第426毛 後方
…
……
………
シャルル!!
シャルル!!
おい!! シャルル!!
……?
………ぁれ……
………私は……
エッシェンシャルル「……ん……ここは……」
???「いつまで寝てんだ? そろそろ野盗狩りを再開するから、お前もこいよ」
シャ「……野盗…狩り?」
??「まだ寝ぼけてるんですか? ヒノキ帝から依頼を受けたじゃないですか。『山林部を根城にしていると思われる野盗を滅せよ』って。シャルルさん、大事な回復役なんですから、ついてきてくれなきゃ困りますよ」
シャ「……そう…そうでしたね…。大変申し訳ございません」シャルルは頭を下げる。
???「けっ。あと再度言っておくが、自分の身は自分で守れよな。後方支援組で、かつ回復役は一番狙われやすい。それなりの護身術はできんだろ??」
シャ「……はい」
??「よしよし。くれぐれも途中でやられないでくださいよ」
有象無象「…おーい!! 出発するぞ〜!!」
???「よし!! いっちょシメに行くか!!」
……………
???「っかぁ〜〜疲れた!!」
??「少々腕の立つヤツラでしたね」
シャルル「皆様、お疲れ様です。『エクストラダメージケア』」
???「…おいシャルル、お前のこのスキルは、もちっと強力にできねぇのか? さっきもチマチマした回復で、治ってんのか治ってねぇのかわからなかったぜ」
シャ「………申し訳ございません。これが、今の限界でして……」
???「っち……そうかよ……パンテーンだっけか?最近出てきたヤツがいるよな。アイツもなんか回復系のスキル持ちのようだぜ。だが前線に出て戦える分、お前より重宝するんじゃねぇか?」
シャ「………パンテーン……ですか…そうですね……私は、まだ会った事がありませんが…」
??「でもあの人、なんかとっつきにくい感じなんですよね。明るいけど、一定の距離を置いてる感じで」
???「確かにな。まぁ、顔は悪く無かったから、モノにできればとは思うが」ニヤリ
シャ「……………」
???「ってかシャルル。お前も、俺みたいな強い男の専属になるなら、まぁ守ってやらんこともないぜ?」
男は、薄ら笑いを浮かべながら、シャルルの肩へ手を回そうとする。
スクッ
シャ「…いえ、お気持ちだけ、有り難くいただきます。……他の皆様の回復に、行ってきますね」
シャルルはその手をするりと躱し、その場を離れようとする。
??「そんな調子では、アナタ、いつか死にますよ」
そんな声を背中に受けながら、シャルルは他のヒトビトのもとへ歩き出した。




