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アトルテの物語   作者: 野田伝介
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序章

ある前提条件を込みで話すと、カレイラは何時までも生きていける間、天空を感じ続ける。

天空の城がカラスの死骸で埋まっていた。どこを探しても人間の生きた形跡が無い。

空の彼方にある城...。カレイラが見たのはその下で、生きた人間どもの仕事だった。

 前提条件を満たすためには、また、森に入る事で生き返る事になる。

森はどこまでも鬱蒼として虫が飛んでいて刺されると痒くなってくる。でも、森林浴の良さが、身体と心が一体となった自分が、また生き返ってくるのである。

森はどこまでも人を遠ざけようとする。そして、迷う。出口はどこだろう。西から入って東に出る。それだけで、駅はどっちだ。迷い込んだカレイラは、夜の入り口で、ただ一人佇んだ。

持続条件は、満たされる。エロスの帳を開けてしまうことになって、どうしようかと悩む。

公園のベンチに腰をかける。

森から出て、駅の場所も分からず、公園へと行き着いた。

ここから遠いのだろうか。おそらく遠いのだろう。

話しかけてくるのは、30代に入った奥さんだ。


お体の具合が悪そうですね。

ええ。少し休んで気分を取り直しますよ。


もう夜6時頃だろうか。あたりには人気がいないが、奥さんは買い物帰りだろうか。


では。

はい。


カレイラは遠のく意識の中で、気が変わるのを待つ。

エロスは、身体を滅ぼす。


ジャンプ体験を意識しながら、買い物か。とふと思い直す。

どこかで、カレーパンでも買おうか。それとも、牛乳にしようか。

歩かなきゃな。

コンビニの光の下で虫が溜まっている。

何分歩いたろうか。15分くらいだろうか。


これください。


カレーパンを買い、コンビニを出る。


カレーパンをかじり、これからどうしようかと迷うも、どうすることも出来ない。

一旦戻ることが出来れば、もう一度最初からやり直す事になるのだが、どうしても、身体は戻ることを許さない。せっかくここまで来たのだからとせかす何かがある。

カレイラはせっかちでは無い。でも、ゆっくり考えても答えは出そうに無い。

カレーパンを食べ終えて、何も答えが出ないまま、また、闇の中へ消えていった。




瞼を開けると其処には朝があった。紛れもない昨日の続きの身体と、途切れている記憶の断片が私を小刻みに刻んだ。どうやら、公園のベンチで寝てしまったらしい。

危ない目に遭わなくてすんだが、どうしても通り魔や、ヤンキーに絡まれたりするのが怖いと思うが、無事に夜を越すことが出来た。


アメリカには天空の城がある。

きっと、いつか、見た外人のようにカレイラも潔白であると知らせたい。

今、食べたいものは何かとか、聴きたい音楽は何かとか、あるにはあるが、それよりも、もっと大事な身体を鍛える事が、もう一度書こうか?

身体を鍛える事が今一番大事だ。だが、ここから派生して、人生を考えるきっかけになる。

健康な身体には健康な魂が宿る、とは、よく言ったものだ。

身体が健康なうちに詩を書いたりすると、それが、後々までついてくる。

それだけだった。


あるのは、健康な身体だけだった。信じていた。

身体が移していく光景と天気の具合で、歩く調子を見ていく。

とにかく。

何処かに休むところを探さないといけない。


継続条件により、誰か死んだ。誰でも無い誰か。死というエネルギーが、生を生み出す。

生きていた頃の事は、死んでいった人の気配で気づく。


ありのままの違う姿を見せるのよ

しかしシンディアからどこへ向かうか。ここは記憶によるとシンディア市内だ。

カレイラは逃げているのか、どうなのか、生きた証を探している。

あるのは、書いている今生きて帰ってきていると言う証だけだ。

細部を思い出そうとすると少し忘れていることを思い出すのだった。

それが、繰り返されても、細部と大きな部分と併せてしっかりと記憶という事でくっつけている自分がいる。

そうだった。カレイラは作り出した過去を持つ男なのだ。

忘れていることだったが、誰かと一緒にいても、カレイラは一人で過去を作り続けていたのだった。

テッティーニ、グルコッシ、キーアと歩いて、首都ポーチ区域に入った。速い足でもないが、ゆっくりもしていられない。

 何か思い出以外に残ってないのか。何か残っていると良いのだが。

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