第425毛 奥底
ス「…ッグ……メ、メトリー……血迷ったか…」
ラ「!! ハッ!! そうですよ!!父上になんてこ」
メ「黙りなさい」
ラ「!?…っぅ…(なんて、冷ややかで鋭い眼差し…)」
メ「………少し、思い出してきました。…私は…もうキュレルを取り戻し、そして………ああ、勇者シゲル様と、大切な家族、仲間とともに、旅をしているのですね…」
ス「………何を、言っている? また創作物でも読んだのか?」
メ「…昔を思い出す事は、非常に感動…ミタマ(この場合、心)が動きましたわ。大変刺激的でした。…ただ、少々浅はかでしたね」
ラ「あ、浅はか??」
メ「ええ」
メトリーは、ラックスとスカルプをゆっくりと一瞥する。
メ「貴方がたは、私の家族を侮辱したのですよ」
ス「………なに?」
メ「はぁ。全く。失礼も甚だしいです。良いですか」
メ「スカルプ様も、ラックスも、そしてキュレルも。『あんな事』は、決して言いません」
ラ「……………」
ス「…そ、そんなこと…わからな」
メ「わかりますよ。寧ろ、お前たちがわかった気でいるな!!」
ス「!!」
メ「スカルプ様は聡明で、厳しさも含めた優しさがある。ラックスは頼りなさげに見えますが、本人は誰よりそれを理解し、また誰より自分を高めようと努力している。そしてキュレルは、あの一件以降、自分のチカラとその経験を、他者へ活かそうとしている。そんな私の愛しい家族を、お前達は踏みにじった」
メトリーの周りが『揺らぎ始める』。
それは、メトリーの怒りに呼応するかの如く、揺ら揺らと動いている。
ラ「………ック……」
メ「………(なんだ……これは……まるで……)」
………
パリ…
パリパリ…
………
メ「確かに、私は過ちを犯しました。スカルプ様もラックスも、キュレルも、私に対して様々な想いがあったことは当然かと思います。でも決して、決して皆、あのような言い方はしない」
メ「謝罪しなさい。私の家族に。私ではなく、私の家族に。さぁ!!」
………
メリ…
メリメリ……
ピシ…
………
スカルプ?「………ふっ……君は…やはり凄いな…」
ラックス?「……ええ、そうですね」
メ「? なんですか?」
………
ピシピシピシ……
パリーン
【克服しました。元の場所へ戻ります】
………
メ「!!」
???「…時間…か…いやはや、恐れ入ったよ」
メ「………アナタ達は…」
???「…済まなかった。」
??「ごめんなさい」
メ「!!」
???「ただね、君は一つ勘違いをしている」
メ「勘違い?」
???「ああ。もう時間がないから要点だけ言うが、我々は『君の家族の想いの一部』だ」
メ「!?」
??「つまり、抑え込んではいたけど、確かに思っていた感情ってことです。ま、この感情より、先程アナタが言っていたような『想い』が強かったからこそ、この感情…俺たちは、おしこめられたまま、表にでることは無かった」
メ「……………」
???「いいかいメトリー。確かに、私達は家族として、互いに信をおいている。ただな、やはりミタマ(この場合、心)にいちもつが巣食うことはあるのだ。それを、増幅させようとする輩も、きっと出てくる」
??「忘れないでください母上。俺たちも、アナタの家族で、アナタたちの『想い』の一部であったことを」
メ「…………………そう、だったのですね………」
メトリーは
光に包まれる。
メ「………スカルプ様!! ラックス!! ……私、私は……」
そして
その『空間』から
メトリーは消えた。
…
……
………
メトリー「………この刺激には………色々と思う所がありますね……」ブツブツ
シ「……………おかえりなさいメトリー氏」




