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刀匠、驚嘆する

いつもご覧いただきありがとうございます

誤字報告感謝でございます。

行間は少しずつ調整しようと思っております

何卒ご容赦くださいますよう

中央通りにある王立図書館。

広大な敷地を誇るこの図書館は知識の宝庫である。

世界地図や医学書、簡単な学問書や魔法に関する書籍など。

この世界において書籍は非常に高価な物。

真っ白な紙は製造自体が非常に大変で、若干色味が入った紙が多くある。


この王立図書館にある蔵書は貴重な白紙を使った書籍が多くある。

非常に長い年月が経過している物ばかりだが、建物自体に施された魔術防壁のお陰で書籍に被害はない。

蔵書は全て種類順にしっかりと整頓されている。

禁書庫に入る前に、まずは本館から調べることにする。


「すみません、入館証の発行をお願いしたいのですが。」


図書館に入ってすぐ、受付でまずは手続きをする必要がある。


「畏まりました。ステータスプレートをご提示ください。」

「あ、はい。」


ここ最近隠蔽せずに見せていたステータスプレートだが、正直に提示するべきかちょっと悩むな。


「あ、ステータス以下は非表示で結構ですよ。お客様の名前や年齢、職業などの確認だけですので。」


なるほど、そういうことか。

しかし非表示なんてできたのか。

意識すればできるってことかな?

試しにやってみよう。



————— ————— ————— ————— —————


Name:アルバス=セルタニス

Age:12

Lv:40

種族:人族

職業:冒険者、法衣貴族

爵位:準男爵


————— ————— ————— ————— —————



うん、出来たけど、また項目増えたし。

はっきりこう貴族って出ちゃうと、なんかねぇ・・・。


「アルバス準男爵でいらっしゃいますね。ゼピュロス閣下から連絡を受けております。禁書庫の閲覧許可証はお持ちですか?」

「あ、これですね。」

「承りました。少々お待ちください。」


ゼピュロスのおかげでスムーズに話が進んだ。

事前に連絡しておいてくれたことには感謝だな。


「お待たせしました。禁書庫閲覧許可が出ていらっしゃる方には入館証を発行せず、その代わりに当館利用の際にはステータスプレートのご提示をお願い致します。入館証を発行した際、それを貸与することで他の方が禁書庫に立ち入る危険性がある為の措置とお考え下さい。」


確かに、それは必要な処置だろう。

カードだけでは誰が誰だか判断できないが、ステータスプレート所持者以外は表示することすら出来ない。


「それから、ご存知かとは存じますが当館は常に開いております。ですがくれぐれもお静かに願います。また、禁書庫内の書物は持ち出し厳禁です。魔法発動の魔力検知をすると警報がなる仕組みもございますので、お気をつけください。」

「わかりました。ちなみに、鑑定は利用しても?」

「鑑定持ちの方でしたか。魔力に反応する警報は空間系の魔法や害意を持った魔法に反応致しますので、鑑定は問題ございませんよ。」


すごい仕組みの魔道具もあるんだな。

しかし、空間魔法に反応するのか。

興味はあるけど、まぁまたの機会に。


注意事項の説明も終わり、早速図書館内を見て回る。

医学や数学、多岐にわたる学問関連の書物

火魔法、水魔法といった魔法の基礎関連の書物

光魔法、闇魔法といった特殊系統の研究書物

一般的な魔物に関する書物や歴史書

実家の書庫や学校の書庫にあったような本もあれば見たことも無い書物もある。

知的好奇心を刺激されるものばかり。この国最大の蔵書を誇るだけのことはある。

取り急ぎ探すべきはこの国に伝わってきた武具各種に関する書物。

それから鍛冶師に関する記述があるもの。

他国からもたらされたものを含め、金属や鉱石に関するもの。

それから、未だに不明な点も多い錬金術に関するものもあれば探したい。


「よし、やろう。」


とにかく片っ端から本を集める。

少しでも怪しいと思った書籍は全て。

武器に関する記述がある書籍は予想以上に多かった。

転生前の記憶にもある武器や、全く見た事も無いものも。

昔やったゲームに登場した武器もあった。若干違う部分も存在するが、似通ったものは多い。

基本的な武器の構造、使われている鉱石はやはりどれも今手に入る鉱石が主材料になっている。

魔剣の記述は、やはり詳細には書かれていない。

だが、錬金術に関連している記述は見つけることが出来た。

魔力を浸透させて鉱石を変成させることで性質が変化する。

さらに魔力を循環させることで形状を変化させることも可能。


「錬金術とは記載されていないけど、これは間違い無く錬金術に関連する内容だな・・・。」


魔力で鉱石の性質が変化する、そして形状を変化させることも出来る。

これはもしかしたら魔鉄につながるかもしれない。

他の本も調べたが、特にはこれといって見つけることは出来なかった。


「さて、いよいよ禁書庫に入りますか。」


他にも興味深い本はあるが、まずは優先すべきことから進める。

図書館の最奥部に、禁書庫へ向かう扉がある。

扉の前には衛兵がおり、勝手に入ることが出来ないようになっている。


「ステータスプレートを。」


衛兵にステータスプレートを提示すると、無言のまま扉が開かれる。

開かれた先には地下に続く階段が伸びていた。

両側に魔石灯が等間隔に設置されている。


階段を降りた先にある扉をくぐると、広い空間につながる。

ここが、禁書庫。

魔石灯で明るさを確保しているが、若干薄暗く感じる。

出入口は入ってきた扉だけ。

だが、空気の流れを感じる。

書庫内の保全にほかの魔道具も使われているのだろうか?


「・・・さて、早速。」


ほかのことに意識が向いてしまったがまずは探す。

上の広大な図書館と比べ、禁書庫はかなり小さい。

小さいとは言っても、一般的な書庫よりは広い。

利用者はごく一部の貴族や王族ということもあり、整理整頓はしっかりと行われている。

だが、分類はされておらず、年代ごとに分けられている。


「これは持久戦になりそうだな・・・。」


王族の歴史や貴族年代史なんかはパス。

この国の戦いの歴史、魔物の大量発生に関して、ダンジョンに関して。

上の書庫にも同じような内容はあったが、そっちには書くことが出来ない裏の歴史がしっかり書かれている。

その中でも気になった記述があった。


「聖王国との共同戦線にてもたらされた異国伝来の武器『刀』、『大太刀』・・・・!!」


刀はこの国で生まれたのではなく他の国からもたらされたこと。

そりゃ下手な歴史書に書かれるわけが無い。

数百年前に起こった、東部山間地帯ダンジョンが発生源となった大規模魔物災害(スタンピード)

その際に隣国である聖王国アルバンダインの騎士団、冒険者たちと協力の上対応した。

そこまでが表の歴史。

ここからが裏の歴史。

当時聖王国では勇者召喚の儀式によって異界の人をこの世界に呼び、魔族からの支配に対抗する手段が取られていた。

年代は様々だったが、召喚されたものたちは神から神話武器(アーティファクト)を授けられ、当代最強と謳われた聖王騎士団長を遥に凌駕していたという。

その中にあったのが『刀』、『大太刀』と言われる武器だった。


「実際その勇者召喚が行われたのは後にも先にもその時のみであった、と・・・。」


魔物災害は魔王の眷属がダンジョンに影響を与えたことが起因する。

その後魔王が討滅されたことで、勇者を再度召喚する必要もなくなり、勇者召喚は歴史の闇に封印された、と。

勇者たちが神から授けられた神話武器(アーティファクト)のその後や、勇者たちのその後は記されていない。

恐らく、逆召喚は叶わず、この世界で最期を迎えたのだろう。

だが、神話武器(アーティファクト)は?

それに、この国に残る宝刀『景虎』。

これが製造された経緯は?


「鑑定を後回しにしたのは失敗だったかな。」


もしかしたらあれが現代に伝わった神話武器(アーティファクト)なのか?

だがだとしたら宰相の言葉が引っかかる。


『あれはこの国において唯一残った一振りですぞ。』


アーノルドが言った言葉。

つまりは過去に刀は複数存在した。だが歴史の影で消えていったと。

それに関する記述を探すが、決定的ものは見つからない。

だが、刀がこの国に伝わった理由はもうひとつあった。

魔物災害(スタンピード)の後、刀を授かった勇者がこの国を訪れた。

その際に、ドワーフ族の鍛冶師の元を訪れ、同じ形状の武器を作って欲しいと頼んだらしい。

鑑定持ちの神官が調べたが、正確な材質、特性は秘匿されていたらしく、調べきることは出来なかった。

だが、刀を持ち込んだ勇者は製法を知っていた為、それをドワーフに口伝し、鍛造させた。

普通の鉄では作ることは出来ず、より強固で柔軟性のある金属『魔鉄』を使って完成させた、と。


「・・・待てよ、強固で、柔軟な金属?」


その一文を見てハッとした。

刀を作る上で必要なこと。

衝撃に耐えうる頑強さ、それに合わせて刀身が割れないように柔軟性が必要になる。

その昔、鉄を超える強固さ、繰り返し行われる焼入れや冷やしこみにも耐えうる柔軟性を持った金属は作られた。

もちろん俺もその製法は知っている。

大掛かりな施設を作れば同じことが出来るだろう。

だが、俺はその金属の性質も全て理解している。

そしてこの世界には魔力がある。魔法がある。錬金術がある。


「仮説が正しければ、これで作れるぞ、魔鉄・・・いや、玉鋼・・・!!」


鋼をより高純度に仕上げたもの。

金属の中に含まれる成分を最大限純度が高い状態まで昇華した刀を作る上で必須なもの。

この世界の魔法を使えばそれがなくとも刀は実現できたが、より近い形に持っていくにはやはり欲しかった。

それに対する可能性を、見つけた。

あとは、魔鉄に関するほかの記載、それに魔剣に関する記述を見つけなければならない。

正直、ジュワユースと景虎は全く別物だったし、金属の性質も同じようには見えなかった。

俺の中で組み上がった仮説が正しければ、似た製法ではあるはず。

武器の歴史、鉱山分布図、王家宝剣歴、他国の宝物

可能性のある書籍をひたすら漁る、探す、読み込む。

1度読んでも見落としがあるかもしれない。

とにかくすみずみまで読み込む。

そして記憶していく。

ここの本は持ち出せない。

ならば知識を持ち出せばいい。

脳をフル回転させる。

詰め込める知識はひたすら詰め込む。


読む


めくる


読む


めくる


読む


・・・・・・


・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・




どれだけの時間こうしていただろう。

1時間?半日?

日が差し込まない為時間感覚がおかしい。

まだ数分しか経っていないようにも感じるが、腕に感じる強い疲労と鈍い頭痛がそれを否定する。


「・・・だが、見つけた・・・可能性は掴んだ。」


椅子の背もたれに体を預ける。

ギシッ、と軋む音が響くが今はそんなことどうでもいい。

机に広げられた本。

巨大な地図。

膨大な時間をかけて作られたであろう歴史の中から、ついに見つけた。

恐らくは玉鋼が魔鉄として認識され、伝わった理由。

混合されただろう鉱石。それが手にはいる国。

そして魔剣にも使われた理由。

あとは、材料を揃えて実験しなければ。

机の上に散らばった本を全て元の棚に戻す。

戻しながら、頭の中で理論を検証する。

シミュレーションしながら脳に叩き込んだ知識を読み解く。


片付けを終え、禁書庫を後にする。

長い階段を登るが、心做しか体が軽い。

登りきり、図書館へ繋がる扉を開け放つ。


「眩しっ・・・」


地下の空間とは違い大きい天窓から取り込まれた陽の光が突き刺さる。

太陽の位置から考えても、昼近いかな?

ということはそこまで時間は経っていないのかな。


「アルバスッ!!」


図書館の中央辺までやってきたあたりで聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「え、アニータ?」


周りの視線が痛い。

ここは図書館だもの、そんな大声は宜しくない。


「アニータ、静かにしないと怒られるよ。」

「あ、そうだった、ごめんなさい・・・ってそうじゃなくって!!」


騒いだことに顔を赤面させつつ、それでも何か言いたげにこちらを見ているアニータ。

なんだ、何かあったか??

あれ、そういえば


「アニータ、そういえばどうしてここに?それに制服なんて着てどうしたの?」


アニータの格好は寄宿学校の制服。

今日は休日のはずなのにわざわざ制服を着て図書館に来るなんて。


「あ、あのねぇ・・・人が心配して来たって言うのに・・・!!」

「え、ごめん、状況がよくわかんないんだけど・・・?」


全く状況が呑み込めない。

図書館の扉を出たところで、また驚くことになる。

なんと不死鳥学級(フェニックスクラッセ)の面々とミネルヴァがそこにいた。


「え、なんでみんながここに?それに学長まで?」

「ほらな、私の予想通りだっただろ、アニータ。」

「ええ、こっちの心配も他所にこの調子です・・・!!」


苦笑いを浮かべるミネルヴァに諦めの表情を浮かべたアニータ。

だから、さっきから状況が読めないんだが。


「オレっちから説明するよ、アルバス。お前、3日間もこもってたんだぞ?」


・・・は?何を言ってるんだ?


「いやいや、いくらなんでも3日間って・・・まぢか?」

「まぢ。んで、学長先生が、今日あたりひょっこり出てくるかもしれないから課外活動がてら見に来たって訳。図書館でなーにしてたんだか知らんけど、みんな心配してたんだぜぇ?」


1ヶ月ちょっととはいえ同じクラスで授業を受けた面々は思い思いの表情を浮かべているが、みな揃ってほっとしているのはわかった。

未だに心の壁を感じる銀髪の2人もクラスの輪から離れてはいるがここに来てくれている。


「あー、それはなんとも、申し訳ない。」

「その様子だと、三日三晩徹夜で調べていたわけか。それで、成果は?」


苦笑いを浮かべたままのミネルヴァだったが、その表情にはどこか確信めいたものを秘めていることが分かる。


「ええ、見つけました。」

「そうか、よくやった。よし、今日の授業はこれまでとする。明日は通常通り教練があるのと、週明けはいよいよクラス対抗戦の練習期間に入る。各自、準備は怠るなよ。それじゃあ解散!!」


ミネルヴァの号令ひとつでクラスメイトは各自帰路につく。

その最中何人かの生徒が声をかけて言ってくれた。

アニータとオレイン、ミネルヴァが残り、こちらを見てくる。

言いたいことはわかってる。


「それで、見つかったんだな?」

「はい。魔剣を再鍛造するための可能性は。それに、もうひとつの課題に関しても。」

「早速やるのか?」

「ええ、手持ちで何とか1本は仕上げられそうですから。学長たちも、来ますか?」

「ああ、是非そうさせてもらおう。」

「けど、アルバス寝てないんでしょ?大丈夫なの?」

「大丈夫っしょ、アルバスなら。」


なんの根拠があるんだ、オレイン。

まぁ大丈夫だが。


「今はまずは検証しないと気が済まないんだ。終わったらゆっくり休むさ。」

「なら、いいんだけど。せっかくだからお邪魔しようかな。」

「なら、オレっちもお邪魔するかな。」


全員がそのまま一緒に歩き出す。

目的地は、我が家。


「さぁ、やろう。魔鉄作成だ!」


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次回までで一旦魔鉄関連は終了

次次回から学級対抗戦に向けたパートに入ります

幕間を挟むかもしれませんがご容赦をば

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― 新着の感想 ―
[一言] 書庫に籠って3日3晩……アルバス氏の没頭ぶりがうかがえますねぇ。 きっと刀は完成するんでしょうけど、それがこの先どんな展開を齎すのか、興味津々でっす!
2022/05/25 09:34 退会済み
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