第290毛 裏腹
シ「突然話しかけてしまい、モウし訳ございません。お聞きしたところによると、貴殿『も』異世界から召喚された勇者で間違いありませんか?」
他勇者「あ?ああ…って、貴殿もってことは、まさかてめぇも…!?」
シ「はい。申し遅れました。隣国であるネイチャー王国から召喚されました、ミノキシゲルとモウします。フサフサです」
他勇者の仲間1「は?どうみてもヅラだろうが」
シ「誰がカツラだ」
他勇者の仲間2「いやアナタですよ」
パ「シゲル、話とアタマがズレてる」
シ「誰のアタマがズ…失礼致しました」
他勇者「……てめぇも…魔王を倒しに行くのか…!!元の世界に帰るために…」
他勇者が殺気を示す。
シ「いえ、ちょっと違います」
他勇者「あ゛あ???」
シ「確かに、元の世界に帰る事が目的ではありますが、私達は、魔王ヅーランダーとやらに現実を突きつけ…失礼、話を聴きに行くのです」
他仲1「はぁ??話だぁ?話す事なんかねぇだろ、魔王をぶっ倒さなきゃコイツが帰れねぇんだろうが!!」
シ「それは、誰から言われました?」
他仲1「は?誰って…」
他仲2「こら。余計な事は喋らないで。これがコイツの作戦かもしれないよ」
他仲1「…っち…」
シ「そんなつもりは無いのですが…では、勇者様にひとつだけ、お聞きしたいです」
他勇者「………なんだよ」
シ「………なぜ、望まぬ暴力をふるっているのですか??」
他勇者「!?…なっ……」
他仲2「!!…(…コイツ……)」
パ「え??望まぬって、シゲル、どういう…」
他勇者「知った風な口を聞くんじゃねぇ!!」
他勇者が叫ぶと、周りの建物が微かに揺れた。
他勇者「てめぇにも、事情はあるんだろうが……おれは、誰よりも早く魔王を倒して、誰よりも早く帰るんだよ……俺には…時間がねぇんだ………」
コー〘……………〙
シ「………時間?」
他勇者「…悪いが、もうこれ以上話す必要はねぇ。…それで?俺達とやる気なら、相手になるぜ」
………
空気がピリつきはじめた。




