私立[検閲削除]高等学校怪事件報告書
真面目ぶった文脈で、真面目ぶって屁理屈をこねて、現実“しか”見ない文章って難しいですね。
[検閲削除]年[検閲削除]月[検閲削除]日[検閲削除]時[検閲削除]分発生
[検閲削除]県[検閲削除]市にある[検閲削除]高等学校の[検閲削除]年[検閲削除]組の教室で起きた、生徒が集団失踪した怪事件についての途中報告。
この事件はどれだけ調査を重ねても、全く謎が解明されない怪事件だ。
事件が発生した瞬間に該当の教室で強烈な閃光が発生した事が、一番最初の異変である。
そして、隣の[検閲削除]組の生徒達が異常な光に気付き、授業中にも関わらず教室を飛び出し、問題の教室を確認しに行った事で異常事態であると発覚した。
件の教室でも授業が行われていたはずなのだが、教室に居たのは2人のみ。
・[検閲削除](男性 学生)※顔写真は別資料に添付
・[検閲削除](女性 学生)※顔写真は別資料に添付
以上の2名のみが教室内にて、直立して意識を朦朧とさせている状態で発見された。
保護して安静状態を確認してから他の生徒達や教師について訊ねても一貫して知らないと主張し続けており、実際に現在も他の生徒や教師は未発見で失踪扱いとなっている。
~~~中略~~~
この失踪しなかった男女は明らかに恋人関係である。
失踪についての事情聴取を行う際も、ふたり揃った状態でないと応じず、聴取中も両名で手を繋ぎながら返答をするほど。
両名は調査によると、小学[検閲削除]年から既知である。
両名と同学年[検閲削除]組の[検閲削除](※顔写真は別資料に添付)の聴取では、中学[検閲削除]年で1度疎遠になり、高等学校でまた会話する関係であったと記録されている※聴取内容は別資料に添付
その聴取記録には、不自然な部分がある。
発見された男女は、事件が起きる直前まではどこかで出会えば、挨拶から軽く会話して別れる程度の関係だった。
そう記録されている。
だが見る限り疑い様も無く恋人関係であり、保護した病院に駆け付けた両名それぞれの保護者にもそう報告していた。
事件が発生してから発見・保護されるまでの間に、両者の関係がそこまで変わる時間が有るとは思えない部分が存在している。
尚、事件の前後で関係性以外に変化を感じたか、後日高等学校の生徒や教師に再聴取を行った※聴取内容は別資料に添付
それによれば、おかしい点が多数見つかった。
それをまとめると、ほぼ同じ意味となる。
参考人の両名の精神が、事件の前後で成熟し過ぎている※聴取内容一覧は別資料に添付
事件前は学生らしい精神性を持っていたが、事件後に話しかけると、まるで社会人や子供を持つ親に極めて近い会話内容になる。
その為に会話が続かず、気後れしてしまう。 微妙な空気になって気まずくなる。
これは異常と言う他無い。
改めて事件前後の変化を失踪しなかった両名に再聴取を行うも、やはり確かな証言は得られなかった。
ただ1度ぽつりと秘密を明かす様に語られはしたが、その内容は突拍子も無い妄言と言わざるを得ない※聴取内容は別資料に添付
その際、聴取に同行した若い刑事の[検閲削除]は近年のサブカルチャーに見られる異世界集団召喚だと騒いで聴取を妨害した為に、聴取班から外す措置を行ったと報告に残す。
~~~中略~~~
事件と関係が有るか定かではないが、事件後の些細な周囲の変化を報告する。
対報道関係者用に護衛をつけている問題の男女の、行動範囲内の治安が良くなっている。
事件発生率は微減。
通報件数は微増。
死亡事故発生率は激減。
比較データは別資料に添付に有るので確認推奨。
通報内容の変化が極めて大きく、問題の対処の為に通報するのではなく、問題解決後の処理の為に通報する様に変わっている。
通報者の証言によれば、主に朝や夕方から夜にかけての時間、トラブルや事故と遭遇した直後に解決していると言う※通報記録は別資料に添付
一番奇妙な証言は、怪我を負ったはずの通報者が、気が付くと傷が治っていたとする幻覚疑惑もある件だろう。
だがしかし通報者に怪我を負わせたとする証拠品には、確かに通報者の血液が付着している記録が有る※別資料に添付
この証拠品にどうやって血液を付着させたのか、関係部署に究明を求める次第である。
また、通報を受けて現場に到着すると気絶して倒れている状態で発見される被疑者の取り調べからも、ハッキリした証言が取れない。
被疑者へ追及すれば、犯行を自供する。
するのだが、誰が気絶させたのかの証言が無い。
被害者(通報者)の言う通りに暴行や恐喝を行っている途中に意識が無くなり、気が付いたら身柄を確保された後であると、一様に証言される※聴取内容は別資料に添付
火事が起きれば消防官が到着する前に鎮火し、事故が起きれば警官や救急隊が到着した頃には救助が済んでおり、死亡事故数は極めて少なくなっている※該当案件は別途資料を参照
この奇怪な事案が起きた時間は、高等学校の登下校時間と合致し、何か関係性を感じてならない。
この件についての捜査が待たれる。
異世界集団転移もので、プロローグとエピローグだけ書いてみた。
結局転移した直後の時間に帰ってきたのは、主人公枠のベタに異世界で追放された少年と、少年の追放にくっついて行ったヒロイン枠の少女の2人だけ。
他は現地に留まったり、現地で命をおとしたり。
追放に荷担して破滅した、異世界で羽目を外し過ぎたゲス達。
それ以外にも真面目でも、あえなく命を落とした者達、それと異世界に居場所を見付けてしまった者達。
地球に戻って来たのは、幸せなのかどうなのか。
それを知るのは本人達のみ。