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刀匠、同居する

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回から対抗戦に向けたお話に戻ります。


また、総累計PVが10000達成いたしました!

本当にありがとうございます!

これからのより多くの方に楽しんでいただけるように精進いたします。

「わ、私もアルバスと婚約する!」

「何をどうしたらそういう発想になるのかな?!」


とんでもないことを言い出したよこの子は。


「おや、てっきり既にアニータとは婚約済みだと思っていたぞ。」

「あの、ジェシカからみて俺らはどう見えていたの・・・?」


この子、実は天然なのか?


「じゃ、じゃあ私も婚約してもいいよね?!」

「いやいや、それはアニータの父君がいいかによるよね?」

「お父様にはもう言ってある!」

「速すぎない?!」


なんかもう、よくわかんないんだが?!


「アル、諦めなよ。アニータが言ったら聞かないの、わかってるでしょ。」

「そりゃ、パーティ組んでるからわかるけど・・・えっと、ジェシカは構わないの?」

「なぜ私に聞く。むしろ私は既に側室なんだろうと思っていたぐらいだ。」

「・・・うん、聞いた俺が悪かった。」


だめだ、予想以上に天然だ。


「それじゃあ!」

「・・・あーもうわかったよ。よろしく頼む、アニータ。」


なんか小躍りはじめたよ、こいつ。

大丈夫かな、俺。


「んじゃま、俺も家臣として雇ってもらおうかな。」

「オレイン、お前を逃がすと思ってる?」

「ま、そうだよな。わかってるよ、ここまで来たら死なばもろともよ。」


不死鳥学級の対抗戦パーティは、いつの間にか家臣団になりましたとさ。


「とりあえず、中に入らないか。」

「それもそうね。」


ジェシカ達を引き連れてとりあえずは応接室へ。


「あら、アルバス様、お客様ですか?」

「ああ、アシュリーか。えーっと、今日から一緒に住む同居人で」

「アルバスの婚約者になったジェシカよ。よろしく。」

「同じく婚約者のアニータです!いつも紅茶ありがとー!」

「家臣になったセインだ。よろしく頼む。」

「同じく、オレインっすよ。ヨロシク。」


うん、優秀なアシュリーでも固まってるよ。許容量オーバーだよね、うん。

って、アニータ、ここ最近うちに来て作業場に来ないで帰ってるのは知ってたけど、お茶して帰ってたのかよ。

ここは喫茶店か!


「アシュリー、大丈夫?」

「あ、失礼しました。いきなりのことで圧倒されておりました。」


やっと再起動したアシュリーは全員に再度挨拶をして、お茶の準備をしに行ってくれた。

うん、ほんと出来た人だ。

紅茶が届き、一息ついたところで、アニータとオレインに経緯を説明する。

この屋敷が俺の物になった後に起きた事、陛下から叙爵されたこと。

魔剣の再鍛造の件はその場に居たが、宝刀を預かり、刀を作る技術を復活させる。

それから2人にも伝えていなかったが魔法の袋製造の技術を復活させたこと。

量産をすることを陛下から依頼されていること。

そして、陛下から報償として、ジェシカとの婚約が決まったこと。

ジェシカと陛下の関係は、本人が二人には伝えた。

おかげさまでアニータは完全に停止中。

オレインは何故か普通に紅茶飲んでる。

こいつのこういうところよくわかんないんだよな、うん。


「とりあえず、色々あったわけだけど、俺は法衣貴族としてこの屋敷に住むことになったわけだ、うん。」

「いやいや、アル、その総括はダメだって。いろいろ端折りすぎ。」


こういうときも冷静に突っ込んでくれるオレイン素晴らしい。


「アニータ、大丈夫か?」

「えっと、なんとか。とりあえず、アルがいつの間にか準男爵になって色々陛下から仕事を受けててうちの実家がのどから手が出るほどほしがってる魔法の袋を作れることはわかった!」

「うん、まぁ、おおむね間違ってないけど。」


そういえば、アニータの家って豪商から貴族になった家系だったな。

魔法の袋はあれば商いもうまくいくしね。そりゃ欲しいか。


「まだ俺が製造技術を復活させたことは公にする予定はないから、実家には黙っていて欲しいんだけど。」

「わかっているわ。そんなことでアルに迷惑掛けられないもの。」

「そう言ってくれると助かる。」

「ところで、アルバス様。」


すごくかしこまった言い方してきたな、セイン。


「えっと、セイン、家臣になったのは確かだけど、俺たちは同じ学級の仲間で、友達だろ。そんなにかしこまらないでほしいんだけど。」

「いや、それでも姉上の婚約者であり、私が仕えるべき主君となる方にそんな軽々しい態度を取るわけには行きません。」

「すまない、アルバス。セインは昔からこうなんだ。許してやってほしい。」


苦笑を浮かべながらセインを擁護するジェシカ。


「えっと、それでどうかしたのかな。」

「姉上とアニータ、どちらを正妻になさるのですか?」


・・・紅茶を吹き出しちゃったじゃないか。

急な話にジェシカもアニータも固まってるじゃないか。


「・・・その件は、成人するまでは保留で。」


紅茶を飲み直す。

今そこまで考えている余裕はないというか、なんというか。


「私は、側室でも構わないよ。ジェシカは公になっていなくても、陛下の娘ってことは、王女でしょ?だったら、正妻はジェシカでしょ。」

「それは確かに、そうなのだけど、私はアニータよりも付き合いが浅いわ。それに、貴女は子爵家の令嬢でしょう?それならなおのこと、お家のことを考えたら貴女が正妻の方がいいのではなくって?」


ジェシカの口調が変わっている。

たぶん、こっちが素なんだろうな。学園では警戒して気が強い様に演じていたのか、どうなのか。


「ううん、実家は上の兄姉が継ぐし、私は学園を卒業した後、王都の商家で奉公する予定だったから。正妻じゃなくっても、時期を見てアルの商いの手伝いが出来れば、いずれ実家には孝行出来るだろうし。」


この二人、実は結構相性良いのかな。

とりあえず、仲が良いならそれでいいか。


「とりあえず、みんなは自分の部屋を選んでおいでよ。」

「そうしますわ。行きましょうか、アニータ。」

「うん、そうしよっか。」


ジェシカがアニータを連れて応接室を後にする。


「はぁ、まっさかこんな急展開になるとはなぁ。」

「それをいったら俺だって同じ事思ってるよ。セインだってそうだろ?」


オレインのため息に苦笑いを浮かべつつ、セインの方を伺う。普段は気むずかしそうな表情を貼り付けているセインだが、今は微苦笑を浮かべていた。


「ええ、まぁ。いずれこんな日が来るとは思っていましたが、それがよもや、こんなに速く、しかも同級の仲間の元になるとは思っておりませんでしたよ。」

「それはオレっちも一緒さ。まぁ、これからもヨロシクな、ご主人様よ。」

「オレイン、頼むからその呼び方やめてくれ。むずかゆくてしかたが無い。」


セインはまだいいがオレインにかしこまった呼び方されるのはたまったもんじゃない。


「ハハハ、わかったわかった。さて、んじゃオレっちとセインも部屋見に行くかな。行こうぜ。」

「ああ、そうしよう。ではアルバス様。1度失礼いたします。」


律儀なセインは一礼してから、オレインは後ろ手に手を振りながら応接室を後にする。

静まりかえった応接室。

だが、それでも誰かが屋敷に居るからだろうか。

少し、嬉しい、のだろうか。


『主様に取っては生前含めても数十年ぶりじゃないですか~?ご家族以外で賑やかなのは。』

「ケルか。呼んでも来ないくせに、こういうときは平然と出てくるよな。」

『いやぁ、タマタマみてたらおもしろそうだったので。』

「まぁ、いいんだけどさ。・・・確かに、だからか、この不思議な感覚。」


転生する前、一人の刀鍛冶として名を馳せていた時代。

昔は弟子も取っていたし、なんだったら近くの街までそんなに離れていないところで暮らしていた。

だが、ある事件をきっかけに、人里を避け、一人山奥に籠もっていた。

人と関わることを極端に嫌った。

転生してからも、出来るだけ誰かと積極的に関わることを避けた。

実家に居たときも、一人で森の中で訓練をしつづけていた。

だけど、王都に来てから今まで、まだ短い期間だが、それでも多くの人と関わった。

こんな短期間で陛下と謁見して爵位を叙爵することになるとは思っても居なかった。


「だからかね、この不思議な感じは。嫌じゃないけどさ。」

『主様のことですから、私は詳しくは知りませんけど、いいんじゃないですか?』

「なにが?」

『もう少し、皆さんを受け入れても。嫌そうに見えるわけじゃありませんが、やっぱり壁を感じますよ。』


裏切りや孤立を怖がっているんだと思うけど、それは潜在的な物。

どうしてもすぐはすぐにと言うのは無理だろう。

だけど。


「・・・そうだな。努力はしてみるさ。」

『それに、主様の研究にも協力してくださると思いますよ。』

「使えるものは何でも使えってか。利には叶ってるけどな。まぁ、それも考えてみるさ。」


すっかり冷めてしまった紅茶を一口。冷めてもおいしい。さすがはアシュリーだな。


『あ、それと声を掛けたのはもうひとつ理由がありました。』

「ん?なにかあったの?」

『本来は私の上司が神託を下すべき何ですが、ちょっと今天界がてんやわんやでして、私が代理で神託を下したいと思います。』


天界がてんやわんや?なにかあったのだろうか。


『今から二年後。主様の15を迎えた後、ここから西に向かった先、隣国との国境線に近い岩山の麓。そこに聳え立つ聖堂へ向かいなさい。貴方に課された使命がそこにあります。』

「待ってくれ、使命?そんなもの何も言われていないぞ?」

『一応私が預かったのはこれだけです。詳しいことは今から二年後になればわかるとのことでした。』

「女神はなんて言ってるんだ?」

『それが、今アルセナス様は大事なお仕事の最中でして、それの区切りがつくのも現世の時間に換算して二年ほど掛かるそうなんです。なので、それまではレベル上げをしたり、学業に専念して欲しいそうです。』


状況が飲み込めないけど、とりあえず二年後に何かが起こるということだろうか。

なんでそんなことに巻き込まれるんだ・・・。

魔法がある世界だから、何かしらが起こってもおかしくはないと思っては居たが、まさか当事者になるとは。

・・・魔剣の再鍛造を頼まれた時点で既におかしいか。考えるのはやめよう。


『では確かに伝えましたからね。また何か緊急の神託があれば、お伝えに伺いますので。でわでわ。』


言いたいことを言い終えると、またケルの声は聞こえなくなっていた。

ホント、どういう仕組みなんだか。


「アルバス様、失礼いたします。」

「エミリアか。どうした?」


ちょうど良いタイミングでエミリアが応接室に入ってきた。

手には封筒を持っている。


「アルバス様にお届け物でございます。差出人はご実家からでらっしゃいますね。」

「え、父上が?」


まだここの話もしていなかったはずなんだけど、もしかしてミネルヴァが?

エミリアから受け取った封筒を見ると、確かに実家に居たとき何度も目にした家紋の封蝋がされている。

封を切り、中から手紙を取り出し、眼を通す。


「・・・は?」


書かれていたのは、予想の斜め上を行く内容だった。




『アルバスへ

 寄宿学校での生活は慣れてきただろうか。

 ミネルヴァから便りをもらい、お前がガイアスから準男爵を叙爵したと聞いた。

 正直驚いたが、それと同時にお前ならいつか、とも思っていた。

 だが、まだお前は12だ。これから学ぶべき事もたくさんあるだろう。

 学友と共に勉学に励み、自分の進むべき道を見極めなさい。

 それと、婚約者ももらったそうじゃないか。まさか私があいつらの縁戚になるとはな。

 まったく、お前は予想の上を行くな。

 成人の祝いには王都へ出向く予定だ。そのとき、義理の娘になる子に会わせてくれ。

 

 追伸 お前の姉であるソティアが近々国元に戻るそうだ。


                                  グレイ=フォン=セルタニス』



「姉上が、戻ってくるのか。」


なんだろ、最後の追伸で全てがどうでもよくなった。

恐らくこの手紙は俺に婚約者の件が知らされるよりもだいぶ前に父上には連絡していたのだろう。

それは旧友と言うことを考えれば先に連絡していてもおかしくはない。

というか、それ以上にだ。

問題だ、大問題だ。


「しかも、よりによって、俺に()()()()()()()()()に帰国か・・・」


さて、どうしたものか。

あの超絶弟愛(ブラコン)姉上が、ジェシカとアニータに会ったときどう反応するか。

と言うより、どうやってあの二人を守るかの方が問題だ。

あの人は()()()()

てかあの手紙の本題絶対姉上の件だろ。

なんで追伸なんだよ。


「アルバス、部屋を決めてきたよ~。」

「部屋があんなに広いと、何とも落ち着かないわね。」

「オレっちも寄宿舎の一人部屋より広いとは思ってもみなかったわ。良い屋敷だよな、ここ。」

「一家臣である私があんな部屋をいただいていいのだろうか・・・。」


4人そろって戻ってきたが、さて、どう説明するべきか・・・。いや、いつ帰ってくるかわからないんだ。

近々とは言っても、そんなに直近ではないだろう。うん。


「どうしたの、アル。顔色悪いよ?」

「体調が悪いのかしら?」


アニータとジェシカが両サイドから顔をのぞき込んでくる。

・・・正直今まで意識したことがなかったが、こいつらホント美人だよな。

ちょっとドキっとしてしまった。


「いや、何でも無いよ。それよりも、明日の予定なんだけど。」


とりあえず何事もなかったように振る舞うことにする。

その後、夕食を取りながら、明日の予定を話し、週明けからの対抗戦練習に関しての話をした。

使用人達だけじゃなく、ジェシカ達を交えた食事はやはり賑やかで、楽しかった。

かたくなにセインだけは席に着こうとしなかったが、ジェシカがにらみつけたら渋々座ったのはおもしろかった。

嵐のようだった1日は、最後まで賑やかに終わった。














「待っててね、愛しのアルバス!!あと一年で私は貴方の元に帰るからね!!」








「?!なんだ、今の寒気は・・・?!」


夜更けのすきま風が、妙に鋭く感じた。

いつもお読みいただいてありがとうございます!

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下の☆☆☆☆☆から評価を是非よろしくお願いします・・・!


梅雨入りして外がじめじめ。

それでも去年よりは過ごしやすいといいますか、寒いくらいの日々が続いております。

体調が不安定ではありますが、継続して投稿していけるようにがんばります。


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