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刀匠、戦う

投稿遅くなりました。

ここ最近非常に暑いです。

皆様ご自愛ください。

あれからさらに2週間。


ついに、対抗戦の日が訪れた。

グラウンドに作られた闘技場の周りには出場する学生や近隣の住人、他学年の生徒が集まっている。

今日から2日間に分けて対抗戦が行われる。

これは入学したばかりの学生たちの登竜門であり、本格的にこの学校に迎え入れられる伝統行事のようなもの。

来年以降は観戦者に回り、自分の派閥へ引き入れる指標にするわけである。


アルバスたちも控室で準備を進める。

とは言ってもそれぞれ自分の装備の最終確認を行う程度ではあるが。

俺自身は中後衛ではあるが、万が一に備えて先日作った刀を一応準備しておいた。

ジェシカとオレインはカットラスを準備。

アニータにはこの間作ったミスリル製の魔杖を渡したらえらく喜んでいたっけ。

休みの日にジェシカと二人で依頼を受けに行ったらしいが、それはまた別の話で。

セインは先に準備が終わったらしく代表して学長に連絡に向かってもらった。


「そういえばアルバス、この間の()()、返事したの?」

「あー・・・ちゃんと返事はしたよ。忘れようとしてたのに・・・。」

「そういうわけにもいかないでしょ。陛下からのお誘いでしょ?」


チャクラムを披露した際にミネルヴァから渡された手紙。

封蝋が示すとおり、陛下からの手紙だったわけだが、内容は園遊会への参加通知。

なんで俺が参加しないといけないのかと思うが、爵位を賜った以上参加しないわけにもいかない。

日程は次の休み。対抗戦が終わったあとに差し迫っているのである。

非常に憂鬱だ。


「もちろんちゃんと参加はするけどさ・・・。ジェシカ、余裕だな。」

「当たり前でしょ。貴方のお陰で、堂々と登城できるんだから。」


陛下からすれば末の娘だが他の王子王女からすれば妾の子ということで下に見られていた。

だが、俺と婚約したことで王位継承権を返上し、貴族家の嫁という立場で登城できるから、今までより気が楽なのである。


「いや、それよりも、対抗戦の初戦を前にして余裕だなと思ってさ。」

「あら、それを言ったら、アルバスだってそうじゃない。私はアルバスたちを信じてるからこそリラックス出来ているんだけど。信じてるわよ、あ、な、た。」


・・・嫌なプレッシャーのかけ方をしてくるが、それはこちらも一緒だ。

ここまでの数日間でお互いの癖もしっかり把握することが出来た。

俺も秘策を準備してあるからよっぽどの事がない限り、負けることは無いだろう。


「アルバス様、学長からです。」

「学長から?」


学長のところに行っていたセインが帰ってきたが、顔色が曇って見える。

なにかあったか?


「はい。元々1チーム多い為、シード扱いのチームが出る予定だったのですが、各学級で1チームずつ参加取り辞めになったらしく・・・。」

「・・・なんか、不穏だな。」


本来だとうちの学級を含め11チームが参加する予定だった対抗戦。

だが、黒獅子、戦乙女、商才の各学級から参加予定だった3チームのうち1チームずつ不参加になったと。

これで参加チームは8チームに。

きりが良いが、気味が悪い。


「それで、理由は?」

「それが、どうやら各チームのリーダーが怪我をしたとか。治癒師が治療に当たっているようですが、大事を取ってということのようです。」


なんだか、嫌な予感がするな。

うちの学級の面々は今朝全員会った。だからもうひとつのチームメンバーも全員健在なのは確認済みだ。

他の学級も冒険者として仕事を請け負っている人も居るが、それが全員というわけでもない。

それこそ、対抗戦を直前に控えて危険な依頼は受けていないはず。


「なにか、悪意を感じるな。」

「ええ、それは私も同意見です。貴族家同士で足の引っ張り合いをしているか、それとも他学級のチームメンバーの中に、犯人がいる可能性も。」


実際俺が遭遇した襲撃。あれはまだ対抗戦準備期間に入るよりも前の話だが、似たようなケースは以前もあったと聞く。

モヤがかかったみたいに判然としないが、考えても埒が明かない。


「あとは、舞台に上がらないとわからない、かな。」


正直相手が何を狙っているのかが分からない。

登竜門であることは確かだが、それが直接なにか貴族家に直接的な名誉を与えることも無い。


「アルバスチーム、時間です。会場へ。」


控え室の入口が開け放たれ、外で待機していた担当教師が出番を伝える。


「ま、なるようになるか。よし、みんな行こう。」

「おっしゃ、いっちょやってやりましょうかね。」

「ミスリルの魔杖、遂に使う時が来たのねーーーー!!」

「オレイン、アニータ、少しは落ち着きなさいよ。まったく・・・。」


各々やる気は十分のようで何より。

とりあえず、まずは初戦突破を目指そう。







会場へ入ると、客席は観客で満員。

演習場は観客席の手前1m程に全周囲型の結界が貼られている。

これは観客に被害が及ばないようにすると共に、結界内のダメージは全て精神ダメージに置き換えられるようになっている。


『第1回戦参加チーム、中央へ。』


拡声(ホーン)の魔法を使って場内に声が響き渡る。

お互い5人ずつのチームで構成しているのは一緒だが、構成はチームごとにバラツキがある。

うちのチームは前衛2、中衛1、後衛2だが、相手はどう見ても全員前衛だ。


『不死鳥学級第1チーム、リーダーはアルバス。商才学級第2チーム、リーダーはシビル。両者準備はいいか。』


第1試合は商才が相手か。てっきり後衛構成で来ると思ったが、まさか前衛オールか。


「問題ありません。」

「は、はいっ」


しかも相手のチームはガッチガチだな。

これはジェシカたちの出番、ないかもな。


「アニータ。」

「どうしたの?」


アニータにそっと耳打ちをして作戦を伝えると、ミスリルの魔杖を握り、笑顔で頷く。


『それではクラス対抗戦第1試合、開始っ』


開戦の合図と共に、相手のチームメンバー全員走り出す。

全員で一斉突進って・・・まじか。


「アニータ、牽制!」

「まかせてっ!『閃光フラッシュ』!『光棘ライトピラー』!」


演習場を覆い尽くすように白い閃光が弾け、その中を光の棘が相手チーム目掛けて駆け抜ける。

うん、やっぱりあの杖異常だ。

光の範囲がかなり広いし、前に光棘を使ったときは1回で3本までだったのに平然と10本生み出している。

視界を奪われた相手は為す術もなく光の棘をまともに浴びて1人、また1人と膝をつく。

だが、その中で1人、動きを止めることなくこちらへ駈けてくる。


「お、落ち着いてるのが一人居たか。」

「よっしゃ、俺がいくぜぇ!」


俺が指示するよりも速くオレインが飛び出し、双剣を振るう。

数度打ち合いをするが、相手の剣が根元から折れてしまった為すぐに決着が付いた。


『そこまでっ!不死鳥学級第1チームの勝利!』


一瞬の静寂の後、割れんばかりの歓声が響き渡る。

たぶん、半分も見えていなかったと思うが、相手が全員膝をついており結果は一目瞭然。


「お疲れ様、アニータ、オレイン。」

「アル、やっぱりこの杖すごいよ・・・!」

「なーんかすっきりしねぇなぁ。相手の剣、もろすぎねぇ?」


キラキラとした目で杖を眺めるアニータに、頬を掻くオレイン。

杖はやばいし、相手の剣がもろすぎる。

正直、量産品を使っているにしても粗悪品過ぎる気がする。

相手も学級内に居る鍛冶師志望が作ったものなのか?




第一試合が終わり、控え室へもどると見覚えのある顔が待っていた。


「学長、どうしたのですか?」

「初戦突破だからね、ねぎらいに来たんだ。」


学長にして担任であるミネルヴァが見覚えのない女性を連れて待っていた。

学校の先生と言うには、不自然すぎる。

衣服の内側に武器を仕込んでいるのがわかる。

学長の身内か、それとも・・・。


「ありがとうございます。それで、そちらは?」

「ああ・・・。リコ。」

「初めまして、アルバス・セルタニス準男爵殿。私は王立騎士団諜報部隊隊長、リコリスと申します。」


諜報部隊。

またきな臭い事になっている気がする。


「諜報部隊の方が、何故?」

「ここ数日、対抗戦に参加予定だったチームリーダーが立て続けに負傷して3チーム出場を見合わせたのは、聞いたな?」

「はい、その為対抗戦のスケジュールも変わったと聞きました。」

「ああ、その通りだ。この負傷、偶然ではなく、仕組まれた物だとしたら、お前はどう考える?」


なんか、嫌な予感ってここまで当たる物なのだろうか。

ここまで来るともはや呪われているとしか思えない。


「・・・上位貴族による企て、でしょうか。」

「可能性としては非常に高い。そこで今回の件をリコに調べてもらっていたら、おもしろいことがわかった。」

「おもしろいこと?」

「はい。アルバス殿は先日、ルドラニカ子爵家の者に襲撃されたと伺いました。」


・・・あー、あったなそういえば。


「確かに、そんなこともありましたね。」

「貴方、なんでそんなに平然としているのよ。」

「些細なことだったからさ。」


呆れているジェシカは放っておいて、話を戻そう。


「それと今回のことが、何か関係が?」

「今のところ確証はありませんが、西の貴族に不穏な動きがあります。今回の件も、無関係とは思えないのです。現在全力で調査を行っていますが、何かあればすぐに報告願います。」


西の貴族か。今回の対抗戦で何か動いてくるのか、どうなのか。


「わかりました。俺たちは対抗戦をとにかくこなせば良いんですね。」

「そうだ。こちらも何も起きないように警備は厳重にしているが、万が一のこともある。ぬかりないように。」

「わかりました。」


なんというか、正直嫌な予感がする。

ホント、嫌な予感が的中してばかりだからそろそろ外れて欲しい。


「試合が終わったばかりで疲れているところすまなかったな。ゆっくり体を休めてくれ。」


それだけ告げるとミネルヴァとリコリスは控え室を後にする。


「さて、どう思う、アルバス。」

「どうもなにも、何かあるだろうけど、俺たちはいつも通りこなしていくしかないさ。」


俺たちに出来ることはただ試合をこなすだけだ。

それ以上でも、それ以下でもない。


「んだったら、次の試合も勝って、明日の決勝でばちっと優勝だな。」

「ああ、みんなで勝ち取ろう。」


その後、次の試合に向けて装備の準備を進め、休息もしっかりとる。

正直初戦は何事もなく終わった。

二戦目何も起きないとは限らない。

だったら今できる準備をしっかり整える。

万が一の時は、()()を出そう。


「さぁ、次の試合だ。勝ちに行こう!」

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