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幕間~女神達、語らう

今回は21本目ということで幕間として1本。

『刀匠、刀を打つ』辺りのお話となっております。

次回から本編に戻りますのでどうぞよろしくお願いします。

いつからか天界と呼ばれることになったのか。

神や女神、天使が住まう世界。

しかしここは地上と同じで昼があり夜がある。

それは地上を見守る守護者として同じ環境を知るため。

いつの頃からか神も女神も天使も、夜は眠り、昼は働くというような生活を送り始めた。

もちろん、司る物によっては逆の生活を送る物が居るがそれも地上と同じ。


「ねぇ、アルバス君に成長限界突破のスキル送ったの、だれ?」

「アルセナス、お前さんじゃなかったのか?」

「そんな訳ないじゃない。いくら何でもあのスキルはあの年齢で発現していい物じゃないわよ。」


天界の水鏡。

地上を見るためにある鏡。

スクリーンみたいになっている水鏡には、アルバスの姿が映し出されている。

それは、ちょうど魔鉄を作り上げたところ。


「あーあ、魔鉄の謎に気づいちゃったじゃない。それに錬金術までちゃんと取得してるし。」

「このスキルの取得スピードは異常じゃな。ワシもこればっかりは度肝抜かれ取るぞい。」


さっきからあーでもないこーでもない言っている3人。

女神アルセナス。アルバスをこちらの世界によこした原初の女神の1人。

鍛冶神フェルガナス。この世界の神の1人にして武器創造を司る神。

剣神オルダナス。剣術を司る神。


「それよりもフェルガナス。お前、以前あいつに接触したよな。そのとき何した?」

「むっ、わ、わしか?ワシはほら、あれじゃ、あー」

「フェルガナスまさかと思うけど貴方なの?」

「待て、ワシじゃないぞ?!ワシが授けたのはまだ芽吹いておらん!」


その言葉を聞いて一斉にジト目でにらみつける二柱。

居たたまれなくなったフェルガナス


「・・・ワシが授けたのは(・・・)じゃ。」

「それもどうかと思うけど・・・まぁ、今の位階では絶対に芽吹かないスキルだからいいか。」

「本人が自力で取得した、という可能性は・・・ないな。」

「ええ、あのスキルだけは絶対にあり得ない。だって、これは『勇者』に贈られるべきスキルですもの。」


過去に何度か生まれた魔王。

その悉くを討伐したのが、勇者。

この世界に勇者というジョブは存在しない。

ただし、勇者であると証明するスキルは存在する。

『聖剣技』『万象の神眼』『創造神の寵愛』

この3つを取得することで世界はその者を勇者と認める。

全てのスキルを身につけるには、成長限界突破が必須になる。

それぞれ前提となるスキルが存在し、人がなしえる最終位階へ到達した時、全てがそろう。

もしくは、過去に行われた勇者召喚。

異世界からの転移者に授けられるとも言われている。


「だが、アルバスは転生者だ。転移ではない。勇者の技能を授かっているわけではない。」

「そうなると、やっぱりこれは・・・。」

「まぁ、可能性はあるわな。」


三柱は深いため息をつく。

つまりはそういうことだ。

魔王誕生が近い可能性がある。

そうなると、この不自然なまでに強い力。

これを授けた神は自ずと絞られる。


「お父様は何を考えているのかしら・・・。」

「創造神の考えることなんざ、わからん。じゃが、ワシとしては見物だがな。この先こいつがどこまで成長するのか。」

「フェルガナスの言いたいことはもっともだ。私としてもどこまで成長するのか気になる。それに、彼一人に成長限界突破が授けられたとも考えにくい。他の地域を担当している神々にも聞くべきだろう。」

「・・・それも、そうね。」


額に手を当て頭痛をこらえるような表情をするアルセナスだったが、そこで何かを思い出した。


「・・・そうよ、それより、これ以上は今のアルバス君には負担になりすぎてしまうわ。」

「おう、それは確かにそうだ。どうしたもんかのぅ。」

「私は剣のこと以外はからっきしだ。その辺はお前たちに任せる。」


脳筋なオルダナスに白い目を向ける2人。

とは言え、実際フェルガナスも似たようなものだから何も言えない。

アルセナスも直接地上に干渉する訳にも行かず頭を悩ませる。

すると目の前にふわふわと綿毛のような光が漂ってくる。


「なにかお悩みの用ですね、アルセナス。」

「あら、メーティスじゃない。珍しいわね、こちら側に来るなんて。」


程なくして光は人型を創り、目の前に一柱の女神が現れた。

叡智の女神メーティス。この世の叡智を蒐集し知識を司る女神。

彼女もまたアルセナスと同じく原初の女神の1人。


「ちょうど、聖王国側の観察も一段落いたしましたので、アルセナスが招いたと言う方の様子を見ようかと思いまして。そうしましたらなにやらお悩みのようでしたので。」


微笑みを浮かべてこちらを見るメーティス。

だが、アルセナスは知っている。

彼女は、かなり腹黒いのだ。


「・・・何か企んでるの?」

「まぁ、人聞きの悪い。私は貴方が困っていそうだったので手を貸そうかと思っただけですのに。」


わざとらしく泣き真似までする辺り、どうやら異世界の『まんが』というものにどっぷりはまったらしい。


「もう、いいわよ。貴方の知識を貸して頂戴。」

「ふふ、もとよりそのつもりですわ。」


屈託のない笑みを浮かべるメーティスに対してアルセナスは疲れた表情。

掻い摘まんで今の状況をメーティスに伝えると、顎に手をやり、少し悩む。


「なるほど、これは確かに困った状況ですわね・・・。お父様もこれは予想していたのでしょうか。」

「主神殿も、恐らくだが種を蒔いた程度にしかおもっとらんはずじゃぞ。」


いつの間にか手元には熱々のお茶が用意されており、フェルガナスは完全に静観モード。

オルダナスに関しては既に少し離れたところで素振りを始めている。帰ればいいのに。


「そういうことでしたら、少し早いですが『智天の書庫』を授けましょうか。」

「そっか、貴方の権能なら!」

「ええ、スキルを経由してではありますが、情報の取得を制限し、スキルの成長を抑制することは可能ですわ。」

「ほー、流石は原初の女神の一柱。同じ原初の女神でも、お主は別格じゃのぉ。」


静観モードだったフェルガナスが感嘆の声を上げるが、アルセナスの鋭い視線に眼を背ける。


「ただ、それでも直ぐには芽吹かせる訳にはいかないでしょう。この次、彼が何かを得ようとしたと同時に芽吹くようにいたしますわ。さて、担当はどうしましょうか。」


手のひらの上に虹色に輝く光の珠が数個浮かび上がる。

それをゆっくり吟味し、メーティスが選んだのは一番小ぶりな珠。


「貴方にいたしますわ、ケルビム。アルバスさんの守護天使として『智天の書庫』を通して支えてあげてくださいな。」


他の虹の珠は消え、メーティスが選んだ珠が光を強くして人の形を取っていく。

大きな翼をはやした天使が、そこに現れた。


「かしこまりました、メーティス様。智天使ケルビム、ご期待に応えて見せましょう。」


彼女は智天使ケルビム。メーティスの眷属にして智識を司る天使の一人。

メーティスに一礼すると、再度虹色の光に包まれどこかに消えてしまう。


「さて、これでとりあえずの仕込みは終わったわね。」


問題は解決とばかりに脱力するアルセナスであったが、何か引っかかりを覚えていた。


「そういえば、メーティス、聖王国の観察が終わったっていってたわよね。何かあったの?」

「いえ、大したことではありませんの。ただ、私たちの知らないところで先代魔王の眷属が生き残っていたみたいなのです。それがどうやら、なにか事を起こそうとしてるようなのですわ。」

「ちょっと、それって一大事じゃないの。地上の事に干渉は出来ないけど、『悪神』が絡むなら話は別よ?」


クワッと眼を見開きアルセナスが立ち上がる。

それでもメーティスは慌てた様子もなく、話を続ける。


「ご心配には及びませんわ。あの国に残っている勇者の遺物はまだ効果を残しておりますわ。効果が切れる二年後まで、さして大きな事は起こせませんわ。それまでに神託を下せる人物をゆっくり探します。」

「そんな悠長なこと言ってて大丈夫なのかしら・・・。」


なんとものんびりしているメーティスにため息をこぼしつつ、アルセナスとしてはどうすることも出来ないため水鏡を再度のぞき込む。


「さて、貴方が成人を迎えるまで、どう成長するか、見物だわ。たしかもうすぐ13の生まれ月が来るから、あと2年ね。・・・あれ、何か忘れてない?」


アルバスが成人を迎えるまでおおよそあと2年。

勇者の遺物が効果を失うまでおおよそあと2年。


何事もなく、平穏に、成人を迎えることが叶うことを、ただ願うばかり。

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ここ最近天気が荒れていて非常に嫌ですね。

梅雨を迎える前に大荒れとか勘弁してください。

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