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起死回生ブレーキ! 二木粟生井鉄道  作者: 髙津 央


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39.埋まる外堀

 三木は上司の谷上駅長の顔を思い出し、本社の状況を察した。

 唐櫃(からと)営業部長が中心になって「僅かな儲けの為に鉄道会社の誇りを捨てるのか」などと言う方向に話が進んでいそうだ。


 確かに、グッズだけ見れば、全部売れても数十億単位の赤字に対して雀の涙だ。だが、広告費を掛けずに「二木粟生井(にきあおい)鉄道」の存在を広く知ってもらえれば、今すぐ決算には上がらないが、大きな利益だ。

 僅かながらも利益が出る。

 損が出ても、全世界に向けた広告費だと割り切れば安いものだ。


 ……広報や営業が「払わずに済んだ広告費」に気付いてくれれば、やりやすくなりそうなんだけどなぁ。


 望みは薄そうだ。

 グッズ目当てでも何でもいいから、乗客が増えればいいと思うが、駅長を見た限り、萌えキャラで客寄せすることの心理的な抵抗が大きいようだ。

 なりふり構える赤字ではないのだが、これ以上どうすれば頭の固いお偉方を動かせるのか、三木には思いつかなかった。


 ニローにお礼の返信がてら、支払い方法について相談する。



 〈ニローさん、本社にご連絡下さり、ありがとうございました。

  既にご存知かと思いますが、二木あおいの中の人は、二木粟生井(にきあおい)鉄道の社員です。

  二木鉄の乗客を増やす会にも参加しています。

  個人的に作った非公式キャラですが、予想外に話が大きくなって、正直、戸惑っています。


  残念ながら、社内では年配の社員を中心に反発が強く、名乗り出られる状態ではありません。

  本社は拒否反応を示していますが、乗客数を増やす為、二木あおいの活動は可能な限り続けたいです。


  使用料は、二木あおいの活動資金に充当予定ですが、お恥ずかしい話、このような状況なので受取方法を決めかねております。

  クッキー用のイラストは、絵師に発注済みで既に完成しています。

  恐れ入りますが、何かいい方法がございましたら、お知らせいただけませんでしょうか?〉



 何とも情けない話だが、ニローに内部事情をぶっちゃけた。心配させたくないので、バレて怒鳴られた件は伏せた。

 なりふり構っていられないのは、二木鉄の赤字も三木も同じだ。


 返信を待つ間、株式会社ニコパからのダイレクトメッセージを見る。こちらは、社内のどの部署の誰の承認を得ればいいのか、と言う問合わせだった。

 噴きこぼれた鍋の火を止め、お玉で灰汁を掬って捨てながらニコパへの返信を考える。カレーのルーを割り入れ、かき混ぜていると腹が盛大に鳴った。



 〈株式会社ニコパ ご担当者様

  お問合わせいただき、恐れ入ります。


  二木あおいは非公式キャラですので、著作権は株式会社二木粟生井(にきあおい)鉄道ではなく、イラストを描いた絵師個人にあります。

  ご連絡は、キャラクターを運営するこちらのアカウントでさせていただきます。


  見本の送付先は、従前、ご連絡差し上げました通り、二木鉄本社の広報部でお願いします。

  非公式キャラですので、社名、社章、二木鉄の車輌などとの併用は、固くお断り致します。


  版権使用料につきましては、二木鉄本社にお支払い下さい。

  お支払方法などにつきましては、広報部にご確認をお願いします。

  以上、よろしくお願いします。〉



 外堀は埋めた。

 次の活性化会議は来週だ。比較的冷静だった田尾寺広報部長に声を掛け、使用料を本社で受領するように提案しようと腹を括る。


 それまでに状況がどう転ぶかわからないが、それを逃せば二度とチャンスがない気がした。

 ニコパに返信して、続けて見た「ねとにゅ~」からのダイレクトメッセージは、情報提供へのお礼だった。返礼し、ごはんとカレーを皿に盛る。スプーンを手に取ったところで、メールにダイレクトメッセージの通知が来た。

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