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第17話 続・恋患い ①


 前回までのあらすじ


 便利屋花丸キュウ微商会に勤めるサノッチ(佐野嶋)、ノブオ、ジュンジのもとに、写真や動画を撮影すると必ず“緑黒い人影”が写るようになったという女性、小林真実子から調査依頼のメールが届いた。


 そこで、真実子から詳しく話を聞き取ったところ、どうやら高校時代に訪れた心霊スポットに原因があるのではないか、ということになり、われわれ便利屋花丸キュウ微商会のメンバーと依頼者の真実子は、疑惑の心霊スポット“ホワイトハウス”へと向かった。


 “ホワイトハウス”は一家で無理心中をしたという噂があり、また、その家の長女が行方不明という噂もあった。そして、かつて真実子と共にここを訪れた女性も実際に行方不明になっている。


 そうして、われわれ便利屋花丸キュウ微商会のメンバーと真実子は“ホワイトハウス”近辺の穴で“太母”と出くわす。“太母”は“ホワイトハウス”の長女や、行方不明になっていた真実子の友人女性ら、その他にも多くの人々を捕えていたのだが……




 われわれ便利屋花丸キュウ微商会のメンバーは真実子と共に“ホワイトハウス”を訪れた翌日の定休日を挟んだ、つまるところ翌々日の朝一番にミーティングを開くことにした。


 壁を背にしてノブオとジュンジは並んで座り、各自で用意した小さめなノートやボールペン、飲料などの置かれたテーブルを挟んで、サノッチと向かい合う。


「では皆さん、そろったということで……打ち合わせをしたいと思います。はじめに、小林真実子さんのご依頼の件から……一昨日に皆でホワイトハウスへは行きましたが、写真や動画に写る、緑黒い人影についての情報は何も得られませんでしたね」


 サノッチはふぅと息を吐いた。


「サノッチ君、ちょっといろいろわからなくて、教えてほしいんですけど……太母っていうのは一体、何だったんですか? それに、あそこにいた人たちはどうなったんですか?」


 太母とは、とジュンジはノートに記す。


「太母、そうですね……人間からすれば、妖怪の類になるでしょうか。太母は全人類、全生命の母を自称する、そう思い込んでいる悲しい存在です。


 あのように、主に山中の洞窟などに住みつき、人を呼び込んで、自らとその呼び込んだ人々とを繋ぎます。どんどん人を呼び込み、自らと人と人とを繋いでいき、意識や感覚、夢などの全て、それから身体の養分も共有し、管を通して全部を循環させ……

 太母と繋がれてしまった人々は身体と心を共有し、母と子、兄弟姉妹のような関係になっているとも言えますね。


 けれど、身体の養分には限界がありますから、次々に人を増やしていかなければならず、人が増えればさらに養分も必要となりますから……」


「なるほど……太母としては人を増やさなきゃならないんだな。ところが、あんなところに今日日、人はほとんど来ない。それこそ、心霊スポット好きの中でも、かなりマニアなやつが来るかどうかだろう。養分が尽きようとしている太母と捕らわれていた人々は皆、衰弱していたってわけだ」


 自分で言いながら、ノブオはふんふんと頷いている。


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