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83 新兵器

「さて、北方の小国についてだが、予定通り空から状況を確認して、交戦中でなければ極力相手国の王なり統治者なりに会って、交易や安全保障について話し合いたい。神国について協力を求めるなら、帝国の地方軍については、こちらも加勢する必要があるだろう」


帝都関連が一段落した後の、定例会議で北方の小国について方針を説明する。


「で、担当だがヨルンと人族数人、ケット・シーとリリパット数人の二チームで、それぞれに情報を集めて欲しい」

「分ける理由は?」

「ヨルンたちは冒険者や商人という体で、門から普通に入国して情報収集。ケット・シー組みは、現地ケット・シーや人族以外の情報を集める。定期的に情報の共有をしつつ、もし劣悪な状況で生きることを強いられた人が居れば、ダンジョン経由で救助する」


ダンジョンはある程度、危険人物を排除できるし、更にナビで敵意を確認すれば国内に不穏分子を招く事も無いだろう。


「いや、ちょっと難しいですよ。帝国の先の事情は全く分かりませんし、政情不安の中で、冒険者や商人がそんな遠くまで行きませんし」

「商人が冒険者を雇って荷を運ぶとか無いのか」

「ありますが、この辺では北に行く行商も隊商も聞きません。帝国は色々規制が厳しいですし、南町出身となればそれだけで、帝国で拘束されかねません。なのに、態々南方から帝国を超えて来ましたといって、門をくぐろうとすれば、小国でも犯罪者か何かと思われて取調べを受けますよ」


南町から帝国まで200㎞以上で北方までは更に200kmぐらいかな? そうすると大体東京神戸間・・・うん普通は意味も無く移動しないな。商人にしてもその距離を魔物や野党に怯えてまで、販路を開こうとはしないか。


「じゃあどうする」

「ケット・シーたちに探ってもらってた上で、話が通じそうなら正式に、訪ねてはどうですか」

「正式に?」

「ええ、確りとした使節団を立てて、訪問しましょう」


使節団の正使って、俺じゃないよな。ケット・シー王国なら殿下でもおかしくないけど、うちの国民じゃないし。そうなると誰だ?


「誰を正使にするんだ」

「正使を義父にして、各種族からも人員を出しましょう」

「私が正使に?」

「ええ、相手が友好的であるという前提ですが、お義父さんなら貫禄が充分ですし、なんと言ってもエルフですからね。普通は危険な荒野を超えてまで、使節団を率いて堂々と現れるとは思わないでしょう。となれば、そうした危険を退けて来訪できる大国と思うはずですから、友好的に接すれば無下には扱われないでしょう」


なるほど・・・。


「危険が無ければかまわないが、どうやって訪ねる? 歩いていくのか」

「いえ、車で。まあ、町の2㎞手前くらいまではゲートで行き、その先からですが。車は少し豪華な感じで手を加えて、服装も貴族に負けないようにしましょう」

「まあ、俺はかまわないが、クシミールはそれで良いのか?」

「もちろんですとも。たまには私もお役に立ちませんと、孫たちと遊ぶだけの爺になってしまいますからな。是非お任せください」

「わかった、ヨルンとクシミールに任せよう」



「あの作戦でよかったのか」


会議後、モーブが聞いてきたか何か問題があったろうか。


「何か問題があったか?」

「問題と言うほどではないが、豪勢な使節団をたてる国の王がどんな王かと言うのは、先方にとって気になるところじゃないか」

「? ・・・・・あ!」


もし俺が先方に行くようなことがあれば、それらしい王の姿をしなければいけないってことか。


「・・・まあ俺が行かなくても、何とかなるよな」

「まあ祈っとけ」


「武器の試作品が出来たぞ」

「どれが出来たんだ?」

「いくつか作ったが、先ずはLRADエルラッドとか言うとった装置じゃな。これは以前作ったものと似たようなものか?」


エルラッドとはLong Range Acoustic Device(長距離音響発生装置)というもので、高い指向性をもち長距離でも一直線に音を届けることが出来る。例えて言うならレーザー光の音版だろうか。災害時などの連絡手段としても使えるが、一方音響兵器としても用いられ、アメリカや日本の治安維持機構などで採用されている、非殺傷の暴徒鎮圧兵器だ。

この装置は相手の集中力を奪い、暴徒などの行動を阻害する効果がある。


「これも主に対生物用の装置で、短時間でも照射されると平衡感覚が狂ったり、気分が悪くなったりと、戦闘継続できない状態になる。更に長く当てられれば、耳や内臓が損傷する」

「ほう。そんな効果があるのか」

「聖光神国戦と戦になれば、1万対数百の戦いになりかねないからな。こちらは武器で圧倒させてもらう。この武器なら敵の武器や隊列がどうだろうと、遠距離から一方的に攻撃できるし、敵兵が死なないからかえって都合良い」

「なんでじゃ? 倒てしまわねば、敵が減らないじゃろ」 

「何十倍もの戦力差で戦うんだから、敵の士気を下げるのも大事なんだ。死んだ兵は動かないが、生きた兵は泣き、叫び、呻く。その負傷兵の救護にも人手を割かねばならないし、泣き叫ぶ負傷兵の声は周囲に恐怖を蒔くだろう」

「相変わらず発想が、えぐいのう。お主の世界は平和だったのでは無いのか?」

「俺の育った国の歴史においても、戦争は度々あったさ。俺の生まれた時代が偶々戦争していない期間だっただけで、他の国じゃあ何度もやり合ってたな。それで他の武器は?」


俺の話に、やや顔をしかめるドルトンに、他の武器の説明を促す。


「次は槍と剣じゃ、この仕組みは確かに画期的じゃが、鍛冶職人としては、少々気に食わん」

「でも、武器を使う立場からすれば悪くない工夫だろ」

「まあ確かにそうなんじゃが、穂先や刀身の換えが生えてくる槍や剣なんぞ、わしからしたら不出来を前提にされとるようで、鍛治からしたら邪道じゃ」

「それはすまないな、それで、更に邪道な俺の十字槍はどうなった」

「そっちも注文通り改良したぞ。だが、全力で打てば二発じゃ。刀身への供給とは別系統じゃから、切れ味の維持は問題ない。それとグリップエンドの仕込みもしてあるが、そっちは一回限りじゃ」

「それでも助かる」

「で、次はキジュウとかいう物じゃな。あまり弾丸数は積めないが、大丈夫か」

「それについては、飛行型の魔物用の物理武器だからな。他の武器もあれば何とかなるだろう」


前世の機銃がどのくらいの威力かも分からないし、鳥型は兎も角ドラゴンなんかだったら、かなり大口径の機銃じゃないと効果ない気がするけど、無いよりは有った方がいいはずだ。


「他の武器はお主の槍につけたものを、連射できるようにしたものだな。それでも20発ぐらいだからな。それ以上は魔力が続かんぞ。後、機体下のやつは、在庫次第じゃ」

「分かった。この後試験して、その結果次第で複製しよう」


そしてダンジョン三階の休火山エリアに、大岩や鉄板などを設置して攻撃実験を行った。機銃については朧ミスリルでコーティングした徹甲弾と炸裂弾を搭載し、用途によって切り替えを可能にしている。またミスリルコーティング弾も少量搭載しており、これらは中々の威力を見せた。


「照準をもう少し調整してくれれば、問題ないと思う」

「分かった、調整してみよう」

「それと、緊急脱出用の仕組みは出来そうか?」

「シデンに試験してもらったバックパックじゃろ、ちょうどベルトをしておるし、座席を改良して射出するようにするつもりじゃが、飛行型魔物の前で空に浮くのは危険じゃぞ」

「あくまで非常用だから、機体を捨てた後はゲートで、逃げる感じだな。そうだ、ミスリルのチェーンでスマホ用ストラップを作成できないか?」

「鎖か・・・まあやってみよう」


「んじゃ、モーブは俺にちょっとつきあってくれ、狩りで俺の武器を試したいんだ」

「わかった」



「あのトロールを狩ろう」

「よし分かった、あれなら青龍刀が良いな」

「あ、新しい武器あるぞ、使ってみるか。銘は岩融(いわとおし)といって、前世で有名な荒武者が使っていた薙刀を再現したものだ。俺も十字槍を使うが、初めに俺が遠距離攻撃するから、その後接的な」


モーブに岩融(いわとおし)を渡してやる。岩融(いわとおし)は武蔵坊弁慶が使っていた大薙刀で、刃の部分だけでも三尺五寸(105センチ)もあり、伝説の鍛治、三条宗近の作という説がある。


「これも良いな。先端だけ外して刀代わりにもなるなら、青龍刀と同じように使える。ありがたく使わせてもらおう」

「さっきも言ったが、初めに槍で遠距離攻撃するから、接近は待っててくれ」

「分かったが、槍で遠距離攻撃? 投げるのか」

「新機能だ」


トロールに20m接近した時点で気がつかれ、トロールは近くにあった樹木を引っこ抜いて振り回してくる。


「んっじゃ行くぞ、十字槍モード雷霆(ケラウノス)


次回16日です

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