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刀匠、競う

王国の名前が不一致だったため修正いたしました。

大変失礼いたしました。



結局、荷物の整理に数時間かかり、朝日が昇る頃になっていた。

冷静に考えれば、収納魔法で全部しまって置けば急ぐ必要もなかったと、ソファで横になってから気づいたのはここだけの話。

正直内容が怖すぎて封筒はまだ開けてすら居ない。


山積みになっていた荷物はやはりデッドラプトルの素材と買取のお金、合わせて買取と解体をお願いしていたほかの魔物の素材とお金。

予想はしてたけどすごい数だった。

ただ、これから魔鉄関連の作業をする上で必要になりそうな魔石もあったから良かった。

恐らくだけど、フェゴールが気を使って買取内容から外したのだろう。

金貨とかは正直、数えるの怖かった。

だからもうとにかくしまった。

うん、きっとあの封筒に内容は書いてある。

だからこそ開けたくないんだけど。

フォレストボアとかの肉に関しては保存魔法がかかった木箱に入っていたからそのまま食料庫へ運んだ。

ちゃんと見たのは初めてだけど、めちゃくちゃでかい倉庫だった。

冷蔵冷凍共にしっかりしている。

魔石が正常に動いていたことを考えると、オリバー辺りがチェックして置いてくれたのではないだろうか。

今度お礼をしなければ。


今日からはクラス対抗戦の準備期間らしいから、休むと何言われるか分からない。

とりあえず制服に着替え、寄宿学校へ向かう。



「おはよ、アル。ごめんね、昨日気づいたら寝てたみたいで・・・。」

「気にしなくっていいよ。気がついたら遅い時間だったしね。」


教練室に入ると、アニータが1番に声をかけてきたが、少し申し訳なさそうな顔。

出来れば最後まで見ていたかったのだろうけど、暑い上に長時間待つのは初めてでは誰だってしんどいだろう。


「おはよう、オレイン。」


俺の席の隣には既に机に突っ伏したオレインがいた。

声をかけたが返事がない。

まさか寝てるのか?


「んあ・・・おろ、アルか、おはよ。」

「まだ朝だぞ?」

「いやぁ、寄宿舎の方は朝からやかましいんよ・・・。まったく、眠いったらありゃしないよ。」


欠伸を噛み殺しながら背伸びをしているところを見ると、本当に寝不足のようだ。


「それより、昨日あの後どうなったんだ??」

「ん?ああ、とりあえず形にはなったけど、まぁ、納得できない出来だったよ。」


昨日できた刀を思い出し思案する。

魔鉄は出来た。だけど、玉鋼ではなかった。

刀には向いていない。

それどころか、あれじゃあ普通の鋼で作った剣の方が強い。

さて、どうするべきか。


「まぁ詳しいことはわかんないけど、お前の力がすげぇことはよくわかったよ。それでさ、ものは相談なんだけど。」


思考を中断してオレインの言葉に耳を傾ける。

まぁ、この後の言葉は予想が着く。


「武器を作ってくれ、ってことか?」

「お、さすがアルバス、話がはやい!そういうこと。オレっちの剣も、さすがにガタが来てるからさ、新調したくてさ。素材は準備するからどう?頼むよ〜。」

「まぁそれは構わないよ。授業が終わったら、形状とかの相談な。」

「ありがと、アルバス!」



座学が終わり、午後の教練。

今日からはクラス対抗戦の準備期間らしく、意図せず休んでしまった俺は内容を全く知らない。

昼食を終え、教練棟にあるグラウンドへ向かう。

不死鳥学級の面々は既に揃っており、各々自分の得意とする武器を持っている。

一応、俺も前に作ったロングソードを持っては来たが、もしこれで打ち合いするとか言われたら色々まずい気がする。


「よし、全員揃ったな。これからクラス対抗戦へ向けての準備と、今後の日程を説明する。」


ミネルヴァがクラス対抗戦について説明を始めた。

まずクラス対抗戦は1ヶ月後に行われる。

内容は各クラス5人1組のチームを3チーム選出し、トーナメント戦を行う。

つまりは武術大会みたいな感じ。

ルールは至ってシンプルで相手を戦闘不能にするか降参させること。

魔法関連の使用に制限はない。

装備は各自で準備すること。

自己強化薬の使用は禁止。

また、特殊な魔法具が肉体ダメージを精神ダメージに変換する。


ざっくりとしたルールは以上のようだ。

というか、3チームって、うちは2チームしか作れないな。


「他の学級は代表メンバーが出場する形だが、当学級は2チーム参加し、2名はサポートに回る。」


まぁ、ということは俺は不参加かな。

ほら、俺鍛冶師が本職予定だし。


「各チームのリーダーは、アルバスとリヴァス。お前達がリーダーをつとめろ。」

「は、はい!」


・・・やっぱりね。

うん、わかってたよ、わかってましたとも。


「リヴァスのチームは、ソフィア、ルガルフ、ユン、レオ。」


リヴァスは後衛型だが、ソフィアとレオは前衛系、ルガルフは中衛、ユンは後衛魔法型だったかな?

あとでどんな動きをしてるか見に行ってみないとな。


「アルバスのチームは、オレイン、アニータ、ジェシカ、セイン。」


いつものメンバーに、銀髪二人組が俺のチームか。ちょっと驚きだ。

あの二人の得意分野、確か前衛だったよな。行けるのか、これ。


「ルーナとフィニーはサポートに回ってもらう。」


2人とも騎士や冒険者よりも商人を目指しているから妥当だろう。

だが、戦闘が全くできないわけではないからな。練習相手になって貰えるなら1番いいな。


「それから、アルバス。」

「はい?」


ミネルヴァから呼ばれたが、嫌な予感がする。


「君にはもうひとつ仕事がある。」

「仕事、ですか。」

「ああ、君には各自の武器作成を頼みたい。」

「・・・はい?」


ほらきた。やっぱりだよ。嫌な予感がしたんだ。

いや、作るのはいいんだよ。練習になるし、本望だけども。


「いや、各自自分の武器ありますよね?」

「だろうな。だが、各自の武器は既製品の量産武器がメインだ。そうなると、他の学級の連中のように貴族どもが金を費やして準備した武器とやり合うのは難しかろう?」


そういえば、他の学級は貴族連中がメインだものな。

メンツの為なら味方の為に金を湯水のごとくつぎ込みかねない。

正直、俺としては勝ち負けはどうでもいいんだが。


「それに、他の学級に居る鍛冶師志望の連中が武器を仕上げてくる可能性もある。いいのか?お前は武器を作らず、量産品で挑んでも。」


・・・それは、非常に嫌だな。


「わかりました。引き受けましょう。ただし、材料は各自調達でいいですよね?」

「それは構わないだろう。既製品を購入するよりは材料費の方が断然安くなる。」


とりあえず、材料は持ち込みでということで話は纏まったようだ。

いつの間にやら周りはみんな何を作ってもらうかで話が盛り上がっている。


「アルバス、だったか。頼みがある。」


そんな中、声を掛けられた。

声を掛けてきたのは、ジェシカだったか。

同じチームになったジェシカとセインがいつのまにか近くに来ていた。


「ちゃんと話すのはこれが初めてだったな。私はジェシカ。こっちがセイン。」

「セインだ。よろしく頼む。」

「アルバスだ。それで、頼みとは?」


まぁこの今の話の流れでだいたいわかるけど、一応聞いておこう。


「私の剣と、セインの槍を作ってもらいたい。」

「それはもちろん構わないけど、セインは槍を使うんだな。」

「ああ、私とセインは双子なのだが、お互い得意分野も祝福も全く違うものだったからな。」


なるほど、双子だったのか。

けど、セインの方は一歩引いたような位置に立っていることから、双子でもなにか訳ありなのだろう。


「そうなのか。何か要望があれば教えて欲しい。」

「ありがとう。後ほど材料と共に伝えるとしよう。行こう、セイン。」

「はい、姉上。よろしく頼む。」


それだけ伝えると二人は離れた場所で打ち合いを始める。

なんというか、やはり壁を感じる。


「アルバス、俺たちのも頼むよー!」

「わ、わかったから、一斉に話すな!」


他の生徒から群がられ、一斉に要望を言おうとする。

こいつらこんなに元気だったっけ?




各々の要望を聞き終え、教練の時間が終わった。

チームごとの連携訓練は明日から始めることになった。


「アルバス、ちょっといいか。」

「はい?」


教練室へ戻ろうとしたところでミネルヴァに呼び止められる。


「昨日の件だ。」


ああ、出来上がった刀は預けていたんだった。

もう王宮に提出したのか?


「もう王宮へ?」

「ああ、朝取り急ぎ陛下には見せてきた。えらく驚いていたが、とてもお喜びになられていた。」


早いな。だが、俺としてはアレは失敗作なんだよな。


「まだ俺としては納得出来ていないんですけどね。」

「陛下としてはお前の腕は確かだと納得なさったようだ。そこで改めて、魔剣の修繕を依頼するとのことだ。」

「それはもとよりそのつもりですよ。」

「それと、今後新たに魔剣を作り上げたときは報償を授けるとのことだ。」


めんどくさいことになりそうな予感。


「・・・報告せず、黙っててもいいですか?」

「全てを報告しろ、とは言わないだろうが、適度には報告しておけ。」


こちらの気持ちをくんでくれるミネルヴァに感謝だ。




教練室へ戻り、荷物を準備して自宅へ帰ることに。

と、思ったらアニータとアルバスに捕まった。


「ねえ、アル、私の杖って作れる?」

「杖、か・・・。専門分野ではないけれど。どうして?」

「えっと、その、私の杖ってずっと使ってるから新調したくって。それに、私もせっかくならアルが作ったやつ使いたいなー、なんて。」


まぁ他の面々の武器を作ってアニータのだけ作らないなんて訳にもいかないだろう。


「わかった。その代わり、今使ってる杖見せてくれ。」

「やった、ありがと、アル!そしたらアルの家に行きましょ!」

「え、うち?」

「ええ、せっかくだもん、アルの家広いし、いいじゃない。」


まぁでかいのは認めるけれど。


「お、アルの家行くのか?オレっちもいっていいか?」

「まぁ、いいか。いいぞ。」


オレインもそろってくることになった。

それだったらチームで相談でも、と思ってジェシカ達を探したが既に帰った後だったようだ。

武器の素材と要望を纏めるのに急いで帰ったのだろうか。


「それじゃあ、いくか。」






自宅に着いて応接室へ。

キッチンで紅茶の準備をしてから向かうと、既にアニータは杖を、オレインは剣を取り出していた。


「アニータは杖で、オレインは剣でいいのか?」

「ええ、私は近接戦闘出来ないし。」

「オレっちも構わないよ。あ、もし可能だったら2本お願いしたいな。オレっち双剣術あるし。」


確かにオレインは双剣術も持っていたっけ。

あれ、ふと気づいたけど


「なぁ、今更だけど、俺たちのチームって後衛、アニータしか居なく無いか?」

「「あ、確かに。」」


ジェシカとセインはどちらも装備の感じでは前衛だ。

これは俺が中衛に入るか。


「まぁ、そこはあとで相談するとして、アニータ、杖を見てもいいか?」

「ええ、どうぞ。」


アニータが普段使っている杖を預かって、鑑定をする。



————— ————— ————— ————— —————


種類:魔杖

品質:E

魔力増幅値:F

耐久値:20/20

説明:オーク材を使った量産品。増幅値は低く、使わないよりはまし程度。


————— ————— ————— ————— —————



うん、これは木工職人の仕事なのだろうな、うん。

まぁ鍛冶で作れるタイプもあるだろうから、それを模索してみるとするか。

というか、杖じゃなくても魔力増幅出来ればいいのか?


「なぁ、アニータ。杖じゃなくても魔力増幅出来るのものならいいのか?」

「そうね、手が空くならそれに超したことはないけど、そんなことできるの?」

「いや、やってみないとわからないけどさ。とりあえず、試してはみるよ。」


杖をアニータに返す。

オレインが机に置いた剣は俺も以前使った量産品のショートソード。


「オレインはどんなのがいいんだ?なにか要望とかは?」

「そうだなぁ、オレっちとしては軽い方がいいんだよね。振り回しやすい形状がいいな。」

「振り回しやすいのか。なるほど。」


二刀流は見たことないから正直何となくのイメージでしかないが、とりあえずやれるだけやってみるか。


「それで、アル、素材は何を準備すればいいの?」


あ、そうか、素材は各自で準備する話になっていたっけ。


「そうだな、とりあえず、鉄鉱石と魔石を何個か適当に見繕ってくれればいいよ。」

「それでいいのか?」

「ああ、この間のデッドラプトルの素材もあるからね。」


実際、大量にありすぎる素材を消化したい。

金属ではないが、もしかしたうまく加工出来るかもしれないし。


「そういうことなら、お言葉に甘えようかな。」

「よっし、次の休みは西区に行くか~。」





二人は少し雑談をしてから寄宿舎へ帰っていった。

軽く夕食を食べてから、部屋の配置を確認する。

正直、寝室がどこかよくわかっていない。

場所の確認も終え、封書を開けていないことを思い出す。

正直見たくはないが、見ないわけにも行かない。


「なんか嫌だなぁ・・・。あいつら来てるときに明ければよかった。」


書斎の椅子に腰掛け、封を切る。

中から出てきた手紙に目を通す。

差出人は冒険者ギルドマスターのフェゴール。

中身はやはり先日のハグれの件。

素材の買取金額、素材として戻した内訳、ランクが変わったため新しく発行されたギルドカード。

だいたい予想通りの内容が書かれていた。

予想通りだが、だが・・・


「気分転換に、鍛冶しよう。」


封筒を机に置いたまま、作業場へ向かうことにする。

手紙の最後に書かれた一文。これが止めになったようだ。


『そのうちワシにも1本魔剣を打ってくれ!』

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いつもご覧いただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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