刀匠、決意する
「ステータスオープン。」
ステータスプレートを中心に全員が見えるように俺自身のステータスが表示される。
今回は、一切隠蔽せず、そのままのステータスが。
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Name:アルバス=セルタニス
Age:12
Lv:21→40
種族:人族
職業:冒険者
体力:4000/4000
魔力総量:2400/2400
力:7000
知力:2450
敏捷:2250
器用さ:9000(+900)
運:900
スキル(基礎スキル):成長補正(特大)、魔法適正(特大)、武術適正(特大)、技能適正(特大)、魔獣理解(中)、鉱石理解(大)、成長限界突破
スキル(術技スキル):剣術Lv8(MAX10)、抜刀術Lv1(MAX10)、火魔法Lv8(MAX10)、風魔法Lv7(MAX10)、土魔法Lv8(MAX10)、空間魔法Lv5(MAX20)、付与魔法Lv5(MAX20・New)、隠蔽術LvMAX、
鑑定LvMAX、鍛冶術Lv9(MAX20)、錬金術Lv2(MAX20)
スキル(加護スキル):女神の寵愛、鍛冶神の寵愛、剣神の寵愛、魔神の寵愛、???
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「なんじゃ、このステータス・・・?!」
「うっひゃー、予想以上にすごいな、アルって。」
「それよりも、女神様だけじゃなくって魔神様に剣神様に鍛冶神様の寵愛?!」
うん、俺も今見てびっくり。
デッドラプトル討伐で一気にレベルが上がってる。
それに、今まで???になっていたスキルが見えるようになった。
成長限界突破。
・・・いや、今の段階でも並の冒険者以上のステータスだってのに、どうしろと・・・?
「久々にみたな、こんな化け物みたいな数字。」
「化け物って、そんな・・・って、久々?」
「ああ、お前さんくらいの歳で、今みたいに恐ろしいくらい高いステータスは滅多にいねぇ。ごく稀にだが1部のステータスがずば抜けて高い奴らはお前さんぐらいの歳でも居る。だが、この歳で軒並み桁外れなステータスは俺でも初めて見る。冒険者の最上位、騎士団総代には及ばねぇが、それでも今の数字はその辺の大人捕まえても誰も届きやしねぇ。」
フェゴールがお茶を飲み、なにか思案する。
これは、何か嫌な予感すらする。
「だがな、お前さんみたいに『神の愛でし子』は居る。この国には俺が知る限り、3人。もちろん、お前さんを除いてだがな。」
「『神の愛でし子』、初めて聞きますね。」
俺の場合、転生する時の特典のような感覚だが、この世界では同じように神から寵愛を受けたもののことを指すのだろうか。
「無理もねぇよ。加護を授かっているもんはいくらでもいるが、寵愛を授かっているのはごく一部だ。お前さんみたいにステータスを隠蔽するやつがほとんどさ。それも、面倒事に巻き込まれたくないからな。」
それはごもっともな話だ。しかも俺の場合現状四柱の神から寵愛を受けていることを考えれば、余計面倒くさそうだ。
「一応、ステータスは今まで通り隠蔽しとけ。今回の件は上手くこっちで処理はする。」
「わかりました、助かります。」
「それと、そっちの坊主と嬢ちゃんも、悪ぃがステータス確認させてくれ。」
まぁ、こんな事態が起これば、当事者に確認が入るのは当たり前か。
だが、2人とも浮かない表情であるが。
「見せられない事情があるなら強制はしねぇよ。」
「いえ、大丈夫です、アルのステータス見たあとだと、なんか自分のステータスがすごく低く感じちゃって。」
アニータが苦笑いを浮かべながらもステータスプレートを取り出して、表示する
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Name:アニータ=エル=フェルナディス
Age:12
Lv:14
種族:人族
職業:冒険者
体力:1500/1500
魔力総量:700/700
力:2000
知力:1700
敏捷:1000
器用さ:1200
運:100
スキル(基礎スキル):魔法適正(大)、技能適正(中)、???(???)
スキル(術技スキル):聖魔法Lv3(MAX10)、光魔法Lv2(MAX10)、杖術Lv1(MAX10)、魔法薬術Lv2(MAX20)
スキル(加護スキル):薬神の加護、魔神の加護
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それでも一般的な他の人より、充分高い。
知力に関しては間違いなくずば抜けて高いだろう。
レベル差を考えれば、成長補正がある俺よりも高くなる可能性だってある。
「あれ、こんなスキル見たことない・・・この間までなかった。」
アニータ自体も初めて見たのだろう、???の表記。
俺もちょっと前まであったし、今も加護の欄に残る表記。
これは一体なんなんだろう。
「こいつはな、スキルが発現する前、条件を満たす前の状態だ。後天的に取得するスキルはこんな表記で出る場合が多い。条件はわかんねぇが、努力すれば実る証拠ってわけさ。」
なるほど、そういうことか。だがそれなら術技スキルにそれが出るならわかるが基礎スキルでそれが起きてるのがよく分からない。
「そら、残りは坊主だぞ。まぁどうしても見せたくねぇってんなら、強制はしねぇよ。」
「参ったね・・・わかった、オレっちもちゃんと見せるよ。」
オレインも同様にステータスプレートを取り出す。
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Name:オレイン=マッケンジー
Age:12
Lv:17
種族:人族
職業:冒険者
体力:2000/2000
魔力総量:600/600
力:3800
知力:1200
敏捷:3000
器用さ:1200
運:110
スキル(基礎スキル):成長補正(大)、武術適正(中)
スキル(術技スキル):剣術Lv8(MAX10)、双剣術Lv5(MAX10)、槍術Lv9(MAX10)、格闘術Lv5(MAX10)、隠蔽術LvMAX
スキル(加護スキル):武神の寵愛、剣神の加護
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「なんと、お前さんも愛でし子だったのか。」
「隠しておきたかったけど、アルが見せたのにオレっちが隠す訳にも行かないからねぇ。いやぁ、参った。」
肩を竦めているが、驚いたのは俺の方だ。
レベルは俺の方が高いが敏捷は断然オレインの方が高い。
「オレインもすごいステータスだな。」
「いやいやいや、オレっちのが凄かったらやっぱりアルは化け物でしょ。それより、アニータの知力の方がびっくりよ。さすがはフェルナディスの才女だぁねぇ。」
「わ、私は別に、商会のためにも勉強しなきゃって努力したからで、それよりもアルとオレインの方がもっとすごいから!!」
「おうおうわかったわかった。おめぇらちっと落ち着け。」
フェゴールが手を叩き意識を向けさせる。
「おめぇらはみんなすげぇよ。愛でし子である2人はもちろん、嬢ちゃんはやっぱり才女ってだけあってすげぇ才能の塊だ。もしかしたら、そのうち寵愛を授かるかもしれねぇ。だが、それまでは上手く立ち回れ。じゃねぇと、この国の貴族連中の食い物にされちまう。」
脅しではなく本気で案じているとわかる。
エミールの一件でわかるが、やっぱり貴族はどこもきな臭い。
「さて、もうそろそろ来るこったろうけど・・・お、来たな。」
誰が来るのだろうと考えていると、外から物々しい足音が聞こえてくる。
扉の方を振り返った瞬間、勢いよく扉が開け放たれる。
「師匠、うちの学生がお世話になっていると聞きましたがっ」
「おう、ミネルヴァ、遅かったじゃねぇか。とりあえず、落ち着け。茶でも飲めや。」
「学長?!って、師匠??」
飛び込んできたのは、ミネルヴァだった。
今日はミネルヴァも休みだったのか、平服だ。
「おう、こいつはな、俺が面倒見てやってたのよ。師匠ってがらじゃあねぇがな。」
「何を言うのです。師匠は師匠です。」
なんか、普段のミネルヴァと違う。
珍しいものを見れたな。
「それよりも、3人とも、無事で何よりだ。騎士団から報告があったが、ハグれの魔物に遭遇したと聞いたが?」
対面のフェゴールの横に腰かけ、一息ついたミネルヴァにここまでの経緯を改めて説明した。
段々と険しい表情になるミネルヴァだったが、最後にフェゴールにみせたのと同じく、3人のステータスプレートを見せると目を見開いて凝視していた。
まぁ、俺のステータスは疑われていたしね。
それよりも、俺以外は入学前の面談で見せていたんじゃないのだろうか?
あ、オレインは俺と同じで隠蔽あったからそっちに驚いているのか。
「フェルナディス嬢は母親と同じでやはり知力がすごいな。」
「あれ、母様のことをご存知なんですか?」
「ああ、ネーナは私の先輩だ。一時期一緒に冒険者として仕事をしたこともある。」
「そうだったんですね!今度その時のお話を聞かせてくださいね。」
「ああ、約束しよう。」
アニータは嬉しそうだが、ミネルヴァはなにか苦い思い出を浮かべているようにも見える。
勘ぐりすぎか?
「さて、アルバスは何かあると思っていたんだが、オレイン、君もとはね。」
「オレっちは、まぁその、あー・・・。」
「なんだ、お前さんなにか言えない話でもあるのか?」
「言えないってわけじゃあないけど、参ったな。」
何やらオレインの様子がおかしい。何か言いずらいことでもあるのだろうか。
「そこまで詮索することはしない。言いずらいことなら言わなくてもいいさ。」
「・・・申し訳ないっす。ただ、何もやましいことはないってことははっきり言っておきます。」
「ああ、わかった。今は君の言葉を信じよう。」
なにか引っ掛かりを覚えるが、要らぬ詮索はしないでおこう。それに超したことは無さそうだ。
「さて、アルバス。君は予想以上に飛んでもない力を秘めていたようだな。」
「俺自身、こんなに早く知らせることになるとは想定していませんでしたよ。」
正直、ギルドマスターであるフェゴールにもまだ伝える気はなかった。だが、今回ばかりはどうにも出来ないと判断した。
「少々予想以上で驚いたが、想定していた結果ではある。君の力は当代の寄宿学校生の中では群を抜いていると言っていいだろう。だが、今回のような想定外のハグれのように、強大な魔物はまだまだ多くいる。3人とも鍛錬は怠らず、研鑽してくれ。」
まぁ俺は自分のやりたいことさえ出来ればいいんだが。
余計なことは余計な波風を建てることになるからあえて何も言わないけど。
「ああ、それとな、今回のデッドラプトル討伐の功績をもって、お前ら3人の冒険者ランクを上げることにしたからよ。アニータとオレインは危険を顧みず街に危険を知らせてくれたこと、それに今日は他にも依頼を受けていたことを加味してDランクへ昇格。アルバスは単身引き付けて全てを殲滅したということで、ほかの分と併せてCランクへ昇格だ。」
「アルは分かりますけど、私とオレインはほとんど何もしてないのに、いいんですか?」
「今言った通りだ。お前さんたちは危険すら恐れず知らせに来た。それは立派な功績だ。」
アニータとオレインは顔を見合わせて呆然としている。
俺としてはこれで3人揃って鉱山にも行けるから万事OKなんだが。
「ありがとうございます。それと、買取とか精算もお願いできますか?」
「あ、アルは平常運転だね・・・なんか驚いてる私たちが間違ってるのかなって気がしてくるよ。」
「アニータ、アルはこういうやつだって。ほんと、マイペースだよ。」
言いたい放題言ってくれるな、まったく。
まぁ、間違ってはないけどさ。
「ああ、もちろん、この後ゴンのところで解体と買取は依頼してくれや。その前にもうひとつ話があるんだ。」
居住まいを正したミネルヴァがフェゴールの話を引き継ぐ。
「アルバス、君に造ってもらいたいものがある。」
「俺に、ですか?」
「おう、お前さんの鍛治術を見込んでの頼みだ。」
どうやらこの件はこの2人ともが関わっているらしい。
ということはつまり
「俺のスキルを知った時から、王都に来た時からお考えだったということでしょうか?」
「正確にはいずれ任せることが出来る鍛冶師が現れたら、と計画していたことではある。だが、君がここに来て、初めて打ち直したあの剣を見た時に、君ならばとは思ったがね。」
任せる?以前話しをした再鍛造と関わることなのだろうか?
「魔鉄の精錬。それを君に頼みたい。」
魔鉄。
聞いたことはある。だが、見たことは無い。
昔読んだ御伽噺の中に出てきた代物で、魔法を封じ、黄金より硬いと謳われた魔法金属。
「精錬方法は?」
「正直、わかってはいない。だが、実際に魔鉄が使われた武器は、ある。」
フェゴールが立ち上がり、応接室の奥、ギルドマスターの部屋へ向かい、1本の剣を持ってきた。
「こいつが、魔鉄製の剣、魔剣ジュワユースだ。」
魔剣、か。まさかこんなタイミングで関われるなんて。
だが、ジュワユース、か。これは転生前の記憶にある名前。確か
「もしかして、聖の魔力が込められてませんか?」
「お前さん、一目見ただけでわかったのか?すげぇな。」
やっぱりか。
聖剣ジュワユース。
古い文献で読んだ歴史的な偉人が手にした聖剣で、陽気という意味を持つ細剣だ。
似通った名前の剣が実在するというのも不思議だし、まさか聖剣が魔剣としてあることも。
「だが、この剣は今では既に機能しない。」
「どういうことです?」
「抜いてみな。」
手渡されたジュワユースを鞘から引き抜く。
細い刀身は鋭く、輝いていたのだとわかる造り。
だが、それは過去のもの。刀身は歪み、既に折れてしまっている。
「過去の大戦で破損したそうだ。これは王家に伝わってきた魔剣。そのまま葬ることもできず、打ち直すことが出来るものが現れるのを待っていた。」
「そのために魔鉄を精錬せよ、と。」
「ああ。その為に、王家はいかなる報償も支払うと言っている。どうだ、受ける気は無いか?」
「お前さんなら、やれると思ってな。どうだ?」
2人の視線が俺に集まる。
正直、未知の金属への挑戦。
それを考えると胸が高鳴る。
「アル、やってみたら?」
「そうだぜ、アル。材料集めとかならオレっちも付き合うからさ。」
アニータとオレインが背中を押してくれる。
それなら
「わかりました。時間はどれほど掛かるかわかりませんがやってみます。」
「そうか、受けてくれるか。」
「よっし、そう来なくっちゃな。」
しかし魔鉄か。とりあえずはこの剣は返しておこう。
鞘に戻し、フェゴールに渡す。
「今更急げなんて言ってくることもねぇだろうが、いずれにせよ期待はかかるだろう。何か必要なものがあればいつでもいいな。」
「ああ、そうだ、私から1つプレゼントがある。」
おもむろに立ち上がったミネルヴァがポケットから取り出したものを手渡してくる。
これは、鍵か?
「魔鉄の精錬を請け負う鍛冶師が現れたら移譲する許可を得ていたんだ。ずっと持っていて正解だったな。」
「えっと、これはなんの鍵なんです?」
「これは、昔宮廷で鍛冶師をしていたものが使っていた屋敷の鍵だ。見たことないか?西区を少し出たところにある屋敷。」
記憶を遡る。何となく見覚えがあると思うが・・・
「あの煉瓦で作られた煙突が見える屋敷ですか?」
いち早く思い出したのはアニータだった。さすが商人の娘。記憶力がいいな。
「そうだ、その屋敷だ。既に所有権は手放され、王宮の管理になっているが、譲渡の報告にうちのものが向かっている。今日からでも引越しできるぞ?」
うん、唐突すぎて思考が回りません。
「えーっと、つまり、あの大きな屋敷が、俺のものと?」
「ああ、鍛冶設備はもちろん完備してある。」
「ありがたく頂戴します。」
よし、これで腰を据えて鍛治ができる研究ができる刀を作れる!!!
「あー、それと、数日くらいなら授業を休んでもいいが、程々にしろよ?学業が学生の本分だからな。」
「そこはもちろん、はい。」
バレたか。
「それで、どうする?今日からもう引っ越すか?」
「いえ、さすがにすぐには。次の休日にでも引越しを進めますよ。」
「そうか、わかった。では師匠、私はこれで。これから王宮に私も向かわねばなりませんので。」
「おう、あとは任せな。」
「でわな、3人とも。また明日教練室で。」
「んじゃ、お前さんたちも買取と依頼報告済ませて帰るといい。今日はご苦労だったな。」
応接室を後にしてそのまま依頼の報告と買取へ向かう。手続きを進め、買取と解体を依頼したが量が多く、次の休みにまとめて受け取ることになった。
その中でフォレストボア1頭部だけは先に解体してもらったオレインはちゃっかりしてる。
寄宿学校に戻りながら、今後のことを話し、引越しのことも相談する。
パーティだから手伝うと言ってくれる2人に感謝しかない。
自分用の設備がある家に思いを馳せながら、ふと思った疑問が、現実に引き戻す
「維持費、何とか捻出しないとか」
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次からまた学校内の話に戻りつつ、製作関係の話にも入ります
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