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起死回生ブレーキ! 二木粟生井鉄道  作者: 髙津 央


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41.第二回会議

 本社への電凸は数日で収まったが、メールは大して減らなかったらしい。

 広報部長の田尾寺が、壇上でなんとも言えない顔をして、ねとにゅ~の記事の反響について語る。


 「えー……何と申しましょうか、全く身に覚えのないことで、ですね……“私はあなたの隠し子です”と、全く知らない娘に名乗り出られたような気分です」


 二木粟生井(にきあおい)鉄道活性化協議会のお堅い雰囲気がふと緩み、出席者がどっと沸く。田尾寺広報部長は、ウケを狙ったのではなかったらしく、頬を引き攣らせて続けた。


 「非公式ではありますが、二木粟生井(にきあおい)鉄道の名が全国に知られる契機になりました。先日は地元紙と全国紙からも取材のお問合わせをいただき、ネット限定記事ではありますが、全国紙のサイトにも載りました」


 プロジェクターで記事の画面が大きく映し出される。三日前の記事だ。

 大手の新聞社に取材されたことで、大規模な広告が無料でできたことに気付いたらしい。ニコパのグッズ販売について、版権使用料を雑収入に上げる旨が発表された。



 三木は横を向き、沿線の事業者席と住民席を窺う。

 この職員席からは、ののママとニローの姿は確認できなかった。よく考えると、ニローはともかく、先月の会合で「大勢の中の一人」として会って以来、ののママとは一度も会っていない。顔を見ても誰がそうなのかわからない。名刺にはママ友サークルの名称と、ののママのメルアドしか載っていなかった。


 ……ある意味、これってオフ会なのにな。


 三木は当面、ののママなど、ニロー以外の協力者には素性を明かさないことに決めている。


 秘密を知る者が増えれば、漏洩のリスクはそれだけ上がる。

 危機感を抱いて自身の存在を隠す西口や、金銭取引が発生して秘密を守る意識が高まったニローなら、二木あおいの中の人が何者か、漏らす心配はなさそうだ。


 ののママのダイレクトメッセージのテンションでは、ついうっかりの懸念があった。



 壇上ではプロジェクターがグラフを映し、淡々と先月の業収報告が続く。

 営業の唐櫃(からと)部長が記念イベントによる増収を力説し、グラフも実際、八十周年記念イベントの日に微増していた。


 その後、ねとにゅ~に「二木あおい」が載った日の次の日曜にも、それより少し大きい変動があったが、唐櫃(からと)営業部長はその増収に全く触れずに報告を終え、ゴルフ場オーナーの広野氏にマイクを渡した。



 「えー、まず、改めて自己紹介させていただきます。宗佐(そうさ)ゴルフ場をやっとります、広野と申します。来月、最寄りの宗佐(そうさ)駅構内で、ゴルフ教室を開催させていただくことになりました」


 ホームの端にスペースを設け、クラブの持ち方など、ボールを使わない基礎レッスンと、ボールの販売などをするという。規模は小さいが、地元在住の元プロゴルファーを呼ぶ、かなり本格的なレッスンだ。

 取敢えず、来月は第二土曜に開催して様子を見て、継続するかどうか決めると言う。


 「ボールなどの用具をお買い上げの方はレッスン無料、改札を通りますんで、多少なりとも二木鉄さんのお力になれましたら、と存じます」

 会場からぱらぱら拍手が起こる。


 第二回会議は平日昼間で、参加者は初回よりずっと少ない。

 前回は初会合だから、多少の無理をしてでも予定を空けてくれたのだろう。



 話し終えた宗佐(そうさ)ゴルフ場の広野オーナーが、傍に控えた若い女性にマイクを渡した。

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