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刀匠、雇う

今回は少し短めです

1日の教練も終わり、自宅へ戻る。

途中、西区に立ち寄って革袋をいくつかと、革製の鞄を何個か買う。

魔法の袋を量産する為、簡易版を何個か試作する為だ。

それと、鞄にも同様の加工が出来るなら、それはそれで売れそうでもある。


買い物も済ませ、自宅に着くと、なにやら門前に人が集まっている。

集まっているのはいずれも使用人の服を着た男女。

この辺に貴族の屋敷はないし、特に問題になるようなことも起こしていない、はず・・・ないよな?


「えっと、こちらで何をなさっているのでしょうか。」


とりあえず一番最後尾に居た女性に声を掛ける。

振り返った女性は栗色の髪をしたまだ幼さは残るが美人だ。


「あ、もしかして貴方様がアルバス=セルタニス様ですか?」

「え、あ、はい。確かに私がアルバスですが。」


その瞬間、門前に居た人が全員こちらに振り返る。

人数はおおよそ10人ほど。

装いはどれも執事服にメイド服。所謂使用人の格好だ。

あれ、そういえばこの服、どこかで見たことがあるような。


「私、ミネルヴァ様の命に寄り、本日よりこちらで奉仕させていただきます、アシュリーと言います!」


声を掛けた女性、アシュリーが勢いよく頭を下げる。

ああ、そうだ、ミネルヴァの使用人であるオリバーとシグネトが着ていたのと一緒だったのだ。


「私たち10名、本日からこちらで奉仕させていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。」

「え、学長からは何も聞いていませんよ?!」


後ろからアシュリーより年上に見える女性が補足する。

だが、今日は何も言われなかったぞ。

それこそ、ミスリルの話をしたときも「あとで届ける」としか言われていないし。


「こちら、ミネルヴァ様からの封書でございます。お改めください。」

「あ、はい。あの、とりあえず中へ。」


封書を受け取り、そのまま屋敷へ。

応接間へ通し、とりあえずソファに腰掛けてから封書を開く。



『アルバスへ

 今更となってしまったがお前の屋敷には使用人がおらず不便だろう。

 そこで、私の屋敷で見習いをしていた者達をそちらへよこすことにした。

 なに、遠慮することはない。あの規模の屋敷だ。1人で維持するのは困難だろう。

 それに、お前のことだ、使用人の雇い方もよくわかっていないだろうからな。

 取り急ぎ、10人ほど送る。

 それぞれの給金に関しては相場を同封するのでそれを参照して払ってやってくれ。

 うちで鍛えた優秀な者達だ。うまく活用してくれ。

 

 追伸. ミスリルは後日オリバーが届ける。オレインが使っていた剣でも取り急ぎ構わないぞ。

                                     ミネルヴァ』



ズルッ


・・・呆れすぎてソファから滑り落ちてしまった。

剣に関しては、スルーしておくことに。

なんというか、勝手というか・・・。

いや、確かに人手は欲しかった。それは正直に言えば嬉しい。

だが、それを直接伝えず封書って・・・。

それに、一気に10人か・・・給金大丈夫かな。

同封されていた給金表を見ると、無用な心配というか、むしろちょっと安すぎないか心配なんだが?

1人あたり大銀貨4枚。

一般的な平民の月収相場より少ない。

これは俺の経済力に合わせた相場のかもしれないけど、それでもいくら何でも安すぎないだろうか。


「えっと、みなさんはここで働くことに異論はないんです、よね?」

「もちろんです。」


全員がすごい熱意の籠もった目を向けている。

何を言われてここに来たんだ。

何を期待している・・・?!


「えっと、俺は確かに準男爵の爵位を授かりましたけど、それでもまだ学生で、それもまだ成人すらしていない子供です。そんな人間が主でもいいのですか?」


まだまだ王都の事も良く理解してないこんな俺が主で納得するのだろうか。

それに、準男爵とは言ってもまだ子供だ。


「国王陛下からこの屋敷を与えられ、準男爵を授爵されたお力を考えれば、疑うなんて恐れ多いです。」


そうだった、この世界は貴族主義が根強いんだったよね。

そりゃ貴族の言葉は絶対って思ってる人もいるわけで。

食い扶持をつなぐ為にはそれもやむなし、と。


「・・・わかりました。それではよろしくお願いします。」

「ありがとうございます、アルバス様!」


きれいにそろった一礼でお礼を言われると、悪い気はしないな。

むずがゆいけど。


「それと、アルバス様、私たちにかしこまらないでください。」

「それもそう、だね。わかった。よろしく頼むよ。」


さて、それから給金についても言っておかないとな。


「それから、君たちに払う給金について何だけど、衣食住付きで大銀貨8枚支払おう。」

「ええ、そんなにですか?!」


全員がざわつく。

まぁそれもそうだ。

一般的な平民の平均月収を優に超える金額だ。

全員に支払えば毎月金貨8枚は飛ぶ計算。

だが、俺としては使い切れない白金貨がある。

さらにはこれから魔法の袋を量産するわけで、それが軌道に乗ればもっと大量に稼ぐことも出来るわけで。

・・・そういえば、貴族の俸禄で年間10枚白金貨来ること考えたら割と余裕じゃないか。


「それと、週に1日必ず休暇を取るように。」


またしてもざわめきが大きくなる。

屋敷勤めだと基本的に自分から暇をもらわないと休むことも辞めることも基本出来ない。

だが、それだと息が詰まってしまう。

住むのもこの屋敷に居ることを考えれば福利厚生は大事だ。


「というわけで、改めてよろしくお願いするよ。あ、そうだ、明日は俺は作業室に籠もるから、その間に引っ越しを済ませておいてくれ。」


騒然とするメイド達を置いて一人応接室を後にして作業部屋へ。

これはしっかり稼がないといけなくなったな。








それから数時間、日が落ちて暗くなるまでひたすら作業を続けた。

魔法の袋の量産準備だ。

初めて作った魔法の袋は、口周りに魔法陣を描き、円を描く方法で作った。

だがこの方法では収納魔法を使えないと魔法陣は描けない。

量産するにはどうするか考えた結果、口紐を改良すればいいのではないかと言うことになった。

袋を縛る口紐にマナダイトを溶かしたインクを染み込ませる。

そうすることで魔力の親和性をあげ、魔法陣の輪の代わりにする。

ただそれだけでは術式が刻めない。

そこで、口紐を止める留め具に細工をすることにした。

留め具の裏側に、魔法陣を描く。

容量はおおよそ3倍になる程度。

そういえば時間経過とかはどうなんだろう。

自分の収納魔法の効果すらその辺ははっきりしていなかった。


「とりあえず、これで準備は出来た。あとは、これに魔力を通して・・・。」


細工が終わった革袋を手にとり、魔力を通す。

今度は口を開き、準備していた鉄鉱石を詰めていく。

袋の許容量を軽く越え、3倍ほど入ったところでいっぱいになった。


「よし、出来た・・・!この方法なら、口紐と口金の細工だけうちでやれば、量産は可能だな。」


マナダイトのインク化はまだ世間的に知られていないから、公表するタイミングが悩ましい。

もしかしたら他国では既に主流の技術かもしれないが、今のところそんな品物はこの国では見かけたことは無い。

実際、技術の進歩はして欲しいので、公表するのはやぶさかでは無いのだけど。


「とりあえず、学長に報告して相談しないと行けないか。」

「アルバス様、よろしいでしょうか。」


書斎に向かおうかなと思ったところに、作業場の外から声がかかった。


「入っていいよ。」

「はい、失礼致します。」


扉を開けて入ってきたのは、門前で俺に封書を渡してくれた女性。

アシュリーより少し歳上に見える女性は彼女たちメイドのまとめ役で、確か名前は


「えっと、エミリア、だったかな。」

「はい、エミリアでございます。覚えていただいて光栄です。」


恭しく一礼するその所作の一つ一つがすごい洗練されていて本当にメイドなのかと疑いたくなる。


「それで、どうしたのかな?」

「お食事の準備が出来ております。」

「そんな時間だったか。ありがとう、すぐに向かうよ。」


自宅で久々にゆっくり食事をする気がする。

あれ、そういえば昨日って食事を取らなかったんじゃないか?

・・・食事はこれからちゃんと取ろう、うん。





準備してくれた食事は非常においしかった。

さすがはミネルヴァのところで鍛えられただけはある。

アシュリーは家事全般をこなし、エミリアは書類整理関係が得意らしい。

他の面々は今度ゆっくり聞くことにしよう。

ミネルヴァに送る書類を纏め、先ほど作った試作量産品と一緒に纏める。

さて、どうしようか。


「そういえば、呼ぶときどうしよう。」


用事があるときに呼ぶための方法を考えていなかった。

まぁ、そもそもこの家でそんなことが必要になるとは全然思っていなかったわけで。

今度ベルか何か調達するか。


「アルバス様、お茶をお持ちしました。」


ちょうどいいタイミングでアシュリーが紅茶を持ってきてくれた。


「ありがとう。ちょうどよかった、一つ頼みがあるんだけどいいかな?」

「はい、どうなさいました?」

「この封書と、この革袋を、明日学長に届けて欲しいんだ。」

「ミネルヴァ様へですね。かしこまりました、明日行ってきます。」


お茶を置き、封書と革袋をもって書斎を後にする。

これで一つ片付いた。

さて、これから先の予定を纏めないと行けない。


・クラス対抗戦までに各自の武器を作る

・魔鉄精錬ついて調べる

・刀を作る上で最適な魔鉄を探す

・自身のレベルを上げる


大まかに纏めればこんなところか。


「・・・あれ、そういえばなんかずーっと忘れていることがあるような・・・?」


ここ最近は一気に色々ありすぎてなにか忘れていることがあるような気がする。

大事なことだったような気もするが、思い出せない。


「まぁ、そのうち思い出すか。」

いつもお読みいただいてありがとうございます!

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