第133毛 愛
ヒ「あの時…ウィッグくんに『ミラレタ』と思ったとき…こんなに、ウィッグくんたちとの未来を思い描いていたのにね、『逃げなきゃ』って思っちゃった……『誤魔化さなきゃ』『失望させないようにしなきゃ』って………」
ウ「………」
ヒ「すぐに、ウィッグくんと向きあっていれば、変わっていたかもしれない。ジンくんだって、私を見て、ウィッグくんの声を聴いて『止まって』くれた。思いとどまってくれた。それなのに…『ああ。これで楽になれるかも』なんて、愚かな事を思ってしまったの」
ジ「……お姉さん…」
ヒ「本当に、本当に、ごめんなさい。あの私の行為のせいで、ジンくんに、ウィッグくんに、責を負わせてしまった。きっと、その想いから…………ううん。それだけじゃないね。もう逃げません」
ヒ「ウィッグくん、ジンくん。あの時はごめんなさい。ジンくん、踏みとどまってくれて、ありがとう。…そして」
ヒルデは真っすぐウィッグを見る。
ヒ「返事がまだだったね。ウィッグくん、私は…あなたが好きです。あなたを、愛しています」
ウ「……っ…ヒルデ…さん…っ…」
ヒ「何もかも遅いけど、伝えられてよかった。本当は、あなたと一緒に、これから歩んで行きたかった…一緒に生きたかった…一緒に……っ…」
ウ「ヒルデさん…ヒルデさん!! 僕は、僕は…あなたにふさわしくない…あなたが闇に消えてから、僕は…ジンを守りたいと…その想いが強くて………あなたを追いかける事ができなかった…」
ヒ「ウィッグくん…」
ウ「僕の方こそ、ごめんなさい。そして、お返事、嬉しいです。後悔してももう遅いですが、あなたを…今でも愛しています…」
ジ「お姉さん、ボクからも、ごめんなさい。取り乱してしまったのは、ボクが弱かったからです。ずっと…ずっと後悔していました…お姉さんと、ちゃんと向き合えて…よかった」
ヒ「……ウィッグくん…ジンくん…」
シ「………!!」
メ「…勇者様…」
シ「はい……そろそろですね」




