第421毛 シン=メトリー
ス「敢えてこのような言い方をして申し訳ありませんが、貴方は、決して裕福な家に暮らしている訳では無い。…『住むセカイ』は、少し違うのだというのは、わかりました。…ただ、ただね…貴方の『目』は、どこか彼方を見据えているようでした。…いえ、過去形ではなく、今も」
メ「……………」
ス「私はこの邸宅の主として、それなりに振る舞ってきたつもりです。そんな私でも、貴方の凛とした姿勢、所作は美しいと思います。しかしながら最も美しいのは、貴方が常に『新しい何か』を求めているような、現状に満足はしない、というような、そんな『目』かと思っています。だからこそ私は、貴方とともに『これからを共に変えていきたい』と思っています」
メ「…スカルプ様……」
ス「改めまして、『メトリー・シン』さん。ボクと一緒に、新しい人生を歩みませんか?」
メトリー・シン「………はい!! スカルプ様!!」
ス「!!よ、良かった……」ヘナヘナ
メトリー・リッチ「フフフッ♪」
…
……
………
キュレル「…ウッ…ウッ…グスッ………お母様……」
コンコン
キュ「!! は、はい!!」ゴシゴシ
メトリー「…キュレルちゃん? 入っても大丈夫ですか?」
キュ「は、はい!! 大丈夫です!!」
カチャッ
メ「…眠れないのですか?」
キュ「ぁっ、い、いえ、あの!! ほ、本に夢中になっちゃって………『メトリー様』、ごめんなさい…」
メ「…いえ……」
キュ「も、もう大丈夫です!!」
メ「…そうですか…わかりました…」
メトリーは
部屋の扉に手を掛け
…
振り返る。
メ「…キュレルちゃん」
キュ「!! はい!!」
メ「…泣いても、良いのですよ」




