第179毛 反発
女性「はい…。実は最近、ワイス様が公の場に姿を見せなくなっており…」
ヨ「!!」
男性「先程の制度、国民を平等に扱うという意味では、非常に好感を得ました。ただ…」
シ「富裕層の反発、とかですかね」
男性「!! その通りです。鋭いですね」
シ「フサフサですから」
パ「それはいいでしょ」
女性「そもそも裕福な方々は、何かあっても、いつ何時でも治療を受けられていました。しかしながら現制度では、どんな人であれ『順番』『優先順位』があります。ケガや病気の程度、単純に治療へ訪れた順番、などです」
シャ「……そうでしょうね」
男性「富裕層の不満は募り、いつしか『コーデルワイスは国家反逆者だ』という者も出てきました。これまでの伝統に水を差す気か、と…」
女性「そんな声が1人や2人じゃなくなってきた頃、巷で『おかしな事件』が度々起こるようになりました」
パ「おかしな事件?」
男性「はい。一番多いのは、先程もあった『爆発』です。あれは、ボタニストさんや教会の方が色々調査しても『明確な原因がわからない』そうなんです」
シ「ほう」
女性「スキルでもなければ、何かを用いた形跡も調べた限りでは見られない。なので段々と『神がかりな奇跡』を使って事件を引き起こしているのでは、ワイス様はもう、この国を見限ったのでは、と言われ始め…」
パ「なんかひどい話ですね!!証拠とかはないんですよね!?」
男性「そうですね。ただ、『証拠が見つからない』ことが、逆にワイス様の仕業じゃないか、となる要因でもあり…普通の人なら、必ずボロが出るはずだ、と………」
パ「それも当てつけですよね」
シ「まぁまぁパンテーン。この方々が悪いわけじゃない」
パ「あっ…すみませんでした」
女性「いえ。お怒りはもっともです。なので、私達もそうですが、国民の多く、特にワイス様がお作りになった制度によって救われた者達は皆、ワイス様のご帰還と潔白を信じ、日々祈りを捧げています」
シ「…なるほど…。本当にありがとうございました。とてもよくわかりました」
男性「いえ…。本来は、他国の方々を不安にさせるような話題を出したくは無いのですが…失礼致しました」
シ「いえ、詳細を知ることができ助かりました。では、失礼致します」
そう言って、シゲル一行はその場を離れた。




