第28毛 利き手
シ「入れ替え、は、有機物にも適応する。と想定した上で、城内を見ていたら、あの絵に目をとられた」
パ「あの肖像画、なんで気になったの?」
シ「私が左利きだからだ」
パ「え?」
シ「字は右に直したがな。何の気になしに目をやると、左手にモンブランを持っていた。もちろん、肖像画のモデルの角度だとか、色んな理由で利き手と逆に持ったという事も考えられるが、基本的に筆は利き手に持つものだ」
パ「確かに…」
シ「で、妹君のお部屋に入ると、彼女は書物を置きながら書き物をしていた形跡があった」
ラ「確かにそうですね。だから俺は、勉強でもしていたのかと」
シ「内容はどうあれ、気になったのは書物と紙の位置だ。書物が右側にあった。右の利き手の場合、書物は左、紙は右にするはずだ。まぁ、上下の場合もあるが」
メトリー「………。」
シ「隠していたのかはわからないが、おそらく人前では右で書いていたのだろう。それかそもそも、人前で書き物等をしないようにしていたか」
ラ「…失踪後は、学園も休学…と言いますか、自主学習という形にはしていました。使用人で学のあるものに、度々見させてはいましたが、特に利き手については…」
シ「ま、そこら辺はもう良いだろう。とりあえず、ギモンが増したから、妹君に聞いてみたわけだ、あの『右手でピースしていた』肖像画は自分たちで間違いないか、と。」




