第303毛 真意
パ「…ぅ…ヴッ…ぅう……グスッ」
宿に戻ったパンテーンは、部屋のベッドで泣いていた。
コンコン
シャ「…パンテーン……今良いですか??」
パ「………シャルル…グスッ…」
シャ「…入りますよ」ガチャッ
パ「……まだ…良いって言ってない……」
シャ「沈黙は肯定かと思ったので」
パ「……………」
シャ「…座っても?」
パ「………どうせ…勝手に座るくせに…」
シャ「あら、よくわかっているじゃないですか」ギシッ
シャルルはベッドへ腰を掛ける。
パ「…アタシ…何やってんだろ……。ただ、シゲルが元の世界に、好きな人がいないかを、聞こうと思っただけなのに……」
シャ「…まぁ、完全に後半は、姫に抜け駆けしようとしていましたね」
パ「………グスッ……」
シャ「…パンテーン」
パ「………なに?……」
シ「…アナタは、勇者様…シゲル様から言われた事、とっていた態度、その真意を考えようとはしないのですか??」
パ「………え?……」
シャ「まったく、アナタは相変わらず、直情型なんだから……。そもそも、シゲル様がなぜ、『宿ではなく外に出て話をした』か、疑問に思いませんか?」
パ「………ぇ……ぁ……そういえば…」
シャ「シゲル様は、先程の勇者ハルトさん達の件で『勇者様の帰還』に関する話が危ういという事を理解しました。その上で、アナタの態度と声掛けから、その『危うい話』になると察したのです」
パ「……!!」
シャ「室内の方が、何かしらの『第三者』に見つかりにくい、とも予想はできますが、シゲル様は『万が一の為の助け舟』が来やすい、外、街中を選択されたのだと思います。人目につきやすいという事は、多くの手段があるという事でもあるので」
パ「……………」
キュ「……シャルルさん、さすがなのです」コソッ
メ「…ハッキリと言える仲が良いですね」コソッ
ヨ「勇者様…シゲル様…やっぱりすごい…」コソッ
コー「……………」コソッ
パ「………(外よりも、みんなバレバレ……)」




