表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生「紅」  作者: 夢の語り手
4/6

アリス

3話にてロリ王のセルフを少し変更しております。

物語のプロットはあるので基本見返さなくても、その先の内容に問題はありません。

 よりいいキャラを作るためにたまにセリフの添削がありますがご容赦ください。

 その都度一応前書きにて報告させていただきます。

「選定者様改めましてよ、よろしくお願いしましゅッ!」


宮殿の一室。ウタヤ達選定者に与えられた部屋では従者に任命された先ほど通路を歩いている途中、目の前で水をこぼしてしまった少女がいた。


「ウタヤでいいよ。気楽に接してくれると助かるかな」


「はい!精一杯気楽に接します!!」


全然気楽になっていない元気な声で返事をする少女はとても素直な子だ。

新しく従者となったまだ新人らしい少女は国の貴賓をいきなり任せられ大変緊張しているらしい。

 ウタヤとしてはこれから長く共にする仲間なのでもっと砕けて接してもらえると助かるというのが本音だ。

 

ウタヤの従者となった者の名前はアリス。

金髪碧眼で身長はあのロリ王より少し高く、イルダより低いくらいだろうか。顔は幼さを残しながらも整っている。


バトラーがアリスを連れてきた際にイルダがウタヤの方を見て幼い方がタイプなのですねと冷たい目を向けてきた。


心外だ、アリスを選んだ理由はあのロリ王の息のかかってないものにしたいというだけだったのに。


とりあえずこの後はロリ王から与えられた試練、矛を使いこなすためダンジョンと呼ばれる魔物が巣食う迷宮に向かう。


「これから向かうのは紅の国でも優しめのダンジョンです!」

ダンジョンは複数存在していて国が所有するものとどの国でも使えるものがあるらしい。


「ダンジョンってあの魔物と宝箱がある。夢と希望と絶望が詰まっているあのダンジョン!?」


「はい!そのダンジョンです!宝箱はありませんよ」


ついテンションが上がり早口で上擦った声になってしまった。この世界で最初に会った銀髪赤眼のメイドなら少し冷めた目を刺してくるのだろうが目の前のアリスは笑顔で親指を真っ直ぐ立てている。


どうやら気軽に接するために早速努力してくれているらしい。しかし緊張からその親指がブルブルと揺れすぎていることには触れないでおこうとウタヤは目を逸らす。


「ダンジョンは生命の母とも呼ばれているんですよ」


「前いた世界では海って場所が同じ名前で呼ばれてたな」


海について興味があるらしく聞いてきたので教えてやるとアリスは、ニコニコと見たことない海を思い浮かべていた。


しかし、海がないらしいこの世界は永遠と陸地なのだろうか?海がないことで水資源の循環であったり、大気の気圧などどうなってるんだという疑問も全てこの異世界では予想できない。


天気はある種族が魔法で操っているとからしくどうやら物理法則なんてものはこの世界には存在しないらしい。


前いた世界でも詳しい物理法則はわからなかったが科学で説明できるものだったと理解しているががこの世界では魔法でだいたい物事が考えられておるので常識は通用しない。いや、現代知識無双ができないというべきだろうか。


この世界ではダンジョンは欠かせないものとなっているようだ。理由はほぼ全ての物資、普段口に入れる食材から武器を作るための鉱石などの原材料がダンジョンで採取できるからだ。

 この紅宮まで運んでくれた魔馬などの生物も存在しているらしいが基本調教する前は侵入者に対し敵対心があるらしい。


「でもダンジョンは生命の母と言われている理由は他にもあるんです。」


元気なアリスには似合わない薄暗い表情で語る。


「元々私たち地上の民は、ダンジョンから生まれたと伝承では言われているんです」


「なんか文献でもあるのか?」


伝承という曖昧な物言いからするにそうであるかもしれないくらいの認識らしい。


確かにダンジョンが物資だけでなく魔物などの生き物を産んでいるなら人間がダンジョンで生まれてもおかしくはない。

待てよ?


「なぁ、その伝承が正しいならダンジョンで今も人が生まれているんじゃないのか?」


ダンジョン内は危険だという。そこに赤子が生まれたところで生き残れるのだろうか?

ウタヤが首を傾げているとアリスが答える。


「ええと説明が難しんですけど、端的にいうと今も人が生まれています。けどそれは私たちと同じ人ではないんです」


「人だけど同じ人じゃない?」


どういうことだろうか?考えても情報が足りなすぎるためわからない。この世界の秘密を知っているような気がしてまた気づけばニヤニヤしてしまうが気にする様子もなくアリスは神妙な顔で話を続ける。


「はい。ダンジョンに生まれたものはさっき話した魔馬のように基本的に侵入者に敵対します。

 同じようにダンジョンで生まれた人も私たちを見かけた瞬間攻撃してくるのです。彼等を私たちは魔族と呼んでいます」


基本意思疎通はできず、ダンジョンの守り手として存在する。そしてそれらはダンジョン内で地上に住み人と同じように集団で生活していることもあるらしい。


「魔族は恐ろしく凶暴です。人の姿をしているからと迷いを見せればウタヤ様が殺されます。難しいと思いますがもし彼らに会ってしまったら迷わないでください」


「人と戦うことになるのか…」


なるほどと納得する。ダンジョンの話を最初嬉々として教えてくれた筈なのに段々とアリスが物憂げな表情になってしまったのはこの事を伝えるためなのだろう。


恐らく魔族と戦うことに忌むべく感情があるらしい。


「ですが基本魔族はが生息しているところはわかっていますし、避けることはできますので安心してください!」


胸をコツンと叩き笑顔に戻るアリスはどうやら励ましてくれているらしい。

魔族は集団で生活しているため、生活圏も予測ができるためある程度衝突は避けることができるらしい。

 人との殺し合いを強制させられることは無いらしいので少し安心だ。


「ではざっと説明も終わったのでダンジョンに向かいましょう!その前に…従者契約をお願いします」


どんどんの語尾に近づくにつれ声が小さくなっていく。しかもなぜだか顔が赤い。


「従者契約?」


特にロリ王からもバトラーからも聞いていない。


「え?やり方聞いてないんですか?」


「うん、聞いてないけど?」


うーんと小さく唸りながら説明しようとするがなかなか口に出せないようだ。どういうことなんだろうか?アリスは先ほどから目に見えて挙動不審だ。


するとアリスは突然両手を斜めに広げて説明する。

「私にぎゅーと魔力を込めてください。紋章が浮かんだら終わりです」


凄く恥ずかしそうに、顔に手をパタパタしながら目線を逸らしている。


どうやらハグをして直接魔力を渡すというものらしい。

なんと役得なんだろうか。流石に少し幼い彼女にいやらしい目で見たりはしないがハグして嬉しくないわけがない。


「では失礼します」


少し仲良くなれたとはいえ、まだあったばかりの少女にハグをする事に緊張しながら紳士然として声をかける。


魔力。それは先ほど紅剣を作る際にイメージと共に流れる力の本流。

目を瞑り、手を出しているアリスの懐に入りハグをする。そして魔力を流す。魔力の流し方をイメージする。ウタヤが今扱えるのは「矛」故に注射器をイメージする。


ハグをした瞬間、何やらアリスが慌ててている様だが気にしない。


よく予防接種などで注射は受けていたが、痛い時と痛くない時がある。それは打つ人の技量なのだろう。ならばアリスが痛くないように、思い出に残る近所の診療所のおばちゃんベテラン看護師をイメージしながら針を打つ。


「んッ!」


少し艶っぽい声が聞こえた気がするが今は魔力を流すことに集中する。


そうして魔力を流していくと、アリスと魔力の繋がりができたらしいと認識することができた。


「できた…アリス?」


何か繋がりのようなものを感じる。従者契約を成功したであろう達成感でアリスの方を見ると目を回して気絶していた。



--------------


現在ダンジョンへ向かう魔馬車の上で気まずい雰囲気が広がっていた。

 どうやら原因は、先ほどの従者契約の方法にあったらしい。


本来であれば手を取り魔力を流し込めばよかったらしい。両手を広げられてぎゅっとって言われたら勘違いしちゃうじゃないか。


「ごめんな」

今は謝ることしかできない。勘違いとはいえセクハラ野郎と思われたら最悪だ。

 

誰でも勘違いすると言い訳したところだが冷静に考えれば、バトラーが従者になったとしてハグしただろうか?いや、多分あの老紳士相手だったら本当に合っているか確認してたはずだ。というと実は違和感があった気がしなくもない。

というか後でイルダにでも知られたら怖い。八つ裂きされるような目で見られるだろう。

 最悪の事態を想像しウタヤは身を震わせる。



「いえ、ウタヤ様は悪くありません!その元はと言えば私が恥ずかしくて、しっかり説明できなかったせいですし…勘違いさせる行動だったので」


先程の事を思い出して、アリスは俯いてしまった。また頬が赤く染まっている。

 


しかし怒るどころか自分が悪いなんて言い出す従者は天使なんだろうか?


「お互い落ち度はあったわけですし」


「そうだね」


本当にうちの従者は優しい。


「あ!ウタヤ様ダンジョンが見えてきましたよ」


ようやく冷静さを取り戻したのか少し元気なアリスが教えてくれる。


「あれがダンジョン…!」


場所から身を乗り出し、アリスが指差す方角を見ると大きな円形の物体があった。

 円形の大きさは紅宮より言わずもがな小さいが高さは負けていない。

 魔馬の馬車から見上げても円形の建造物の上部は微かに見えるくらいだ。


特徴は円形の中は青白い光が放っており、中心に引き込むように渦巻いている。まるで巨大な渦潮が空中に浮いているように錯覚する。


「思っていたダンジョンと形が全然違うな」


「ダンジョンにも色んな形があるんですよ!」


俺の想像では、薄暗い洞窟のようなイメージだったがどちらかというと空間の歪みが発生してる見た目はいつか昔テレビで見たブラックホールのように見えた。


「では、ダンジョンに入る前にもう一度大切なことをおさらいしましょう!」


魔力の使い方。従者契約の効果、ダンジョンでの立ち回り色々アリスが教えてくれるが頭に入ってこない

 それもそうだ。ダンジョンといえば夢と希望の以下略が詰まっているだから!


「もう〜ウタヤ様!ニヤニヤしてないで話を聞いてください〜!」


ダンジョンに着くまでアリスの悲鳴がウタヤに届くことはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ