刀匠、思い出す
いつも閲覧いただきありがとうございます。
誤字報告感謝でございます。
修正させていただきました。
翌日。
今日明日は休日ということもあり作業場にこもる。
昨日から来ている使用人達は順次引っ越しを進めている。
アシュリーにはミネルヴァへの手紙を託してあるから一緒にこなしてくれるだろう。
とりあえず、今の手持ち材料を確認するためにも、一度作業場に全ての材料を出す。
まだひとつも処理しきれていないデッドラプトルの骨に牙
合わせてギルドマスターが送って寄こした鉄鉱石にマナダイト
ジェシカとセインから受け取った分を合わせたらしばらく追加で買わなくって済むくらいある。
あ、そういえば他の連中からも材料受け取るのか。
それからジェシカから貰ったミスリル。
これはそこまで大きい訳では無いが、使い方次第で剣2本分にはなる。
あとは以前西区で買ったメラダイトにアイスメタル・・・ん?
「あれ、そういえばなんか忘れて・・・あ!!」
魔法の袋を初めて作った日、錬金術に気づいたあの時メラダイトが発熱してそのまま収納魔法に放り込んでいたんだった!
急いで収納魔法を探るとすぐに見つかった。
「あちちっ・・・あれからだいぶ放置したのに、そのままなのか。」
金床に取り出したメラダイトは未だに熱を放っている。
収納魔法の空間内はやはり時間経過はないようだ。
実際、このまま放っておいても熱を放ち続けるのだろうか?
「試しに鑑定して見てみるか。」
叡智の魔眼を使い状態を鑑定してみる。
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種類:鉱石
名称:メラダイト鉱石
レア度:E
説明:鉱山から採石出来る鉱石。熱に強く冷気に弱い
高温をものともしない為炎熱系の付与魔法と相性がよく、凍結系の付与魔法と相性が悪い。
熱に非常に強い為、加工には錬金術が必要。
状態:魔力過多による発熱状態(残り2時間)
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魔力過多、初めて見るな。
あのときは確かに純粋に魔力を流しただけだった。
けど結果的にあの行為が錬金術が発現するきっかけにはなった。
謎ばかりだが、とりあえず一つわかったことは、純粋な魔力を流すことでこの鉱石は発熱する。
保持する時間は魔力の量に依存するのかもしれないが、比較的長いわけだな。
他のことに応用できそうだ。
「錬金術で加工することが可能なのはわかったんだけど、実際この反応がどの程度で出るのかさっぱりわからん。」
同じく収納魔法で保管していた特に魔力も何も通していないメラダイトを手元に出して、見比べる。
金床の上にあるメラダイトと見比べると、大きな違いは色。
魔力過多状態のメラダイトは薄らと橙色に光っているが、手元のは特に光っていることはない。
これは恐らく魔力を放出して熱を出す際の副産物なんだろう。
そのまま状態を見比べながら、時間経過を見ていると、だんだんと光が弱くなる。
「魔力量が少なくなると光も熱量も減っていくのか。」
これは応用できそうだ。
魔力を放出しきったメラダイトを手に取る。うん、熱くない。
「さて、これをこのまま加工しても扱いづらいだけだよなぁ・・・。」
本来だったら鉄同様に溶かしてから加工するのがいいのだろうが、これは熱に非常に強い。
普通の炉ではどうにもならないだろう。
「と、いうことはやっぱり『創造鉱石』か。」
手近なところにある鉄鉱石を数個取り、金床の上に置き、メラダイトと並べる。
そういえば、合わせる個数とか比率で性能って変わるのか?
マナメタルを初めて作ったときは、鉄鉱石とマナダイトはおおよそ同数を準備した。
「・・・そういえば、ケルを呼び出す方法、聞いていなかった。」
スキル『智天の書庫』の能力で補助してくれる智天使ケルビム。
彼女のサポートがあると色々調べられると思うんだが、肝心の使い方がいまいちわからない。
書庫っていうぐらいだから、叡智の魔眼で見るよりも多くの知識を保有してるスキルなのは間違い無い。
だけど、この間の話の通りであれば、叡智の魔眼で見えることが制限されているのならば、書庫から引き出せる知識も制限されていると考えるべきだ。
とりあえず、ケルに呼びかけてみればいいのだろうか。
「ケル、聞こえるー?ケルビムー?」
・・・なんだろう、誰も居ない作業場で1人名前を呼んでいるのって、このタイミングで誰か入ってきたら最悪だよな。
しかも反応ないし。
「何か用があれば呼べって言ったの、あいつだよな・・・。しかたが無い、とりあえず、やるだけやるか。」
鉄鉱石とメラダイトを同数準備する。
あとは、前回同様。
「まずは、『粉砕』」
前回同様、鉄鉱石をまずは粉砕する。そして、メラダイトも同じく粉砕。
マナメタルを作ったとき同様、一纏めにする。
「よし・・・『創造鉱石』」
魔力に反応して、若干赤く光ったがそれもほんの一瞬。
全体が1つにまとまり、橙色の塊が現れる。
試しに直接触れてみるが、前みたいに発熱はしていない。
「成功、かな・・・?」
試しに鑑定。
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種類:魔鉄(???)
名称:フレアメタル
レア度:S
説明:鉄鉱石とメラダイト鉱石から生まれた金属。魔力親和性が非常に高い。非常に頑強で熱に対する耐性も非常に高い為、加工は非常に難しい。
智天の書庫ににより追加情報が解放:
→魔力精錬と創造鉱石によって生み出された金属。
加工するには『鍛治術・創』を取得する必要がある。
→加工可能
これ以上の情報は閲覧権限がありません。
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鉱石理解とかがなくなって見れなくなったかと思ったけど、書庫が補うんだな。
「よし、成功か。けど、種類に???って、なんだ?それに、閲覧権限って・・・。」
これはまた位階が上がらないとダメってやつか。
なんというか、凄いもどかしいな、これ。
『主様、新しい魔鉄の精錬に成功したんですね〜』
「うわっ、ケル?!」
急に頭に響いたケルビムの声に驚く。
さっき呼んだ時は無反応だったのに急に来てびっくりした。
「なんだよ、さっき呼んだ時は返事無かったのに、急に声がするから驚いたじゃないか。」
『あれ、呼んでました??いや、失礼しました。』
なんというか、本当にこの天使はよく分からない。
『そんなことよりも、まさかこれも作っちゃうなんて。』
「閲覧権限ってでたけど、これも?」
『そうですね。これも第一位階以上にならないといけませんね。まぁそれでも詳しい情報だけ出ないだけで、加工はできるはずですよ〜。』
全部の情報が無くても加工できるならいいけど、なんとも歯痒い。
とりあえず、作業を続けよう。
まずは、鋳造だな。
鍛治術・創を習得していないと加工出来ないなら、これで行けるはず。
「『錬成鋳造』」
魔力で形を形成し、そこに新たに作った魔鉄を乗せる。
赤く光り、段々と液化していき、形に収まる。
全体がしっかりと収まったことを確認したところで魔力が霧散する。
片刃の長剣。昔見た本に描かれていた剣の再現。
刃を研ぎ、整えていく。
合わせて作っておいた錬成鉄を『魔力形成鍛造』を使って鍔を作り上げる。
『おや、これはもしかして・・・?!』
「ケル、これを見てわかるの?」
『いや、わかるもなにも、え、主様本当に作るんですか?』
ケルビムの声色から覚えがあるのだろう。
だが、手は止めない。
今度はデッドラプトルの骨を取り出す。
太く、非常に頑丈で、中までしっかり詰まっている。
これはいい柄になる。
だが、これは加工するのも大変。
木工用のナイフや彫刻刀の様なものでは一切傷が付かない。
それぐらい、頑丈。
「さて、どうしたものか。」
『止めても聞かなそうですね・・・。主様、その骨鑑定してみてください。』
「鑑定?あ、そっか。」
ケルビムの助言通り鑑定してみる。
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種類:魔物素材(骨)
名称:デッドラプトルの大腿骨
レア度:C
説明:デッドラプトルから取れた骨で、非常に頑強。通常の刃物では歯が立たず、ミスリル以上の刃物じゃないと加工は至難の業。
智天の書庫ににより追加情報が解放:
→魔法に対する耐性が低いため、魔力をうまく使うと加工しやすい。また、粉末にすることで高品質な肥料になる。
→加工可能
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なるほど、ミスリル以上の刃物ね。
それは魔鉄製でいけるから、今度ナイフでも作っておこう。
だが、追加情報で魔法に弱いとなってる。
ということは
「なるほどね。要は魔法をうまく使えばいいわけね。」
となるとなにがいいだろうか。
火系統は強度を焼き固めて強度を上げるのに使うのはいいかもしれないけど整形には向かない。
土系統も粉砕とかには向いているけど、なかなか。
風、水系統ならいろいろやれそうか?
けどそんな魔法みたこともないしな・・・。
『主様。魔法というのは想像力です。主様の前世の記憶を使えば、おもしろいことができるのではないですか?』
「それってつまり、新しい魔法を作れと?」
『端的に言えば、そうなります。』
なにを無茶なことをいうんだ。
魔法は確かに想像力が大事ではある。
だが、それは古に作られた魔法を具現化するために、自分の想像力で補強して発動しているに過ぎない。
新しく魔法を作るなんて・・・ん?想像力?
「ケル、俺に魔法を作るなんて、可能なのか?」
『主様でしたら可能でしょうね。ただし、大がかりな魔法はまだ作れませんよ。制限の範囲ですので。』
・・・ホント、あの女神様は俺に何をさせたいのだろうか。
自由に生きて欲しいと言う理由だけで、ここまでのチート、与える必要あるか?
これがどこかのマフィアのボスとか、邪な考えを持った奴らだったら、悪用しておしまいだろうに。
『そこはほら、主様の性格的に問題ないと判断したのでは?』
だから頭の中を読むなというのに・・・。まぁ確かに、そんなことして後々自分が討伐されることになったら笑えないからやらないしそんなことをする気は甚だないんだがね。
『一応制限に引っかからない範囲でお話ししますと、根源魔法の中に含まれる技能『創造魔法』を使うことで、新たに魔法を生み出せます。』
うん、絶対一般的な人間が持っていていい魔法ではない。
これ世の大賢者とかそういう人が持つ魔法じゃないの?それが今の世の中に魔法を伝えたんじゃないの?
確か文献に大昔の大賢者の名前があったような・・・。
『遙か昔この世界に魔法をもたらした大賢者オルトランですね。その昔話は天界でも人気ですよ~。まあ、あれはこの世界の主神になる前の創造神様の実話なんですけどね。』
「はぁ?!どういうことだそれ?!」
『あ、えーっと、今の話は聞かなかったことにしてください。これ以上は間違いなくあとで私怒られます。』
ちょっと待て、大賢者オルトランが主神?神様?どういうことだ?
やばい、混乱しすぎて目眩してきた。
『と、とにかく、その技能を使えば、ある程度の魔法は作ることが出来ます。ただし、これも位階を解放為ていかないとより上位の魔法を作ることは出来ませんので悪しからず。』
・・・そうだった、今はこの骨の加工をまずは優先しよう。
深呼吸しよう、深呼吸。すーーーーー、はーーーーー、すーーーーー、はーーーーー。
よし、意識はクリア、正常だな。
『創造魔法』か。となると、固い鉱石を削ったり、切ったりするのなら『アレ』が一番いいか。
「まずは、イメージか。イメージ、イメージ・・・。」
前世の記憶を思い出す。
昔見た記憶の中に必要な物は全てそろっている。
使うのは『水』。細く、速く、鋭く。
ただし、距離は短く、近くの物だけを削るイメージ・・・。
『そうですそうです、イメージが固まったら魔力を手に込めて、技能を使い、新たな魔法の名前を唱えてください。』
イメージを固めて、魔力を込める。
デッドラプトルの骨を台に固定し、手を当てる。
よし、ここだ。
「『創造魔法』『水切削』!」
手のひらに広がった魔力が水色に光り、魔法を形成する。
細く鋭い水が骨を削る。
魔力の流す強さで削る長さが変わるように調整した。
完全に鍛冶特化の魔法だ。
デッドラプトルの骨を削ること数分・・・
魔力を止め、魔法を使うのをやめる。
台の上は水浸しになり、床も濡らしている。
持ち上げたデッドラプトルの骨は、剣の柄の形にしっかりと整えられている。
無事、加工に成功した。
『流石主様。ここまで完璧に制御して魔法を作るなんて。ホントすごいですよ。』
ケルビムが褒め称える。実際自分ではうまくいったのかこれ以上の方法があるのかわからないが、ケルビムがそういうのだからうまく制御出来たのだろう。
あとは、仕上げた刀身に刻印魔法で付与を施し、作ったばかりの柄に革を巻いて握りをしっかり造り固定すれば、完成だ。
「よし、出来たぞ。」
『わー・・・まさか本当に作っちゃいましたか・・・。ここまでほぼ完璧に再現するなんて。』
片刃の長剣で、刀身が薄い橙色。
前世の記憶にも登場し、この世界の古い文献にも登場する魔剣。
その名は
「『魔剣レヴァンティン』。」
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