表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
起死回生ブレーキ! 二木粟生井鉄道  作者: 髙津 央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/65

60.起死回生!

 回生ブレーキは、電車のモーターを発電機として使った負荷で減速し、発生した電気を架線に送る。その電気を使うのは、ブレーキを掛けた電車自身ではなく、近くを走行中の他の電車だ。



 二木粟生井(にきあおい)鉄道の経営状態が彼岸花畑状態で廃線の危機を迎えたから、三木は一年掛けて準備して行動を起こした。

 並行して、三木が知らないところで役所と住民と地元業者が協力し、二木粟生井(にきあおい)鉄道活性化協議会……通称「二木鉄の乗客を増やす会」が発足した。


 三木の絵が論外レベルで下手だったから、花鳥画絵師の西口が専門外のイラストを描いてくれた。

 ちゃんとした萌えキャラではなかったから、ねとにゅ~が記事にしてネットで話題になった。

 炎上したから、ニローたち沿線住民が動いてニコパなどの企業からコラボの打診も来た。

 協議会の会議で面と向かって反対された時、二木大学の鉄研会長が立ち上がって庇ってくれた。

 予算がないことをぶっちゃけたから、地域住民が無償で不用品を提供して手伝いを申し出てくれた。

 社内の反対があったから、逆に地元有志が積極的に動いてくれた。

 実際には乗車できない人たちも、二次創作やSNSで楽しみながら協力してくれている。



 近くを共に走る電車が居なければ、回生ブレーキは失効してしまう。



 二木鉄は廃線へ向かうレールに乗り上げようとしていた。

 最終判断をするのは経営陣だが、回生ブレーキを作動させ、ポイントを存続方向のレールに切換えたのは、同じ空の下で架線を共有する人々だ。



 都市部から終点の農村地帯まで線路と架線が繋いでいる。

 廃線になれば、人の繋がりも一緒に消えてしまうだろう。



 三木は、涙が滲む目をこすってスマホをみつめた。


 ……今は、ネットの回線で遠くの人とも繋がってる。


 ニローとニコパに返信を終え、珈琲を飲んでいると、立て続けに着信があった。

 西口と押部谷だ。


 〈言い忘れてました。ラリーのコンプ景品用にイラスト描き下ろしました。

  三種類。モノは缶バッジと白百合農園のクッキーとクリアファイルです。

  このイラストの分は非売品にして、スタンプラリーのモチベUPに使いましょう。

  缶バッジは乗客増やす会の人が機械貸してくれたんで、それで作ってます。

  レンタル料に缶バッジ渡しました。

  バッジはスタンプの原図……三木さんの鉄道写真でも作ってます。

  白百合農園さんには、クッキー作ってもらってるとこです。

  クリアファイルは、スタンプの会社に発注済みです。

  三木さんの入院中に進めてすみません。〉


 〈いえいえ、そんな。とんでもない。

  入院中に全部片付けて下さってありがとうございます。

  こっちこそ、西口さんの負担を増やしてしまってすみません〉


 西口のメールに低頭して返信した。



 養鶏農家の押部谷は、三木が気付かなかったことを提案してくれた。


 〈スタンプラリーやるって聞いたぞ。頑張ってんじゃん。

  終点のあの辺って、食いもん屋ないだろ。どうすんの?

  よかったら、俺んちの地鶏サンドと唐揚げと鶏おにぎり売るけど?〉


 粟生井(あおい)駅は待合室の前に自動販売機があるだけで、周辺三キロ圏内に飲食店はない。

 一応、粟生井(あおい)駅の他社サイドにイートインできるパン屋はあるが、五席しかない上に学校が休みの土日祝日は定休日だ。


 〈ありがとう。

  今、ウチの駅長が役所と本社に言ってくれてる。〉


 〈それ、おばちゃんから聞いた。

  当日のことは任せてくれ。

  俺らあっちこっちのイベントで物販慣れてるから。〉


 同級生の頼もしい申し出に、三木はスマホを拝んで返信した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ