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現 夜刀は青天の下、長い行列の先を眺めていた。
空高くには“風ノ国 王立学園 入学式”の横断幕が、掲げられている。国唯一の教育機関だ。
夜刀は、2,3歳の頃、入園生としてこの行列に並んだ記憶がある。まだ自分は高校生だが、今日は付き添いとして並んでいる。なんとも不思議な気分だ。
皆、心踊らせているのが音で分かる。
一方、監視対象・元捨て子の義妹、立花は、何やらひとりの男子を凝視している。
「あの人、こっちをちらちら見てくるんだけど…… あ!夜刀にぃの好物、イケメンさんだよ!」
(聞き捨てならねえ台詞じゃないか)
「おいそれ誤解だぞ?俺をなんだと思ってるんだ立花は。それに声がでかい。」
「え、美人さんをよく見てる人。」
(……否定できない)
確かに見ているが、それは高校と掛け持ちしている家業のためだ。職業柄、診てしまう。癖と言ったほうがいい。断じてやましいことではなく。
あの男子にばれる前に、ホールに入りたい。あの男子は、夜刀の知り合いなのだ。それも数の少ない仕事関係の。
だが今日は立花の付き添い。色々な事情から、むやみに動けない。
知り合いの騎士の卵が多いのだ。
あの男子は確実に、夜刀を見ている。
(がっつりばれたな。)
「夜刀にぃ、あのイケメンさんと……」
「……夢斬りの関係だ。」
添削後を出すのはまだまだ先。