウサギさんと同じ感じに見られてる?)ぇ、えっと、ご事情はわかりました。でも、私はお姫様に、敵意を向けたりはしませんよ?」
アー「…ありがとうございます……。はい…そうだとは思っているのですが……」
「…心が覚えている感じなのですかね…?」
アー「……はい…」
ヨル「なるほど……私も、何となくわかります」
アー「え?」
ヨル「私、人様に誇れる仕事をしてきたとは、言えないので……。なんというか、誰かと仲良くなりたいと思っても、『自分の事を話したら、軽蔑されるのかな』って思っちゃって……こう、誰かと親しくなることに怯えてるんですよね…ウィッグ君や、ジン君に対しても、そうだったように…」
アー「ヨルさん……」
ヨル「…でも、シャルルやワイス様、勇者シゲル様に会って…もちろんお姫様にも!! …それで、ああ、こんな私でも受け入れてくれるんだ、前向きになって良いんだ、って、思えるようになったんです」
アー「………」
ヨル「上手く言えないですが、お姫様も、ご自身の『やりたい事』をもっと前面へお出ししても良いと思いますよ。今のみんなは、何があっても、受け入れてくれると思います。…私も、そうだったように…」
アー「……………私……」
モイスチャー「ご歓談中失礼致します」
アー「!!」
モ「姫様…探しましたよ…」ゴゴゴゴゴ
アー「ひぃっ!!」
モ「…まさか私がカラダを洗っている間に、部屋を出ているなんて……油断しました…」
アー「し、失礼致しましたわ……」
ヨル「………(すっごい、敵意むき出しのように見えて、ただの圧…モイスチャーさん、さすが……)…!! ハッ…こ、この『気』は…」
ヨルが『気付き』、振り向こうとした瞬間
ガシッ
ヨル「ウギュッ!!」
首根っこを掴まえられる。
エッシェンシャルル「探しましたよ泥棒猫」ゴゴゴゴゴ
ヨル「どろっ…!? しかも、しっかり敵意!!というか、殺意!!」ガクガクブルブル
シャルル「まったく、何も告げず、いきなり部屋から出ているなんて……心配したじゃないですか…」
ヨル「ご、ごめんなさい…」
シャ「やりたいことがあるのは大変結構ですが、一言述べてからにしなさい」
ヨル「はい………」
モ「姫様もですね」
アー「…はい……」
ジジ…
《眠 姫 自身に危害が及 そうになった際、自身に敵意 持つ 象を眠らせる。同 に自身も る》
ジジジ…
《眠 身に危 が及 そうになった際、自身に 意 持つ 象を眠らせる。同 に 身も る》




