第115毛 状況
ラ「それにしてもシゲル様、先程少しお聞きしましたが、シゲル様のスキル『後ろ髪引かれる』も、万能ではないのですね」
シ「ああ。どうもそうらしい。その影響もあり、今回皆様にご協力いただいた形となります。改めて説明致しますね」
シ「私のスキル『後ろ髪引かれる』は、敵意のない対象を呼び出すことができます」
キ「カッコいいです!!」
シ「…ありがとうございますキュレル氏。ただ、このスキルには条件があり、まず『対象と敵対していないこと』です。これは比較的簡単に満たすことができます」
ス「そうですね」
シ「2つ目の条件は『対象を認識していること』であり『曖昧』ではダメなようです。この『曖昧』は、心理的なものと、状況的なものに分かれる、と考えています」
メ「と、言いますと??」
シ「路地裏から出てきた青年との出来事の中で、敵対はしていないことはわかりました。パンテーンらと分かれた後、一度『後ろ髪引かれる』が使えそうか確認してみたのです。結果『曖昧判定』となりました」
メ「『曖昧判定』??」
シ「はい。アタマの中に『対象が不確定のため使用できません』と浮かんできまして。それで、考えてみたのです。まず、心理的なものは『対象が本当に存在しているのか』を意識的、無意識的に考える事と仮定しますが、これはおそらく満たしていると思われます。」
キ「アタマが爆発しそうです!!」
ラ「大丈夫キュレル。俺もだ…」
ス「スキルの特性についての探究は、非常に重要ですからね。皆しっかり聴きなさい」
シ「だいぶ長くなりすみません。続けます。心理的なものが満たしていると仮定すると、次は状況的なもの。つまり『青年がウィッグ氏とは違う人物であるという状況証拠』があるかないか、という部分かと推測しました」




