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幻妖界編01-10 臨時大評定

幻妖界のその日は雲ひとつない快晴だった。


夜行本邸では月の初めに『評定(ひょうじょう)』が開催される。

当主の彩葉(いろは)は当然として、彩葉の直臣たちと『各州』を束ねる『妖主(ようしゅ)』またはその代理が参加する。

(もっと)も、妖は得てして気紛れなものだ。

代理人を立てず欠席という事もままあった。


評定の内容はというと、近況報告や問題報告など、現世での一般企業における定例会議と大差はない、と言いたいところだがその実情は宴会へと洒落こむ前の一次会といった様相だ。


年初における大評定はというと、現世における株主総会の様相となり、このときばかりは粛々と進められる。

一部の例外(・・)を除いて、代理人立てることなく妖主本人が参加をする。

他にも官僚や地方の役職クラスの者まで集まり、その規模は数百名にまで膨れ上がる。

そんな大評定も結局最後には派手な大宴会が繰り広げられることとなるのだが。


では今回のような『臨時大評定』はというと、国の存亡をかけた大戦(おおいくさ)や『大妖(たいよう)』による進攻など、まさに国難を乗り越える為に緊急開催される。

この時ばかりは主だった妖は強制参加とされ、理由なく欠席した場合は相応のペナルティを受けることとなる。






夜行家第九十八代当主






それが今代の肩書きの一部だ。

夜行家勃興から早千年。

十年に一度も当主が交代していれば、悠久に身を委ねる妖達にとっては『ああ、またか(・・・)』という程度のイベントだ。

例え当主が身罷(みまか)ったとしてもそこに変わりはない。

そういった事情もあって、『どうも今回の臨時大評定はただ事ではなさそうだぞ?』と、暇をもて余した妖達による無責任な噂が飛び交っていた。


さて、いよいよ滅多なことでは開催されない臨時大評定が幕を開ける。


「一同、静粛にせよ!」


ざわついた大広間がピタリと、耳が痛くなりそうなほどの静寂に包まれる。

鬼一は満足気に軽く頷き、さらに声を張り上げる。


「本日進行役を仰せつかるは裏関東管領(かんれい)関八州(かんはっしゅう)が主にして夜行家第九十八代当主であらせられる夜行彩葉様が臣、序列第一位鬼一法眼(きいちほうげん)である!

これより、お館様のお目見えである!

一同、(おもて)を伏せよ!」


普段の調子はどこへやら。

全ての妖が即座に顔を伏せて静かに固まる。

従わなかった者は序列二位以下の直臣達に即座に連れ去られて教育(・・)が施される。

直臣達は恙無(つつがな)い進行に血道(ちみち)を上げる。

絶対に粗相は許されないのだ。


そんな中、彼らの主である彩葉はくさくさ(・・・・)としていた。


彩葉は幼い頃よりみっちりと『夜行教育』を受けている。

あまり一般的といえない学校ではあるが、一応義務教育も受けた。

それなりに世間一般の常識は知っているつもりだ。

つまり夜行という家がかなり特殊であることも。

生まれを嘆く気は微塵もない。

夜行であるという誇りもある。


だが、それでも・・・恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。


「お館様の~おな~りぃ~。」


鬼一によるキリッキリにバリトンの聞いた声が響き渡る。

彩葉は胸を張り、顔を上げ、楚々(そそ)と歩みを進める。

何度も何度も繰り返し練習もした。


(遠いよ~。)


千を越える妖がすっぽりと収まる部屋だ。

入口である敷居(しきい)から彩葉が座す上段の間まではかなりの距離がある。

そして彩葉は夜行の伝統でもある大ぶりな角隠し(重い)に十二単(じゅうにひとえ)のように絢爛(けんらん)でありながらも百合のような清楚さを併せ持つ白無垢(とても重い)を身に(まと)う。

しかも歩幅は非常に狭い。

よって歩みは遅々として進まない。


(重いよ~。)


みんな顔を伏せてるんだし、こっそり走ってもいいじゃない。

などと取り留めもなく考えるほどにすでに疲れていた。

そして目が合う、鬼一と。


(がっでむ。)


それはちょっとした不運が重なった結果だった。

鬼一にみすかされた動揺、そして疲労、とどめに敷居の僅かな段差。


(へうっ。)


気付けば目前まで()が迫っていた。


(嘘でしょ~!)


思わずぎゅっと目を閉じる。


(ああ、これ一生(いじ)られるやつだ。)


悲壮?な覚悟を決めるも、予想した衝撃はやってこない。

恐る恐る目を開けると不可思議な力で緩やかに()かされていた。

そしてそのまま彩葉は優しく着地する。


(風?)


この精密な術は・・・気まずく思いながらも鬼一を伺うと、彼はさらに気まずそうに目を背けていた。


(ああ、私が転びかけたのが自分のせいだと思ってるんだ。

可愛いとこあるなぁ。さすが妖の良心。

そしてよくぞ助けてくれました。さすが私の一の臣。)


こうして彩葉は長い旅を終えた。

そして改めて彩葉にとっての戦い始まる。

意識してスイッチをオンに入れる。






「一同、面を上げよ。」






囁くような小さな、だが濃密な『妖気』を乗せた声が大広間の隅々まで届く。

千に届こうかという妖達が思い思いに頭を上げると、そこには圧倒的な()(まと)う小さな主の姿があった。

正月の大評定ですら着付けない最上位礼装、幽玄(ゆうげん)の美ともいえるその容姿、空間を歪めるほどの圧倒的な妖気。

あるものは目を見開き、あるものは震え、あるものは頬を濡らし、あるものは叫ぶ。

狂乱の宴が始まる一歩手前。


「静まりなさい。」


主の妖気が霧散する。


「まずは急な要請にもかかわらず、皆が馳せ参じてくれた事を嬉しく思う。

皆の期待に応えられる臨時大評定となることを約束しよう。」


彩葉が言葉を切ると、皆の目がギラギラと輝く。

火事と喧嘩は江戸の華というが、祭りと喧嘩は妖の華といった様相だ。

どちらが来るのかと手ぐすねを引いている妖達の様子に彩葉は薄い笑みを浮かべた。


「先日、我が弟伊織の容態が完治したことを知る者は多いと思う。

伊織は完治し、『西』との約定によりそのまま『モイラ』なる異界(・・)へと旅立った。」


彩葉が再度言葉を切ると、妖の面々は興味深そうに話を聞いている。

彼らの多くは永い生に飽いている。

この話はそんな彼らの退屈を紛らわせてくれるのではないかと、明敏に察知していた。

彩葉は当然彼らの気質は理解しており、締めるときは締め、そして。






煽るときは徹底的に煽る。






「これを奇貨(きか)とし、夜行家当主としてここに宣言する。

それは我ら夜行万騎(やこうばんき)を以て『モイラ』への侵攻を企図(きと)するものであり、その総大将に夜行伊織を任命する。

ついては夜行伊織をモイラにおける夜行家当主名代とし、その全権を委任するものとする。」


妖たちの怒号が響き渡る。

立ち上がり、腕を振り回して俺を連れて行けと捲し立てるものや、是非とも先陣にと叫ぶものでごった返す。

いつものことだ。


「おすわり。」


彩葉の妖気を乗せた小さな声に妖達は慌てて座る。

これもまたいつものことだ。


「皆の心意気を頼もしく思う。

恐らくは大戦(おおいくさ)となるだろう。

活躍の機会は存分に用意すると約束しよう。

ゆえに、今は英気を養いなさい。」


妖一同は神妙に頷いている。


「ついては戦力を拡充する。

序列第一位鬼一法眼(きいちほうげん)。」


「はっ!」


鬼一(おにいち)』は彩葉が勝手に呼んでいる渾名(あだな)のようなものだ。

法眼(ほうげん)とは仏教における僧位のひとつであり、彼も一応(・・)仏門の徒といえる。

とはいえそれは永い生の中で纏った袈裟のようなものだ。

彼の本質は闘争、特に『鬼族』との飽くなき闘争にある。


「『酒呑童子』並びに『茨城童子』並びに『大嶽丸』を調伏(ちょうぶく)せしめよ。

また、別命を申し渡す。

第二管区の『明澄家(あけずみけ)』には話を通してある。

心置きなく『鞍馬』を傘下に納めよ。」

「大命、謹んで拝命いたします。」

「・・・与力は必要か?鬼一法眼。」

「『金時』をお借りしたく。」


これには彩葉も驚いた。

鬼一は一対一の対決に拘る思っていたからだ。

そんな彩葉の心情を察したのか、鬼一は言葉を重ねる。


「お家の大事にありますれば。」

「よく言った!・・・序列第八位坂田金時!」

「おう!」


坂田金時、通称『金太郎』は世間に知れ渡っている様相とはふた回り(・・・・)ほど異なっていた。

2mを軽く凌駕する長躯とそれに相応しい肉付きは筋肉達磨と形容するに相応しい。

荒い麻布の衣服は赤一色に染められており、本人曰く「血を洗い落とす手間がねぇ」とのことだ。

世間では『血染め金時』の名で知られた夜行家の代表的な暴力装置である。


「鬼一法眼の傘下に入り、これを支えよ。」

「任せな!」


鬼一がそう言うなら是非もない。

彩葉は快く了承した。






「序列第二位煙羅煙羅(えんらえんら)

「ここに。」

「直臣を纏め上げ、軍を掌握せよ。」

「この爺めにお任せあれ。」


煙羅煙羅は数百年に渡り夜行家当主に仕えてきた重臣中の重臣だ。

情報伝達能力と蓄積された知識は他の追随を許さず、夜行家の宰相であり軍監ともいえる。

かつて夜行家が成立するより遥か昔、妖の総大将と謳われた『ぬらりひょん』率いる一軍と壮絶な戦いを繰り広げたという逸話は幻妖界に於いて今尚語り継がれている程だ。






武蔵国(むさしのくに)妖主『雪女(ゆきおんな)』。」

「はい。」


「本日をもって其の方の任を解く。別命に備え待機せよ。」

「はい。」


一見ただの解任動議のようではあるが、もともと雪女には無理を言って国を任せていた。

ちょうどいい機会だから彼女にはこれから報いようと彩葉は考えていた。


「其の方はすでに伊織の序列を戴いていると聞くが真か?」

「暫定ではありますが、ぼっちゃまより序列第十位を拝命しております。」

「これよりは正式に伊織の直臣となる意思はあるか?」

「ぜ、是非とも、望むところです。」


「これまでよく仕えてくれた。礼を言う。

・・・それから、これは姉としてですが、どうぞ弟を宜しくお願いします。」

「勿体無い御言葉。身命に代えましても、必ずや。」


雪女(ユキ)は肩を震わせて畳を見つめていた。


雪女はとても母性が強い種族だ。

それもあって夜行家では直系の子供の乳母を任せることがある。

雪女はその例に漏れず、かつて伊織の乳母として彼の幼少期を共に過ごしていた。

彼女は伊織に対し、我が子同然、あるいはそれ以上の母性を抱えていた。

それは伊織が8歳の折に病床の身になったことも関係している事だろう。

ともあれ、彼女の意思に沿う形に整えることができた事に彩葉は満足した。






上野国(こうずけのくに)妖主『分福茶釜(ぶんぶく)』。」

「あい、姫様。」

「其の方には雪女の武蔵国を預ける。上野、武蔵をよく治めよ。」

「あい、頑張る。」


分福茶釜(ぶんぶく)』は『古狸(こり)』や『豆狸(まめたぬき)』などに代表される『狸族』の頭領だ。

戦闘力こそ皆無だが非常に賢く、また人望もある。

分福茶釜(ぶんぶく)』ならば当面は2国を預けてもよく治めるだろうと彩葉は判断した。






相模国(さがみのくに)妖主『三つ目入道』。」

「おう!」

「其の方は上野、下野の『狸族』を纏め上げ、妖術部隊及び索敵部隊として調練せよ。」

「見事に鍛え上げてくれようぞ。」


『三つ目入道』は3mを越える坊主頭の大男だ。

元々は『古狸』であった者が変化(へんげ)を極めた末に進化したものである。

とはいえその近接戦闘能力は見た目相応のパワーファイターであり、『狸族』としては貴重な重戦士だ。

智の『分福茶釜(ぶんぶく)』に剛の『三つ目入道』といえば、近隣にも名が知れていた。

このように、裏関東には多くの『狸族』が所属している。






下野国(しもつけのくに)妖主『安倍泰成(やすなり)』。」

「これに。」

九尾の狐(たまものまえ)の様子は?」

「残念ながら未だ・・・」


安倍泰成は平安の世において九尾の狐と三日三晩戦い、瀕死の身になりながらも殺生石に封印せしめた。

そこから紆余曲折を経て彼は幻妖化し、自信を殺しかけた九尾の狐と婚姻したという。

彩葉は事ある毎に「kwsk(くわしく)kwsk(くわしく)!」と泰成をせっつくが、彼は頑として当時の話をしようとしない。


「まだ拗ねておるのか。やむを得ん。

金狐(きんこ)』、『銀狐(ぎんこ)』と共に『妖狐(ようこ)』、『管狐(くだぎつね)』、『飯綱(いづな)』を纏め上げ、其の方の判断で調練せよ。九尾については変化があり次第報告せよ。」


「恐れながら申し上げたき議が。」

「申せ。」


「御許し頂けるのであれば、『天狐(タマ)』を伊織様の与力に願います。」

「それはよいが、九尾の狐(はは)と和解できておらんのだろう?」


天狐(タマ)』は『雪女(ユキ)』同様に暫定ではあるものの、伊織の序列第十三位を戴いている。

そこまではよかったのだが、異世界まで伊織を追いかけると聞いた九尾の狐(はは)は激怒した。

母を置いていくのか、と。


これには彩葉も思う所があったが、いくら彼女達の主という立場でも親娘喧嘩に口を出すのは憚られる。


「遺憾ながら。ですが必ず説得致します。」

「・・・よかろう。

天狐(タマ)には雪女(ユキ)と共に沙汰を待つよう申し伝えよ。」


「有り難き幸せ!」

「・・・子煩悩も過ぎると毒になるぞ?天狐(タマ)に愛想を尽かされぬようにな。」


「これは手厳しい。」

「ふふ。許せ、叔父上。」


当然ながら彩葉にとって泰成は叔父ではない。

だが「安倍泰成は夜行家の叔父(・・・・・・)である」と、何十代も前の当主が宣言したらしく、それが定着したらしい。

今となってはその血は限り無く薄くなってしまったが、夜行家はかつての安倍家の分家であったこともあり、叔父というのもそれほど違和感なく受け入れられたという。


(雪女(ユキ)天狐(タマ)は随分と伊織を可愛がってたからなぁ。

・・・それにしても女性率が下がらないわね。)






上総国(かずさのくに)並びに下総国(しもふさのくに)妖主『白藤源太(げんた)』」

「応!」

「其の方は上総の河童、下総の猩々(しょうじょう)を纏め上げ、これを調練せよ。

ともに足軽部隊でいいだろう。」

「よーし、よし、モノにしてやるぜ。」


白藤源太は二か国を預かる河童の頭領だ。

近接戦闘に於いては坂田金時とは双璧を成し、集団戦闘においては破格の突破力を誇る。

また豪快な性格ながらも部隊指揮能力に優れ、配下の河童の達を善く率いた。






安房国(あわのくに)妖主・・・あれ?『八房(やつふさ)』?

伏姫神(ふせひめがみ)様はいかがした?」


これまで一度も欠席したことがない伏姫がいない事に驚き、彩葉は思わず素が出てしまった。


「アルジ イオリニ ツイタ。」

「・・・?」

「モイラ オリタ。」

「なんてこと・・・まさか、降臨したと?」


「ソウダ。」

「・・・あとで詳細を聞かせなさい。

其の方は安房の『妖犬(ようけん)』並びに『霊猪(れいちょ)』を纏め上げ、これを調練せよ。

餅は餅屋ということで、部隊運用は其の方に任せる。」


「レイチョ イオリノ ハイカ。」

「訳がわからないわ・・・その件も含めて後で聞かせなさい。」

「ワカッタ。」


400年前に伏姫がやんちゃ(・・・・)していた時にも影に日向にフォローしたのは八房だった。

彼は苦労犬なのだ。






常陸国(ひたちのくに)妖主・・・『夜刀神(やとのかみ)』様。」

「・・・」


常陸国妖主が座る座布団にはかわいらしい小さな白蛇がとぐろ(・・・)を巻いていた。


安房国は伏姫神が、常陸国は夜刀神が妖主ではあるが、これはかの国を治める為ではなく、むしろかの二柱を祀る意味合いで据えられている。

つまり実質的に国を納めているのは彼らの代行だ。


そして夜刀神が評定に参加したという話は今も昔も、少なくとも彩葉(いろは)の知る限りに於いては一度もない。

彩葉(いろは)の心情を端的に述べるなら、彼女は畏れ、戦々恐々としていた。


「本日は御自ら御足労賜ったこt」

「フヨウ。サキノ ヨウニ ハナセ。」


「・・・では恐れながら。

こほん、其の方の『眷属』を借り受けることに問題はあるか?」


見た目からも想像できるように、夜刀神の眷属は蛇だ。


「ワレガ デル。」


まさかの回答に彩葉(いろは)は眩暈を覚えた。


「・・・其の方が出陣しては『天部』が騒ぐであろう。」

「サジ。」

「・・・戦場はこちらで指定してもよいか?」

「カマワヌ。」


彩葉はキリキリと胃が痛むのを感じた。

だがこれこそ奇貨(・・)だ。

神を、しかも神代の禍神(まがつかみ)を利用するなど僭越にも程がある。

だが、伊織の為ならば何を躊躇おう。

彩葉改めて決意を新たにした。


基本的に『神』は俗世に直接的な関与はしないし、天部がそれを許さない。

伏姫はその出自により『南総』においては比較的関与が許される立場であり、本人もそれを好んだ。

伏姫は例外的な存在といえる。


だが夜刀神は違う。

彼は正真正銘の神代の禍神(まがつかみ)であり、神々のルールに縛られない稀有な存在だ。

ある意味においては数多の神々と敵対しており、正しく邪神である。

とはいえその力関係は天部のそれを遥かに凌駕しており、容易に手出しできない相手なのだ。

輪をかけて酷いことに、あろうことか夜行の『百鬼夜行』の影響下にある。


とはいえ夜刀神は滅多なことでは『庭』から出てこない。

彩葉の詳しく知るところではないが夜行家の成立当初から彼の神は協力的とまでは言えないにせよ、少なくとも敵対する事も何かしらを要求する事も無かったという。


とはいえ人の身なれば神の思考になど及びもつかないもので、普段は夜刀神の代理としてその僕たる『白蛇』が遣わされるのが常であった。

夜刀神とまみえることのできた歴代の当主がどれ程いたのかも疑問であり、もちろん彩葉自身も初めての邂逅であった。


果たして夜刀神は()に興味を持ったのか・・・


その後は恙無(つつがな)く進行し、臨時大評定は『ほぼ』予定どおりに終わったかに見えた。






「よう、邪魔するぜ?」






その『鬼』が現れるまでは。

______

ちゃむだよ? >_(:3」∠)_

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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