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怪物先生と最強人間2  作者: 磯野洸輝
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第五話「出会いと不幸」

 第五話「再会と不幸。」

  蒼龍は席につき先生に渡された紙を見た。「あなたは二人に恋をしている。」

 と書かれていた。先生が教室に入ると同時に始業のベルが鳴った。

「次の授業は、三人グループになって自己紹介をお願いします。」

 そう言うと指定された三人グループになった。三人は顔を合わせると見覚えのある顔に蒼龍は目を見開いた。

「え?まさか・・・・・・。」

「あなたは蒼龍君?」

 彼女の声を聞くと奥沢は驚いた。

「もしかして彩ちゃん?」

「え?もしかして、ゆーちゃん?久しぶり。」

「久しぶりね。とても綺麗だから声を聞くまでは気づかなかったわ。」

「ありがとう。ゆーちゃんも凄く綺麗よ。」

「久しぶりだな。あの時以来か。」

「そうね。あの時の怪我は大丈夫だった?」

 神崎は心配して顔を近づけた。

「大丈夫だ神崎さん。」

「それにしても久しぶりね。この三人が集まるなんて。それと蒼龍君、ハムちゃん先生が言ってた劉淵ってもしかしてあの時の?」

「そうだ。あの時君たちを慰めていた蒼龍だ。」

「そっかー。今度は四人一緒に卒業できるといいね。」

「だな。」

「じゃぁ改めまして、私の名前は神崎彩です。好きな料理は蒼龍君が作ってくれたお弁当で、嫌いな食べ物は辛い食べ物や料理かな。よろしくお願いします。」

「私の名前は奥沢雪乃です。好きな食べ物は羊羹、嫌いな食べ物は特にないわね。よろしくお願いします。」

「俺の名前は蒼龍政則だ。好きな食べ物は梨で、嫌いな食べ物はカニクリームコロッケだ。よろしくお願いします。」

 自己紹介を終えると神崎はクスクスと笑っていた。

「相変わらず苦手なんだカニクリームコロッケ。」

「うっ。」

「照れちゃって、可愛いー。それ。」

 神崎は蒼龍の頬をつんつんした。蒼龍はされるがままだった。

 《私知った気でいたけど全然知らなかった。彼こんな表情もするんだ。でもちょっと触りすぎじゃないかしら?》

「席はこのままにして次は部活動を決めます。」

 空気はその一言で重くなった。それもそのはず奴隷みたいな契約書にある部活とだけ書かれているからだ。

「では発表します。っとその前に判断基準は先生の独断と偏見で決めましたので安心を。」

 《安心できるか。》

「改めて発表します。部長、奥沢雪乃。部員神崎彩・蒼龍政則・羽沢有希子・劉淵颯太・矢田太郎以上。」

「私たち選ばれたね。」

「えぇ。」

「うん。」

「心配しなくても大丈夫です。料理以外は私がサポートしますから。」

「先生、なんで料理はサポートしてくれないんですか?」

 矢田が問うた。

「私の料理は金を取れるレベルなので。ざっと一万かと。」

 とドヤ顔で返す。

「異議あり、先生より蒼龍君の方が美味しいに決まってるよ。」

 と神崎が返す。

「そうじゃねーよ。」

 蒼龍以外ツッコんだ。一方蒼龍は顔を真っ赤にして俯いていた。奥沢は蒼龍を見ると、蒼龍から湯気が出ていた。

 《湯気が出ている。照れてる。可愛い。》

 ハムちゃん先生は、一つ咳払いをした。

「ではこの授業はこの辺で終わりにします。次の授業は体操着に着替えて校庭に行くように。」

 と言うと教室から出ていった。それぞれ更衣室に行き着替え始めた。

「随分と楽しそうだったな。気になる子でも?」

 劉淵が着替えながら聞いた。

「あぁ。気になるって言うより元から好きかな。」

「どういうことだ?」

「彼女たちはあの時の二人だ。」

 それを聞いた劉淵は驚いた。

「大丈夫なのか?神崎はともかく奥沢は。」

「おそらくまだ奥沢には気づかれていないと思う。」

「思うって事は、まだ断定できないんだな。」

「あぁ。」

「もし彼女が出来たら俺は追い出されるのか?」

「それは無い。死ぬまで一緒だ。」

「そりゃありがたい。」

 2人は笑いながら更衣室を出た。一方女子更衣室では神崎と奥沢が話ながら着替えていた。

「彩ちゃんは彼のことが好きなの?」

「彼って?」

「私ね、先生に見抜かれたの。蒼龍君に恋心を抱いているって。」

「そう。」

 神崎の声が少し低くなった。だがすぐに元に戻った。

「で、 いつ告るの?」

「私は彼から好きって言ってもらいたい。だから告白を待つことにしたわ。」

 神崎は微笑み、

「じゃぁ私は彼に告るね。」

「そう。同じ気持ちだったのね。いつから?」

「保育所の頃からよ。」

「その・・・・・・友達でいてくれる?どんな結果になっても。」

 奥沢は恥じらいながら言う。神崎は微笑み、

「当たり前よ、ずっと私たちは友達だよ。ってか、まずは地球を救うことが先だけどね。」

「すっかり忘れていたわ。」

 二人は着替え終わり更衣室を後にした。

「皆さん準備が早くで、とても嬉しいです。」

 ハムちゃん先生は嬉しそうにしていたが、手に持っているものに注目がいき誰も先生を見ていなかった。

「それは?」

「これは鎧です。」

「何のために?」

「あなた方には誰か一人でもこの鎧を壊して欲しいのです。簡単にできるでしょ?」

「できるか。」

 一斉にツッコんだ。

「蒼龍君ならできるよね。」

 奥沢は耳元で囁いた。

「何を根拠に?」

「あのトラック壊したの誰だったかな?」

 奥沢はいたずらっ子ぽくクスクス笑いながら鎧の方に行った。

「授業中に乳くりあうとは・・・・・・。」

 神崎は溜息をつきながら言った。

「乳くりあってない。」

「ふーん。そういう事にしといてあげる。イチャイチャするのも程々にね。」

「だから・・・・・・。」

 神崎はクスッと笑いその場を離れた。

「次で最後の人ですね?蒼龍君お願いします。」

 蒼龍は鎧を見た。

 《傷跡一つもないか。》

 蒼龍は鎧を掴み握り潰した。鎧は林檎のように砕け散った。

「なんだと。」

 生徒より鷲塚先生の方が驚いていた。

「ちょっと。ハムちゃん先生が壊してどうするんですか?僕握っただけですよ。」

 蒼龍は頬膨らませて言った。先生はその意図に気づき、

「だってみんな割らないから。先生自慢したかったんですもん。」

 と返した。蒼龍はアイコンタクトでお礼を伝え、列に並んだ。

「ではこれからちょっとした訓練をします。」

「訓練?」

「その名もタッチ鬼ごっこ改です。」

「?」

「ルールは簡単。タッチされたらゲームオーバー。タッチされたら人は匍匐前進でこの輪に入ってください。最後まで生き残れた人は宇宙人に対抗出来る能力を与えましょう。」

「能力?」

「えぇ。漫画で言うところの能力者になれるのです。制限時間は十秒。鬼は私が務めます。では始め。」

 開始の合図と共に一斉に逃げ出した。開始一秒で二十人が捕まった。

「速っ。」

「みなさん忘れていませんか?先生はある先生の能力を得ていると。」

「つまりマッハで移動できるってことですか?」

「矢田君正解ですが残念。アウトです。」

 タイマーがなり先生がグランドを見ると蒼龍だけ残っていた。

「さすが蒼龍君。では約束通りあなたに能力を与えます。今回持ってきた能力は全部で三つあります。」

「不味い実でも食わすんですか?」

「なっ。そこまで再現しては先生捕まってしまいますので、今回は飲み物という形で差し上げます。」

「ありがとうございます。」

 蒼龍は渡された飲み物を飲んだ。

「うっ。」

 《なんだこの飲み物は。最初にチョコの甘い香りが来て次にバニラと苺の香りがするのに対して味はピーマンとセロリの苦味とメロンの甘さがあり、途中魚の生臭さが口の中に漂い最後に納豆の味が来る。》

「どう?」

 神崎が心配そうに蒼龍を見る。

「不味い。この世のものとは思えない。」

「そんなはずは。先生が渡したのはバニラの方なんですが。」

 ハムちゃん先生は慌てた様子でその飲み物のカップを見た。

「しまった。全部の能力を混ぜたミックスジュースを渡してしまいました。」

 ハムちゃん先生は大声を出した。

「どんな味がするの?」

 神崎は恐る恐る問うた。

「説明書によると今、彼の口の中でチョコとバニラと苺とピーマンとメロンとセロリと魚と納豆の味と香りが来ています。そして最後に痺れが来ます。」

「大丈夫なのそれ?凄く不味そうよ。」

 みんな駆け寄ってきた。

「蒼龍君吐き出して。」

「アッグッゲッ。じだがじびれる。」

「どうしたの?大丈夫?水いる?」

「だ・・・・・・ず・・・・・・げ・・・・・・で。」

 そう言うと蒼龍は気を失った。

「蒼龍くーん。」

「先生。彼はどうなるんですか?」

 奥沢は問うた。

「能力がぶつかり合い消滅します。」

「どういうこと?」

「簡単に言えば能力を得られず、不味い飲み物を飲んだだけになってしまいます。と、とにかく先生が保健室まで運びますので皆さんは教室に戻ってください。」

 そう言うと先生は保健室に運んで行った。

 第五話「出会いと不幸」~完~

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