第237毛 踏み込める力
それから
コー「ごきげんよう。コーデルワイスです」
ヒ「………」
彼女は、事あるごとに私の前へ現れました。
ヒ「………ヒマなのですか?」
コー「いえいえ、それなりに忙しいですよ。でも、アナタは何だか、放っておけなくて」
ヒ「………」
…………………………
コー「今日は何か、良いことがあったのですか??少し、お顔がスッキリしているように見えますよ」
ヒ「……何でもない…です…」
コー「さては、例の双子ちゃんから何か言われたとかかな??」
ヒ「!?見ていたの…??」
コー「随分あっさりと引っかかりますね」
ヒ「……………」
…………………………
ヒ「…よくもまぁ飽きずに…」
コー「アナタも、ある意味『身寄りがない』ようなものですからね。…とは言っても、最近のアナタは、『活きる』力が強いように感じますが…」
ヒ「………私には…生きる価値なんて…」
コー「『生きる』価値は皆平等にあります。あとは、どう生きるか、そして、『活力』を見いだせるか、です」
ヒ「………活力……」
…………………………
ヒ「……コーデルワイスさん…」
コー「なんですか??」
ヒ「私のやっている事については、何にも聞かないのですね…」
コー「聞けば、教えてくれるのですか??」
ヒ「………」
コー「ふふっ、失礼しました。…そうですね、気にしていない訳ではありません。ただ、私はまだ、『そこにキチンと踏み込めるだけの力がない』ので、とやかく言う資格はないかなと、思っています」
ヒ「…力??資格?」
コー「ややこしい言い方をしてしまいましたね。要するに、アナタの事情は、きっとこの国の事情が関与しているのでしょう。そこに踏み込むことは、私には『まだ』できないのです」
ヒ「……………」




