第444毛 時を忘れて
それから
民の噂は絶えず
擁護派と
懐疑派で
諍いもおきました
街では度々
建物が壊れるまでの揉め事も起こっています。
爆発なども相次いでいる、と…。
バンテリン王は「民への説明の機会」を探っているようです。
…あの時『聴いてしまった』事を加味すると、そう簡単ではないのかも知れません。
…
……
それに…
御婦人「勇者様…すみませんねぇ…私のミタマは…ここまでのようです…」
教会のベッドにて、息も絶え絶えに話すお方。
この方は、大変貴重らしい『時忘れ(ドライフラワー)』というスキルをお持ちで
『タブレットごと』召喚された私の…といいますか、『私のタブレット』のバッテリーを
勝手知ってる訳でもない中、繋ぎ止めてくれていました。
でも………
御婦人「…勇者様……私のせいで、街中へも行けず、本当にごめんなさいね…」
コーデルワイス「いえ!! 貴方のお陰で、私はここまで成し遂げることができました。どうか、ご自身を責めないでください!! 」
御婦人「フフフ…相変わらずお優しいのね……。でもね勇者様、アナタは、『アナタらしく』生きても良いのよ?」
コー「!!」
御婦人「まぁ、『こちら側』の私がいうのも何ですが、アナタは充分に、与えられた責務を全うしていると思っています。もちろん、民や国は、これからも続いていくけれど…アナタが、アナタ自身を犠牲にしてまで導き続ける必要は、もうないのです」
コー「………」
御婦人「…ゴホッ…それともう一つ……件の、揉め事だけれども…」
コー「…はい……」
御婦人「オルビス様が仰ってましたよ。あれはね、『原因はハッキリしている』らしいです」
コー「………」
御婦人「あら、その様子だと、察しはついていたようですね…。『権力者』達がわざと騒ぎをおこし、かつ、爆発なども『原因不明』だと吹聴した形なんですよ…。腹立たしいことにね」
コー「………やはり……そうですか……」
御婦人「アナタは、それでも、この国の為に動こうとしてくれるかも知れませんが…私としては、もう、充分かと思いますよ。……アナタの『時間』も、進み始めてしまうので…ヴッ…ゴホッ!!」
コー「!!」
御婦人「…勇者…コーデルワイス様………アナタは…アナタらしく………」
………
………
………
バンテリン王「…『時忘れ(ドライフラワー)』のスキル保持者が亡くなったか……。勇者コーデルワイスの『バッテリー』とやらは、もう、我が国のチカラでは止められぬ……」
?「王!! それでは…民たちの混乱は…いかが致しましょう…」
バ「………教会とも話し合ってみよう……。勇者コーデルワイスが成し遂げた、新たな様式は、変えずにしていかねばな…」
??「………」




