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第10話 恋患い・前編 ⑩


「それで、そんな変な金属棒を持っていたのか……ダウジング、昔、流行ったよなぁ。で、小林さんのご友人と長女は見つかったか?」


「はい、見つかりました。ただ、捕らわれていますからね……長女が事件を起こしたのも、あれのせいです。あれは厄介ですよ」


「厄介って言っても、助けられるんだろ? 二人とも」


 あっけらかんとノブオは言ったが、サノッチは少しうつむいて首を小さく横に振った。


「え? サノッチ君がめずらしく……ノブオさん、これは無理ですよ。今日のところは帰りましょうよ」


「何を言ってんだ、ジュンジ! 乙女が二人も捕らわれているんだぞ!! 助けな!! それに、小林さんの写真に写る緑黒い人影のことだって、何もわかっちゃいないんだ! 行くしかないだろう! おい、サノッチ案内してくれ。こっちか?」


「いいえ、こちらですが……ノブオさん、案内しますけど、くれぐれも絶対に大きな声や音は出さないでください。絶対です」


 熱くなってしまったノブオを、誰にも止めることはできない。


 それは、ジュンジとサノッチにはよくわかっていた。


 仕方がないのでサノッチは先頭を歩き、その後ろを緊張する三人が一言も発することなくついていく。


 再びホワイトハウスまで歩いていき、そこからさらに十分ほど、道なき道を進んだ。


 そして、サノッチは立ち止まると、後方の三人に向いた。


「あそこに風穴のような穴がありますが、わかりますか? あの中で人々は捕らわれています。絶対に大きな声や物音を出したり、神経を逆なでするようなことはいけません」


 サノッチが指さした方には確かに、地面が少々盛り上がって小高くなったところがあり、そこには小さな穴が開いている。


 言われなかったら気付けないような洞窟が、そこにはあった。


「あの穴に、人々が捕らわれているって? 二人だけじゃないのか? まぁ犯人を説得するしかないよな。入ってみるか」


「えぇ、入って大丈夫なんですか? サノッチ君的には入っていいものなの?」


 今にも駆けていきそうなノブオに、ジュンジは不安になる。


「そうですねぇ、私は入らない方がいいような気がしますが……どうしても皆さんが真相を知りたいということでしたら、直接確かめた方がいいとも思いますし……」


「ああ、もう! 今日のサノッチはじれったいなぁ! 捕らわれているなら、助けるしかないだろう! わかった、俺が先陣を切って入ってやる」


 そう言って、ノブオはずんずん穴へ向かって歩いていく。


「ノブオさん、くれぐれも声は小さくお願いします」


 サノッチはささやいて、ノブオの後に続く。その後ろを、ジュンジと真実子も黙ってついて行った。


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