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幕間~魔族の戦い

前回から期間があいてしまいました。

次話から2章突入です。

王都に魔族が現れてからしばらく経ち、二度目の春が目前の頃

王都から遠く離れた地。深い谷底に蠢く影があった。

アルバスと戦い、その場から逃げ逃れた嫉妬のファシリス。

その姿は依り代となったイライザの面影はなく、変貌を遂げていた。

腰まで届く黒い髪、妖艶な雰囲気を称える漆黒のドレスローブ。

見つめる先にあるのは紫紺のオーラを放つ巨大な結晶体。

まるで脈打つようにオーラが蠢き、生き物のように脈動する。


「やっと、完全に顕界することが出来たわ。全く、何でも良いとは言っても、何も小娘じゃなくてもいいじゃないの。時間が掛かりすぎよ。」

「まぁ、それでも俺たちを冥界から召喚してくれたんだ、それくらいはよしとしようや。」


ファシリスがため息交じりに文句を言うと、暗がりから一人の男が姿を現す。

だが、彼もまた、ただの人ではなく、魔族。

王都に現れた魔族の1人、フィガロ。

緋色の髪を逆立てた男の体も依り代となった学生の面影は既に無く、まるで獰猛な野獣のように筋肉の塊の様な肉体になっていた。

フィガロの後ろに立ち、おびえた表情を浮かべる男。

彼が、彼こそが魔族を召喚した張本人。

この場にいるには似つかわしくない、ただの、人間。


「それで、アンタ以外はどこにいったわけ?フィガロと一緒に残った理由も、いまいちわかんないんだけど?」

「棄てられた館が近くにあることがわかり、同胞は皆そこの接収に向かいました。皆様の、拠点に出来ればとのことで・・・。」

「あっそ。で、アンタはおいていかれたわけね。」

「・・・。」


冷めた目を向けられ、萎縮する男。

だが、握りしめた拳は真っ赤に染まり、悔しさがにじみ出す。


「安心しなさい。アンタの願い通り、あのアルバスって男は私が八つ裂きにしてあげる。アンタにはなにもできないでしょうからね。」

「あ、ありがとう、ございます・・・。」

「ファシリス、虐めてやるな。こいつは俺たち七魔公を復活させた代償で加護が全て消えちまったんだ。可哀想じゃネェか。なぁ?」


フィガロに肩を叩かれ同情された男は、体を震わせ、悔しさをにじませる。


「俺に、力があれば、あんなやつにあんな想いをさせられることもなかったんだ。俺は悪くない、悪いのは、あいつなんだ。アイツが、アイツが逆らわなければ・・・!」


完全な逆恨みだが、これがこの男をここまでさせた原因。

この男、エミールがアルバスを恨む理由。

勧誘を断り、学長により厳罰を受ける原因になったあの事件を逆恨みしているのだ。

そんなことで、と周りからすれば思うだろうが、彼はそれ以降、学級内ではもちろん、周りから疎まれる存在となった。

取り巻きは全員他の派閥に奪われ、居ない者として扱われた。

これまで味わったこともない屈辱に、腸が煮えかえる想いだった。

そんな中、寄宿学校内に居た魔王崇拝派の学者たちから声を掛けられ、復讐のために魔族復活に力を貸すことになった。

だが、それも、利用されたのだと気づくには遅すぎた。

冥界に堕とされた魔族を復活させることはこの世界の神々に逆らうと言うこと。

そうなれば、祝福の儀で授かった加護も、スキルも、全て失うことになる。

復讐心で正常な判断が出来なかったエミールは、事の重大さに気づくのが遅すぎた。

王都から他の学者たちと逃亡を果たしたとき、自分に起こった変化に気がついた。

以前までならなんてことも無かった距離を走っただけで息が上がる。

大きな荷物を運ぶのにも苦労する。

こんなことになるなんて思っていなかった。


「ま、それもそうね。もう少し我慢なさい。アンタの犠牲は無駄にはさせないであげるわ。」

「そ、それはどういう・・・?!」

「安心なさい?別に殺すとかじゃないわ。」


犠牲という言葉に酷く反応する辺り、いつか生け贄にされるのではないかと考えていたのだろう。


「前魔王であるガルバドス様を復活させることが出来れば一番だけど、それは無理ね。完全に魂まで浄化されて討滅されているわ。ただ、それでも肉体の一部が封印されていたのは暁光よ。」


愛おしそうに安置されている結晶体をなでる。

脈打つその結晶の中をよく見れば腕らしきものが見える。

禍々しい魔力を蓄えたそれは、まるで生きているようでもある。


「ガルバドス様の命は尽きても意思は生きているわ。これを依り代に、新しい魔王様を誕生させる。」

「その為にも学者連中にはしっかりと成果をだしてもらわないとな。」


頭をかきながらフィガロがおもむろに何かの包みを開く。


「なにそれ。」

「アノマドが取ってきた、()()()だ。」

「それが・・・。けど力を失っているのでしょ?」

「そうだな。7つに分けられた遺物の1つ。力を失ったから近付けた分けだが、それでも力の残滓を感じる。」


中から取りだしたのは一振りの短剣。

今は完全に朽ち果ててしまっているが、元々は聖の魔力が込められた聖遺物。


「これを、反転させて取り込めば、もう遅れを取ることはねぇさ。」


フィガロの手から邪悪な魔力が遺物に込められていく。

朽ち果てていた聖遺物がみるみるうちに黒く染まっていく。

最終的には1つの球体に変貌した。

漆黒に染まるそれは、力の塊であることがわかる。

それをおもむろに結晶体に放り投げると、意思があるように紫紺のオーラがそれをつかみ、結晶体に取り込んでしまう。


「これで、残りは6つ。力が残ってる2つを除いて、残りを今他の奴らが奪いに向かってる。あと少しだ。」

「そうね、もう少し、もう少しで念願が叶うわね・・・!」


2人を覆うように漂う魔力は、人々が帯びる魔力とは違い邪悪な気配を感じさせるもので、それを見る度にエミールは恐怖するしかなかった。

今のエミールにはそれにあらがうことは何もできない。


「アンタにも、手伝ってもらうからね。覚悟しなよ。」

「わ、わかっている・・・。」

「そ、ならいいんだけどね。」


こっちに目を向けず、威圧感を放つファシリスに、エミールは反抗することはできない。

自分の行く末はいずれ死ぬことになるとわかっていても、それでもエミールはアルバスが苦しむことを夢見るしかなかった。

自分が味わった苦痛をそれ以上に味逢わせなければ気が済まない。


「まったく、アンタは本当に負の感情の塊ね。心地良いわぁ、その目。」


ちらりとこちらを見たファシリスはエミールに対して侮るような視線を向ける。

それでも構わなかった。

アイツがどうにかなれば。


「さて、俺はそろそろ次の仕事に向かうぞ。」

「そ。わかったわ。」


フィガロの背中から一対の翼が生まれ、一呼吸のうちに空に飛び上がる。


「アタシも次の地点に行ってくるわ。拠点の整備しっかりしておくのよ。」


ファシリスもフィガロ同様、一対の翼を生やしどこかへ飛び去っていった。

残されたエミールは何もできないまま、そこで待つしか無かった。


「お前だけは、お前だけは許さないからな、アルバス・・・!お前が苦しむ未来が楽しみだ・・・!!」


何度目かわからない怨嗟の声を上げる。





この日を境に、各地で襲撃が発生する。

場所は全てバラバラ。

王国、聖王国、帝国、共和国、連合国、未開の山脈、海

まるで何かを探すかのように、至る所で魔族が目撃される。

被害はさほど大きくはないが、狙いがバラバラな為、防衛もままならない。

その為各国は騎士団や神殿騎士団、傭兵団を分散して派遣し警戒する他無くなった。

結果として、魔族が探している聖遺物は効力を残している1つと、その他に王国が保有する2つ以外が全て奪われてしまった。

最後の最後まで王国の聖遺物は死守することができた。

最後の聖遺物が効果を失うまで残り幾ばくも猶予はない。

そのとき、何が起こるのかは未だ誰も予期できないで居た。

この作品を投稿し始めてから今日でちょうど2年となりました。

1年間は実質投稿できていなかった期間ではありますが、昨年から投稿を再開。

リアルの仕事の都合もあり、中々安定して投稿できず、大変申し訳ないです。

春先にかけて仕事がバタバタと続くため、安定投稿しますと宣言はできませんが、今までよりも

投稿頻度を上げることができるよう、鋭意努力して参ります。

是非また皆様に読んでいただけるように日々研鑽致します。

今後ともどうぞヨロシクお願いいたします!


いつもお読みいただいてありがとうございます!

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