第111毛 非認識
ス「勇者シゲル様、その情報が、今回の件と関係がある、と?」
シゲ「はい。おそらく。そしてもう一つ、ここからはご協力願いたい内容です。繰り返しになりますが、難しい場合は、遠慮なく言ってください。そして」
シゲルはメトリーに視線をうつす。
シ「メトリー様、貴殿のスキルで、ある屋敷に忍び込むことはできますか??」
メ「…え??」
ス「!!シゲル様、それはどういう」
シ「はい。今回の事件、シャルルのご友人を襲った、あるいはそれに近しい事をした者は、ウィッグ氏という方のご自宅にいると思われます」
一同「!!」
ラ「あの、ウィッグさんの家に!?で、でも、ウィッグさんは一人暮らしのはず…。そ、それに」
シ「ウィッグ氏は『鑑定』で無罪だったのに、という事かな?」
ラ「………そう、ですね」
シ「私が本日、ゴウモウ王の元へパンテーンらと赴く時、路地裏から辺りを見回している青年を見ました」
ス「青年…?ウィッグ氏ではなく?」
シ「順を追って説明させていただくと、まずその青年は確かにウィッグ氏に瓜二つ、つまり似ていました。しかし雰囲気や、体つきが違った。私はこう見えて、カラダのメンテナンス、管理系の職にもついた事があり、微妙な筋肉の付き方がわかります故。 それに、周りから『見えていなかった』のです」
ラ「見えていない??」
メ「!!………」
シ「そう。私が声をかけ、青年がこちらを認識するまで、パンテーンやシャルル、そして周囲の人には一切『見えていなかった』。なぜ私が見えたのかはいったん置いておいて、これはスキルか、と思ったのです」
メ「………文献で、読んだ事があります。スキルの中には非常に強力、かつ希少なものが存在する、と」
シ「ほう」
メ「そして、そこまで周りからまったく気づかれないとなると…私より強力な…『カミカクシ』というものかと」
シ「何だか親近感がわ…いやそんなわけはないな」
メ「え??」
シ「すみませんひとりツッコミをしていました」