第438毛 張本人
シ「…皆、臆しているのか? それとも…」
パ「……ぁ…」
シャ「勇者様」
パ「!!」
シ「む?」
シャ「……その…大変申し訳ないのですが…先日、聞いてしまいしました。……パンテーンとの会話を…」
シ「…!!…そうか…」
ア「………」
シャ「…勇者様……勇者様は、わ…いえ、姫の気持ちをご存じですよね? …でも、やはり…」
シ「………そうだな。この際、ハッキリ言っておこうか」
シャ&ア&パ「「「!!」」」
シ「…私は、パンテーンを愛している。…別に皆の事が嫌いと言う訳ではないが、私に関して特別な感情を抱いているならば、それには応えられない」
ア「……………ッウ…」
シャ「………勇者様……」
シ「まぁ…なんだ…。あまり言いたくないが、アーディ。貴殿は少し『自分勝手』だな」
ア「!!」
パ「!?」
シ「まず、前にも話したような気もするが、私は別に望んでこちらへ来た訳ではない。不本意ながらも前に進む道を選びはしたが、帰れるならば一刻も早く帰りたい」
ア「………」
シ「『お告げ』とやらに左右されたとはいえ、貴殿は私を理不尽に呼び出した張本人だろう? それだけでは飽き足らず、私を貴殿のモノにまでしようとするのは、些か考えられないな」
ア「…ッウ…ご……ごめんなさ……グスッ…」
シ「泣かれても困るな…。私が悪いみたいになるじゃないか……。まぁ、そういう訳だ。何か異論はあるかな?」
シャ「………ぃえ……ただ…」
シ「ただ?」
シャ「…私も、自分勝手に発言します。…申し訳ありませんが、私は…ここで旅を終えたいと思います」
ア「!!」
シ「ほう」
シャ「勇者様の仰ることは最もです。反論はありません。そして…私も、勇者様へ特別な感情を抱いて…いました」
シ「ふむ。過去形か」
シャ「はい。……あくまでワガママです。…お許しください」
シ「許すも何も、ついてきてほしいと頼んだ訳ではない。好きにすると良い」
シャ「……そうでしたね。…わかりました」
シ「うむ。…何だか気まずい空気になったが、まぁ良いか。よし、パンテーン、さっそく」
パ「違う」
シ「む?」
目を閉じて会話を聴いていたパンテーンが、目を開き話す。
パ「………ここは、どこ? …そして、『アナタ』は誰?」




