表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
起死回生ブレーキ! 二木粟生井鉄道  作者: 髙津 央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/65

06.開業八十年

 始発業務まで二時間弱。


 ……いっそ、徹夜しようかな? いや、流石にそれはマズいか。


 二木あおいのフォロワーは、ほんの数時間で二木粟生井(にきあおい)鉄道公式を超えた。


 三木はスマホの電源を落とし、充電器に挿して目をつぶる。

 瞼の裏にタイムラインが焼き付いていた。


 車輌写真、駅舎写真、ヘッドマーク、鉄道関連ニュースのリツイート、鉄ムスの二次創作イラスト……タイムラインに流れたカラフルなアイコンや写真の残像が薄れ、うとうとし始めた頃、強制起床装置に叩き起こされた。



 明け勤の始発業務をなんとか無事にこなし、一人暮らしのアパートに帰り着いた途端、どっと疲れが押し寄せる。

 三木はとるものもとりあえず、寝直した。



 昼過ぎに目を覚ます。

 頭の芯に眠気が残り、思考が回らない。

 機械的な動作で、ヒマな日に大量に作ったおかずを解凍して、もそもそ食べる。食器を洗う頃には目が覚めてきた。


 ふと思い出して、スマホの電源を入れる。

 ツイッターの通知が、三桁に達していた。

 息を呑んだ拍子に咳込み、スマホを置く。


 布団を干して空の青さを確認して、部屋全体に軽く掃除機を掛ける。

 水を飲んで動揺を鎮めて、通知の内容を確認した。



 いいね、リツイート、フォロー、二木あおい宛の@ツイートの件数が、それぞれまとめて表示されている。

 反応してくれたアカウントをチェックするのは、諦めた。

 多過ぎる。

 フォローしてくれたアカウントをざっと見て、直近に非常識なツイートがない限り、フォローを返した。


 布団を取り込み、定位置に敷き直して、もう一度、スマホの画面を見る。

 昨日の今日……いや、たったの半日ちょっとで、自社公式アカウントの六倍以上のフォロワーがついていた。


 ……これで開業記念イベントとかに来る人が増えて、増収できればいいけど。


 フォロワーが、二木粟生井(にきあおい)鉄道の沿線や近隣都市の住民なら、現実に足を運んでもらいやすいが、遠方や海外在住ではそうもゆかない。

 無料でイベントの告知を拡散してもらえるだけでも、充分過ぎるくらいありがたかった。


 二木あおいのフォロワー自身は無理でも、そのフォロワーのフォロワーには、実際に乗りに来られる者が居ないとは言い切れないのだ。


 二木粟生井(にきあおい)鉄道は、牧歌的な田園風景が広がるローカル線だ。

 終点に近付く程、自家用車の保有台数が増える。

 三木の家族でさえ、滅多に乗ってくれないのだ。

 沿線住民には、一度も二木粟生井(にきあおい)鉄道に乗ったことがない者が少なくなかった。


 二木あおい宛のツイートを確認する。



 〈開業八十周年おめでとうございます♪〉



 二行目で、喜びにキラキラ輝く顔文字AAが踊る。

 アイコンは◎の図形だ。プロフィールを見る。

 どうやら、乗り鉄らしい。

 ヘッダ画像は、地方の観光列車の座席。ツイートは記念乗車券や座席、駅舎の写真や乗り心地の感想などだった。

 ダイヤや乗り継ぎには、あまり興味がないらしい。

 三木は、珍しいタイプの乗り鉄だな、との感想を飲み込み、返信をツイートした。



 〈上の丸さん、お祝いありがとうございます。

  今日から一週間、最初の記念イベントが始まります。

  今年は他にも色々な記念列車が運行されるので、お楽しみに♪〉



 言葉を選んで乗り鉄にアピールし、いいねしてフォローする。

 上ノ丸からは、既にフォローされていた。

 直近の写真付きツイートは、秘境駅を経由する観光列車だ。どこに住んでいるのか知らないが、このローカル線にも乗りに来てくれるのではないか、とついつい期待してしまう。


 二木あおい宛のツイートは、この一件だけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ