刀匠、鎚を振るう
全話通して一部表現を変更いたしました
魔術→魔法
フェルガナスの声が聞こえてからどれくらいこうしていただろうか。
いつのまにか炉の温度は高まり、いつでも鍛造出来る状態になっていた。
「・・・何が起きたかさっぱりわからないんだが。とりあえず、何かが起きた?」
とりあえず手に持った鎚を一度置き、腰に下げていたショートソードを外す。
柄を取り外し、鍔を外し、表面の汚れを磨いて落とす。
そのまま茎を鉄鋏で掴み炎に焚べる。
全体に熱がしっかり伝わるまでの間に俺自身に起きた異変を調べることにしよう
「ステータスオープン」
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Name:アルバス=セルタニス
Age:12
Lv:21
種族:人族
職業:冒険者
体力:2100/2100
魔力総量:1000/1000
力:3200
知力:1500
敏捷:1300
器用さ:5200(+600)
運:850
スキル(基礎スキル):成長補正(特大)、魔法適正(特大)、武術適正(特大)、技能適正(特大)、魔獣理解(中)、???(???)
スキル(術技スキル):剣術Lv6(MAX10)、抜刀術Lv1(MAX10・New)、火魔法Lv7(MAX10)、風魔法Lv7(MAX10)、土魔法Lv7(MAX10)、空間魔法Lv2(MAX20)、隠蔽術LvMAX、鑑定LvMAX、鍛冶術Lv5(MAX20)
スキル(加護スキル):女神の寵愛、鍛冶神の寵愛、剣神の寵愛、魔神の寵愛
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「なんだこりゃ、何も見えないスキルがひとつあるな・・・。この間まではなかった、ということはやっぱりフェルガナス様からと、言うことか・・・?」
祝福の儀のように神々からのメッセージはステータスに映ってはいないが、見たことも無いスキルが発現している。
だが、体に異変もないし、異常は感じない、が。
「けど、何だこの器用さの後ろに着いたプラスの数字・・・」
何かしら補正が入ったということだとは思うが、何がどうしてこうなったかさっぱりわからん。
他にスキルには何も変化はないか確認をしていると、鉄鋏越しに伝わる感触が、適温を伝えてくる。
「まずは、こっちだな。」
炉から取り出し、鎚を振るう。
刀身全体の厚さを一度均一に伸ばし、整える。
もう一度炎に焚べ、温度が上がったらまた叩く。
それの繰り返し、繰り返し、繰り返し。
「材質は鋳鉄か。鋼やら玉鋼を使ってるわけじゃない。となれば・・・。」
既に芯鉄が入っている一振の剣を全く別物の作り替えることは正直手間だ。
全てを溶かし、芯鉄を形成し、刀身を形成する。
そうなれば作業工程も断然増える。ここを使える時間は限られている。
ならば必然的に最短工程で済むようにする。
刀身の強度が足りないのは焼入れをしていないからと推測する。
とはいえ鑑定結果に『鍛冶術で量産〜』とあったとおり、このスキルには実際に鎚を振るう以外にも増やす方法があるらしい。
レベルだけがある程度高い俺でもスキル自体に対する理解が低い為、まずは己の力量を試す意味も込めて鎚を振るい続ける。
もっと簡単に武器を量産できると言われても、やはり自分で鎚を握って作ったものにこそ想いはこもるし、仕上がりもいいと思いたい。
何度も何度も叩いては熱し叩いては熱し。
この剣の限界を見極める。
転生する前よりも一つ一つの作業は早くなったように感じる。
肉体は若返ったが寧ろ若すぎる。それでもあの時よりも効率がよく感じるのはステータスとスキルの違いが1番なのだろう。
鎚を振るう。刀身が上げる音を聞く。
「ここだ。」
瞬間を見極め、水瓶に差し入れ一気に冷却する。
一緒に備え付けられていた砥石を使い研ぎあげる。
両刃の剣が輝きを取り戻していく。
合わせて磨いておいた鍔を取り付け、柄を取り付ける。
最後に目釘をしっかりと締め、作業は終わりだ。
「・・・よし、出来た、俺の初仕事だ・・・!」
全てを1から作った訳では無いが、今できる鍛造としては十分な仕事ができたと思う。
この世界の評価基準でどの程度の判定が出るかは分からないが、少なくとも初期よりは何倍もマシな造りにはなったはずだ。
「・・・鑑定。」
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種類:ショートソード
品質:C+
切れ味:C+
耐久値:70/70
説明:鍛冶術で量産された粗悪品を打ち直した品。一般的なショートソードより質はよく、頑強。
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無事、鍛造に成功したようだ。
品質も切れ味もだいぶ強化された。
耐久性に至っては7倍も変わっている。
柄を握り、軽く振る。
さっきまで持っていたショートソードと同じ物とは思えないほど手になじむ。
軽く振った感覚も、前よりも軽く振りきることが出来る。
「ふぅ・・・。よし。これでひとまずは安心だな。」
ショートソードを立て掛け、鞘を一度開き幅を合わせる。
もう一度合わせ不具合がないことを確認して全ての行程が終了。
途端、体にまた不思議な感覚が訪れる。
先ほどと同じ何か力が染み込んでくるような不思議な感覚。
これは、スキルレベルが上がったのか・・・?
「ステータスオープン。」
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Name:アルバス=セルタニス
Age:12
Lv:21
種族:人族
職業:冒険者
体力:2100/2100
魔力総量:1000/1000
力:3200
知力:1500
敏捷:1300
器用さ:5200(+600)
運:850
スキル(基礎スキル):成長補正(特大)、魔法適正(特大)、武術適正(特大)、技能適正(特大)、魔獣理解(中)、???(???)、鉱石理解(大・New)
スキル(術技スキル):剣術Lv6(MAX10)、抜刀術Lv1(MAX10・New)、火魔法Lv7(MAX10)、風魔法Lv7(MAX10)、土魔法Lv7(MAX10)、空間魔法Lv2(MAX20)、隠蔽術LvMAX、鑑定LvMAX、鍛冶術Lv7(MAX20)
スキル(加護スキル):女神の寵愛、鍛冶神の寵愛、剣神の寵愛、魔神の寵愛
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「鍛冶術のレベルが上がってるな・・・。それに、鉱石理解ってのが増えてるのか・・・。」
やはりスキルレベルが上がっている。
それと、鉱石理解という新しいスキル。これは鍛造する上で鉄を加工する最適温度を理解していたことが起因しているんだろう。
けど、これがスキルとして発現したということは、他の鉱石やそれに近しい物は同じことが出来る可能性があるな・・・。
これは、使える。
自分用に別の武器を一から仕上げようと思ったらこの世界の鉱石のことを全て調べないといけない。
だが、今の状態であれば恐らくだいたいの鉱石は把握出来るはず。
今度、商業区で鉱石を調達して調べてみよう。
色々考えを巡らせていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「アルバス、いるかな?」
返事をするより早くドアが開き、ミネルヴァが鍛冶場に入ってきた。
「これはミネルヴァ学長。このような場所までどうされました?」
「いやなに、リンネから君の鍛冶場の使用許可が来ていたからね、せっかくだから様子を見に来たんだが、これからだったかな?」
どうやら俺の鍛冶術のこともあり、気になっていたようだ。
既に作業は終えているが、さてどうするか。
まぁ、ここは素直に行きますか。
「いえ、実は既にこれの再鍛造を終わらせたところです。」
「ん?それは昨日君が持っていた剣だな?だが、確かあれは量産品だったはずだが・・・?」
首を傾げるミネルヴァに鞘に収めたショートソードを手渡す。
だが、ちょっと気になることがある。
量産品というのを気にしていた。どういう意味だ・・・?
「・・・!?これは・・・!?」
鞘から引き抜いた剣を目にして驚愕に目を見張る。
鞘を置き、刀身の腹をなで、柄の握りを確認し、おもむろに数度振る。
風を切る音が動作とずれて聞こえる。
それだけ素早い動きだったということだ。
この人は本当にすごい人なんだと言うことを実感する。
なんて感心しているとミネルヴァは俺の肩を掴んで鼻がぶつかりそうなほど顔を近付けて訪ねてくる。
「これは、どうやったのだ?!」
「え、どう、と言われまして・・・?!」
興奮冷めやらぬといったミネルヴァだったが、次の瞬間ハッとして手を離し居住まいを正し、再度こちらに向き直る。
「いや、済まない。取り乱してしまった。」
「い、いえ、大丈夫です。それで、どうやった、というのは鍛造した方法、ですか?」
「ああ、そうだ。いや、だが君は私の疑問を正しく理解していないとおもう。順を追って説明しよう。」
壁側に寄せてあった椅子を2脚持ってきて腰掛け、こちらにも座るように促す。
「まず、君は鍛冶術についてどこまで知っている?」
「え、それはどういう意味ですか?武器を製造、及び鍛造するスキル、ではないのですか?」
「ああ、その通りだ。その通りだが、それは正解であって正解ではない。ニールには鑑定を持つ物は居なかったか?」
「ええ、鑑定は希少なスキルだと、伺っています。」
まぁ俺自身持ってるけど、隠蔽してるし。
「そうだ。その為、この王都でも私を除けばアルセナス教団の大司教だけだ。」
この人も鑑定持ってるのか。本当に多彩だな。
「そして、鑑定は武器や素材の鑑定の他にも、他者のステータスやスキルを調べることが出来る。」
「・・・?!」
背筋が凍る。これは知らなかった。というか、気づくべきだった。
鑑定を持っている人が少ないからこそステータスプレートの必要性がある。
だが、鑑定を持っていれば?相手のことは見ようと思えば見ることが出来る。
この人、俺が隠蔽していることを知っている?!
緊張でのどが乾く。
別にずっと隠し通せるとは思っていなかった。だが、前のようにはなりたくなかったからこそ、必要な地盤を固めてから知られたかった。
だからこそ、心臓が早鐘をならす。
「安心していい。君のことは鑑定していない。何か隠していることは察しているが、それを詮索するつもりはない。君が見ていいというのならば、鑑定するが?」
「・・・いえ、今はまだ、ご容赦いただきたく。」
「君は素直だな。そういうところは好感を持てるね。わかった、時が来たら教えてくれ。」
クツクツとのどを鳴らし、笑っている。
こっちはほっとしたような、生きた心地がしないような、何ともいえない感覚だというのに。
「話が逸れたな。それで、自分のスキルを見ることも出来るし、相手のスキルを調べることも出来ると、今説明したと思うが、私は以前承諾を得て、鍛冶術を持つ職人のステータスを鑑定したことがある。
鍛冶術を鑑定してみると、驚くべきことがわかったのだ。鍛冶術を一定まで極めると習得することが出来る技能として『武具量産複製』という物があるらしく、必要な材料を必要数揃えることで、過去に自分が制作したのと姿形が同じ量産品を作り上げることが出来ると言う物だ。だが、このスキルには重大な欠点がある。」
「欠点、ですか。」
「ああ、重大で改善のしようのない欠点、それが生産した本人が過去に制作した物よりも等級が低い物しか作成することが出来ない、その上生産した本人でも、再鍛造は出来ない、修繕すら出来ないという物だ。」
なんだそれ?!まるで使い捨てじゃないか。
確かに戦争のように大量に武器が必要になる場面は存在する。
そんなときに劣化するとはいえ材料さえあれば量産できるのは実際非常に役に立つと思う。
だが、再鍛造も修繕も出来ないのでは、資源の無駄である上に処理に困ると思うのだが。
「再鍛造も修繕も出来ないと言うことは、耐久値がなくなった物はどうなるのです?」
俺は当然の疑問をぶつけてみることにした。
何となく、それしかないかなという答えは胸の中にはあるが、聞いてみるほかない。
「まるで何もなかったかのように、塵になる。」
「そう、なんですね。」
まぁ、そうなるのだろうな。正直不可解だがそれしか説明が出来ないだろう。
要は、鍛冶術だから。まるで魔法のように、何かしらの力が働くのだろう。
だが、だとしたら。
「・・・学長の驚かれた理由がはっきりわかりました。本来なら寿命と共に消え去るはずのこの剣が、何故打ち直すことが出来たのか・・・。」
「そういうことだ。だが、君も答えはわからない。なぜなら君自身スキルに関して今知り得たから。そうだな?」
「その通りです。」
軽いため息と共に、ミネルヴァが立ち上がる。その表情はどこかすっきりとした物だった。
「なら、それでもいい。仮にこの剣を君が一から仕上げたと言われても驚くほどの出来だ。誇っていいと思う。もし、再鍛造に関してわかったことがあれば教えて欲しい。もちろん、君の力を口外することも、詮索することもしないと誓おう。」
「わかりました、学長を信じます。なにかわかれば、お知らせします。」
「ああ、ありがとう。夕刻までは時間がある。しばらくここを使っても問題ない。」
剣を鞘に戻し、手渡してからミネルヴァが部屋を後にしようとする、が、何かを思い出したのか再度こちらと向き合う。
「ああ、そうだ、すっかり忘れていた。鑑定だが、これは相手に視線を向け、魔力をある程度放つ必要がある。その為相手が鑑定を使おうとしているかどうかは直ぐ判別出来る。もし今後悪意ある物がお前を鑑定しようとも直ぐ察知することが出来るだろう。ステータスプレートに施したように、相手の鑑定に対しても隠蔽は有効だ。
・・・まぁ、君が隠蔽を使えるならば、と言う前提が着くが、な。」
そこまで推理するのは許してくれよ?と言うように軽くウィンク混じりにこちらに言葉を投げかけ、それを最後に部屋を後にする。
・・・色々一気に起きすぎて頭の整理が追いつかない。
とりあえずわかっていることを整理しよう・・・。
・鑑定は対人対物対スキルに対して有効、内に秘めた力、スキルの詳細などを調べることが出来る。
・鍛冶術を一定レベルまで修めた者は過去に自分が生産した武器を材料さえ揃えることで量産出来る。
・量産した武器は再鍛造、修繕を行うことが出来ず、耐久値がなくなると消滅する。
・隠蔽は鑑定に対しても有効。
・鑑定はある程度魔力を放つ為察知が出来る。
とりあえず、こんなところだろうか。
うーん、これはどうしたものか。
ミネルヴァを味方に付けておく方が安全にも思える。
だが、昨日今日知り合ったばかりの人とどこまで信用していい物か。
特に、この国の中核を担う貴族家の現当主。
ここは慎重にならざるを得ない。
それと、さっき話に出た大司教。確かアルセナス教団と言ったかな。あの女神様を信仰する教団。
これ、他の神様を信仰する教団もあるのだろうか。
ニールに居たときは何度か教会に足を運んだけど、そういえば何を信仰する教会なのかとか興味がなかったから調べてなかったっけ・・・。
焦ったところで始まらない。入校生の中に鑑定持ちが居て、無作為に鑑定をされない限りは今のところ危険は少ない。
・・・ただまぁ、むしろ俺のステータスは他の人に知られたら畏怖されるだろうな、うん。
とりあえず、今は俺が出来ることをして、今後どうするかを考えるのはまだ先でいいだろう、うん。
ミネルヴァと話をしていたときからすっかり放置してしまっていた炉の炎はすっかり弱くなってしまったが、まだ持ち直すことは出来る。
時間はまだある。教練用に準備してあった材料に鋼があったのは確認済み。
大きな物は作れないが、せっかくだ、もう一本なにか作ろう。
炉の前に座り、鋼を一塊炉に放り込む。
鞴を使い温度を上げていく。
先ほど使った物より長い鉄鋏を使って鋼の具合を確認する。
適温まではまだしばらく掛かる。
その間に、確認しておきたいことがある。
「鑑定、対象『鍛冶術』」
自分の内に意識を注ぐように魔力を巡らせる。
ステータスを確認するときのように目の前に文字が浮かび上がる。
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スキル:鍛冶術
Lv:7 MAX20
詳細:金属、鉱石を加工する職能スキル。一定レベルに到達すると技能補正や特殊技能を習得する。
獲得技能:武具量産複製(Lv5・解放段階1)器用さ補正(Lv6)、鉱石理解補正+1(Lv7)
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どうやら俺も量産は出来るようだ。だが、解放段階というのがあるらしい。
これはレベルが上がれば解放される、ということだろうか。
だが、これを見る限りだと鍛造出来ることとは結びつかない。
そうなると、予測できるのは加護。
鍛冶神の寵愛。
このくらい出来そうな気もする。
だが、このスキルを鑑定するのは、正直怖い。
いや、だってこれ、絶対色々やばいこと書いてる気がする。
心の準備が今は出来ないから、今度ゆっくり他のスキルも含めて調べよう。
それにまだ何もわからない謎スキルもある。
ちょうどそのとき、鉄鋏から適温が伝わる。
金床に取り出し鎚を振り下ろす。
全体を均一に伸ばしていく。
折り返し再度叩く。
また折り返し叩く、折り返し、叩く。
何度も何度も熱し、叩き、折り返し、熱し、叩き、折り返し。
何度も何度も繰り返す。
そうして鋼を鍛え上げる。
刀身を鍛え上げる前に、茎を仕上げていく。
サイズ的にはそこまで大きいものにはならない。
片手で握れる程度の大きさを目指す。
刀身は扱いやすい片刃へ。
叩き、延ばし、冷やしこみ、熱し、また叩く。
鎚を振り下ろした時の音が変わる。
その音を合図に水瓶に全体を浸し急速に冷やしこむ。
全体の歪を確認し、砥石をかける。
刃を整え、バリを落とす。
鍔は付けず、仕上げる前に茎に銘を掘る。
最後に革を巻き付けて柄の代わりにする。
完全1から作った作品、今生で1本目。
そういえば転生する前も初めて作ったのはこれだった。
「鑑定。」
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種類:短刀
銘:
品質:A
切れ味:A+
耐久値:120/120
説明:アルバス=セルタニスが仕上げた短刀。非常に頑強で強靭。
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材質も再鍛造したショートソードよりいい為、上のものができるとは思っていたが、ここまでか?!
これ、絶対加護が何か働いてる。間違いない。
そして、まただ、何かが染み込んでくる感覚。
未だになれないが、スキルが成長したということなのだろう。
何が成長したか気にはなるが、まずはここの片付けをしてからだ。
炉の火を落とし、道具を片付ける。
その傍ら今しがた仕上げた短刀用に簡単に鞘を仕上げる。
そんなに時間もかけられない為、ありあわせのものだが。
それでもやはり、作業は早くなったように感じる。
片付けが終わり、短刀を鞘に納める。
部屋の外に出ると既に外は夜の帳を落としていた。
「気が付けばもうこんなに暗くなっていたのか。明日は入校式だし、戻って早めに寝なければ。」
実技教練棟を抜け、本館を抜け、寄宿舎へ向かう。
そのうち、自分だけの作業場がほしいな、なんて考えながら寄宿舎の自室へ。
明日は入校式ということもあり寄宿舎の中は若干ざわついていた。
今日到着した生徒も多く、昨日よりも騒がしく感じるくらいだ。
とはいえ、昨日は部屋についてすぐ寝落ちしてしまったからよくわかっていないが。
「さぁ、明日からはもっと忙しくなるんだろうな。楽しみだ。」
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