表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/34

刀匠、魔族と戦う

更新が遅くなり大変申し訳ありません。

遅筆ではありますが、執筆は続けております。

ゆっくりとお待ち頂ければ幸いでございます。

ファシリスの目が怪しく光る。


「『炎弾誘導フレイムビット』」


周囲に無数の炎球が生み出され、一斉放たれる。

炎系上級、狙った相手に追尾誘導する炎弾を撃ち込む魔法だが、普通なら1~4発程度しか一回で放つことが出来ない。

だがファシリスはざっと見た限り10を超える数の炎弾を作り出している。

それだけで魔族が人よりも魔法に対する適正が高い事がわかる。


「『水弾誘導アクアビット』!」


そのまま打ち落とす事も出来るだろうけれど、それでは体力を無駄に消耗する。

火には水を。相手が作った炎弾と同数の水弾を放ち打ち消す。


「アンタ、なかなかやるねぇ。そりゃあいつが殺したがるわけだァッ!!」


炎弾の勢いが増す。

数が増え、密度が増していく。

その分相手の弾速が少し落ちたところを狙い、数と速度で捌く。


『嫌な気配がしたので様子見に来てみたらこれはどういう状況ですか?!』

「ケルか?悪いが喋ってる暇は無いから記憶を読むなり思考を読むなり勝手にしてくれ!!」


普段は向こうからコンタクトを取ってくることがないケルビムが混乱したように「壁の向こう側」で騒いでいる。

スキルらしいが、こう表現するのが一番しっくりくる。


『うっわ、魔族ですか?!しかも、あの魔力波長は嫉妬のファシリス?!』

「っと、あいつのことを知ってるのか、ケル?!」

『ええっと、まだ詳細は説明出来ませんが、前魔王の配下で、冥界に堕ちたはずの魔族です。誰かが冥界から・・・?!』


炎弾の猛攻の中から魔力で形成された鎌が振るわれる。

咄嗟に後方に飛んで事なきを得るが、こいつは魔法だけでなく接近戦もできるらしい。


「ほらほら何を呑気に考え込んでるんだい?!そんなんじゃあ一瞬で終わっちまうよッ!!」


鎌の猛攻に合わせ、炎弾も飛び交う。

今まで戦ったどんな魔物より、手強い。


『・・・と、いいながらもこの猛攻を冷静に捌いてる貴方のお陰で、冷静さを取り戻せました。相変わらず規格外ですね、主様。』


そんなこと言われても困る。

まだ目で見える範囲の攻撃なら、感覚で何とか捌ける。

魔法も昔練習した遅延発動術式の応用でいくらでも反撃はできる。

まだ、一応今の俺の限界には程遠いと言ってもいい。

やっとまともにやり合えるっといった感想だ。


『・・・ほんとにあの人はとんでもない人をこっちの世界に召喚してくれましたね、まったく。』

「それよりも、あいつをどうにかする方法を教えてくれ。」

『今のままでは、魔族だけをどうにかすることは難しいです。それに、恐らくですがあの状態だと既に元の女生徒の魂はもう・・・。』

「そうだろうね。となれば、アレをもう完全に消し去るしかないって事?」

『そうなんですが、ただ、恐らくそれも難しいと思います。』


なんか、煮え切らないな。

とりあえず、何とかまずは牽制しないといけないか。


「仕方ない、ぶっつけ本番、行きますかっ!!」


炎弾の隙を突き、地面に向かって魔力弾を叩きつける。


「何ッ!?」


一瞬出来た隙を突いて収納魔法から金属の塊を取り出す。

纏めておいた魔鉄。片手剣にした場合で凡そ20本分。


「瞬間精錬『連鎖』ッ!」


地面においた魔鉄の塊に手を当て、魔力を込める。

魔鉄の精錬を何度も何度もしているうちに『鍛冶術・鍛』のもうひとつの技能が発現した。

それが『瞬間精錬』。

1度作ったことがある物であれば、材料を準備して発動すれば一瞬のうちに精錬することが出来る。

ただし、ランクはC以下の物に限る為、ほとんどの武器には使えないが、連鎖は頑強な魔鉄で出来た鎖だ。

扱いは金属物質でランクはギリギリのC。


「魔力操作・誘導ッ!」


精錬された連鎖に魔力を伝播させ、手足のように動かす。

作られた連鎖は合計4本。

地を這うように一斉に動き、ファシリスに迫る。


「ちっ、そんな小細工効かないネェ!」


素早く鎌を振り回し、連鎖を弾く。

だが、それでも全てを一気に捌くことは出来ず、2本に連鎖が足と腕に絡みつく。


「ナニッ?!」

「『電撃ライトニング!』」


連鎖を伝って電撃を打ち込む。

電撃でひるんだ隙に残りの2本の連鎖で残りの手足も拘束する。


「くっ、やるじゃないか、アンタ。やっぱりアイツの言うとおり、アンタはただ者じゃなかったネェ・・・!」

「アイツって、誰だ。」


連鎖で拘束されていても余裕なのが気になるが、そんなことどうでも良い。

ここから先どうするか、考えろ。


「それはアンタが知る必要は無いさね。今のままじゃアンタは殺せないし、アンタもアタシを殺せない。だからここは引かせてもらうよ。」


両腕両足を拘束してるのは魔鉄で出来た連鎖だ。そう簡単に壊せるわけがない。


「フンッ!!」

「なっ!?」


ファシリスの体から魔力が急激にあふれ出し、連鎖を一気に浸食して砕け散る。

こんなにもろく壊れるのか、魔鉄が?!


『魔剣が今の現世に残っていない原因は、魔族の魔力に含まれる『邪力』による劣化が原因です。』

「んなの、聞いたこともない!なんだそれ、反則じゃねえか・・・!」


下手にレヴァンティン出さなくて正解だったかもしれない。

魔鉄製の武器は魔力の親和性が高すぎる為、よくわからない魔力に侵されて破壊される可能性が高い。


「他の奴らも痛い目にあったみたいだね。今日のところは引くよ。アンタはアタシが殺す。だからそれまでは誰にも殺されるんじゃないわよ!」

「待てッ・・・・!!」


魔力が急に高まり、ファシリスの足下で爆発する。

地面が弾け飛び、土埃が吹き荒れる。

土埃が晴れたときには、既にファシリスはその場に居なかった。

いつの間にか舞台上に張られていた結界をごと消え去っていた。


「なんて魔力してるんだ・・・。」

『あれでもまだ、完全復活ではないんです。』

「上には上が居るって事か・・・。って、それよりも速く追いかけないと!」

『いえ、もう王都には奴らの魔力反応ないです。他にも居たようですが、残滓すら感じません。おそらくは、既に国外でしょう。』


この一瞬でそんなに移動できるというのか。

転移魔法の一種か?俺の知らないこともまだまだあるな。


『主様、今回の件は天界でも調査します。深追いはしないようにしてください。まだ、何が起こってるのかわからないので。』

「わかった。とりあえず、その邪力っていうのに対抗出来る用に、色々策を練るしかないな。」

『ほんと、ポジティブですねぇ・・・。まぁその辺りは無理のない範囲でお願いします。それでは。』


ケルからの反応がなくなって少しした頃、控え室側の扉が開かれ、誰かが走ってくる音が聞こえた。


「アルバス、無事か?!」

「学長、それに陛下?!」


そこに居たのはミネルヴァと陛下。

何故二人が?他のところは大丈夫なのか?


「こちらは無事です。残念ながら取り逃しましたが。」

「そうか。アルバスなら問題ないと思ったが、なるほどこれはひどい。」


ミネルヴァが辺りを見回し、苦い顔をしている。

それもそうだ。ここに設置されていた結界装置は全て破壊されている。

あの一瞬で全てを破壊して、ここから逃げ出したと思うと、やつの魔力は相当な物。

正直、あの場でやり過ごすことが出来たこと自体奇跡と言うことか。


「アルバス、自身の危険を顧みず王都を守るために知らせをよこしたこと、大義であった。」

「はっ。身に余る光栄であります。」


略式の礼を取り、陛下に体ごと向く。


「して、相手は何者だったのだ?魔族と、名乗ったらしいではないか。」

「はっ。名は、ファシリスと名乗っておりました。恐らく過日起こった学生が怪我をした事件と何かしら関わりがあるかと思われます。」

「やはり、そうであったか。他の場所で同時に励起した魔力爆発。あの場の中心に居たのも、それぞれが先の被害者たちであった。その全員が、ひとしきり暴れた後、その場から姿を消したのだ。」


やはりそうか。となれば、原因となった「あいつ」とは、一体誰だ?

俺自身が関わった相手に覚えはないんだが。


「おい待て、アルバス。今、ファシリスっていったか?」

「え?あ、はい、学長。相手は自分をファシリスと名乗っていました。」

「おい、ガイアス、まさかファシリスって」

「うむ。記憶違いで無ければ、討滅された前魔王の眷属だったはずだ。」


歴史書に名前が記されていたかもしれないが、正直ケルビムに言われるまですっかり気づかなかった。

それを覚えているなんて、この二人、やっぱりすごいな。


「そんな大物を相手して無事だったとは、流石と言うべきか、変人と言うべきか。」


苦笑を浮かべるミネルヴァだが、変人は余計だ。


「それで、他の場所で被害はあったのですか?」

「怪我人は出たが死者は出ていない。ジェシカたちも全員無事だ。今は寄宿学校に全員集合しているはずだ。」

「そうですか、よかった。」


全員が無事ならそれでいい。

破壊された連鎖を全て回収して収納魔法に納める。

これをしっかり調べて、対抗策を考えなければ。

それに、まずは自分の能力を高めなければ。

自分の鍛冶能力を高め、自分を更に高みへ。


「アルバス。」

「はい?」


学長が神妙な顔をしてこちらを見ている。


「無理はするな。周りを頼れ。いいな。」

「・・・はい、ありがとうございます。」


予想以外の言葉に、一瞬反応が遅れてしまった。

一人だった前世と違い今はみんなが居る。


「さぁ、ここは騎士団に任せてアルバスも寄宿学校へ。」

「わかりました。失礼します。」


この場を任せて寄宿学校へ向かう。

寄宿学校でみんなと合流したとき、アニータは泣きながら抱きついてきて、ジェシカも眼に涙を浮かべていた。それだけ心配させてしまったと言うことだ。反省するべき点だな。

しばらく学舎で待機した後、解散となった。

その後、騎士団の調査の結果、各現場に残された魔力から、相手は間違い無く魔族であることがわかった。

また、この事件の後行方不明になった生徒は、ファシリスに体を奪われたイライザを含めて7人。

対抗戦前に負傷した生徒3人の他に、更に2人。

そのほかに、どうやら魔法院の学者が数人、貴族院の人間が何人かが失踪したようだ。

どうやら魔族崇拝主義の人間が今回の件を扇動したようだ。

恐らく俺に対する恨みというのはカモフラージュだったのだろう。

被害があった場所の復旧は相当時間が掛かるらしく、対抗戦は中止となった。

それからしばらくの間、王都内は厳戒態勢が引かれ、物々しい雰囲気が続いた。

俺たちはと言えば、正直余り変わりは無かった。

学校は無事だったので1週間ほど様子を見ることにはなったがその後再開。

休みの日はみんなと一緒に冒険者の仕事をこなしたり、作業場に籠もったり。

いつも通りの日常を送っていた。

このまま何事もなく、平和な日常が続けば良いのだが・・・。

いつもお読みいただいてありがとうございます!

いいね、感想、評価、ブックマークが投稿の励みになります。

下の☆☆☆☆☆から評価を是非よろしくお願いします・・・!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ