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73 褒賞ダンジョンの説明

「さあ、吐いてもらおうか」


モーブの言葉と共に、皆の視線が一斉に俺に向けられる。ふ、視線が熱・・・く、無いな・・・。むしろ冷気さえ感じる冷たさかも。

そして全員から“吐け”と言わんばかりの、無言の圧力を受けて俺は口を開く。


「あ、あの・・・、どこまで再現しているかは分からないけど、一階層は前世にあった地下街を再現していると思う・・・よ」

「何故そんなことになっとる」

「神様が・・・地下の構造が何種類かあって、ダンジョンを作成する際に選べと言うので、・・・地下都市を選んだ。さらにその構造などを設定する項目になり、地下洞窟内の街や地下神殿とかもあったけど、天井が崩落しそうに見えて嫌だったから、前世の地下街に似せてもらった。店なら色々利用できるし、当初の目的でもある避難場所にもなるかなって・・・」


俺は少しびびりながらも答えを返す。地下街が作れるって聞いたら作るだろ? それに一応ゾンビとかアンデッド系の魔物は出ないって、神様に聞いて確認したんだよ。地下街にゾンビって、はまりすぎるからね。まあ、ゾンビじゃなければ普通に出るってのは、うっかりだったけどさ。


「・・・まあ、便利そうではあったな、明るいし」

「そうだな、売り物はまだ確認できていないが、街はきれいだったな」

「お主の前世が地底暮らしだったとは驚きじゃったの」


地底? あ、前世の地下街と言ったからか。


「いや、普通に地上暮らしでしたよ。地下は地上で足りない土地の代わりや、地下を走る乗り物に乗るための施設があって、その周囲に地下街があっただけです」

「・・・人が住める場所が少なかったのか?」

「少ないと言うより、人の多い所は土地に空きが無くなってしまうから、建物を高くしたり地下に広げたりしていたんだよ、人口の多い町だと・・・うちの街の土地、森を切り開いた面積で9万人位いたかな」


スマホを取り出し23区の人口と面積を、うちで切り開いた面積6k㎡と比較、世田谷に例えると9万人位居ることになる。


「9万人!?」

「それは街の人口か?国の人口は何人じゃ」

「村や町は大きくなると呼び名が変わるんだけど、特殊なケースを除いて一番人口の多いところは50万人ぐらいかな。俺がこっちに来る直前での人口は1億2千6百?・・・万位だけど正確な数字は知らない」

「「「「・・・・・・・」」」」

「よく分からんが多そうだな」

「そうですね」


あ、これ皆、数字についてこれてないな。モーブと黒足は早々に“沢山居る”って結論で納得したようだし。まあ、俺も億なんて計算上の数字でしか知らないから大差ないけどね。


「じゃあ、もう良いね? ダンジョンについては神様に急かされて設置したから、俺も設定だけで実物見てないし、詳細なんて全く分からないんだよ。魔物が出た事についても、外にでないと思っていたから、店に魔物が出る可能性を考えてなかった。俺も焦ってしまって、その上魔物に見つかったし、近くに店員が居たから、なし崩し的に戦闘になったんだよ」


結果的に俺の判断ミスだったのは確かだし、皆が心配したのも分かるけど、状況的には仕方が無かったんだよ。



「商品はどうやって供給されるんだ」

「地上のホムセンにあるテナントと同じ扱いだ。供給は無限だけど購入には現金が必要になる。その代わり持ち込んだ素材の買い取りを、してくれる場所もこの地下街にあるはずだし、買い取った素材もどこかの店で売られているはずだ」

「魔物がいましたが、ここでの戦闘に制限はありますか」

「戦闘禁止や火気厳禁等の制限は無いよ。ここは街だけどダンジョンだから、外の常識とは違うルールが適用される。この階層の中にある店は非破壊オブジェクトで何をしても壊すことができないらしい。ただ、火を使えば空気が減ったり成分が変化したりで、人体に害となることがあるから程ほどにな」


この事は店や建物が破壊されると商品が提供されなくなるのかと思って、神様に確認したさいに聞かされた。



「このリンゴ取れません」


レオノールが持ち上げようとした、リンゴが取れないと言う。日本の野菜無人販売とは違うので、本物は置いていないんだよ。


「店に陳列された商品は全てサンプルだよ。前世の食堂では料理のサンプルが展示してあったんだけど、同じようなものだな。実際には食べられないし、誤食を避けるため取ることもできない。それと椅子や食器なども、店から持ち出しできない仕掛けらしいよ」


あらゆる攻撃に耐える椅子とか、どんなものに切りつけても刃が欠けない、食事用ナイフとか、ミスリルソードを受け止める箸とか壊れ性能過ぎるので、持ち出しできないそうだ。


「ここを含めて全部で5階層になっているけど、ホムセンの商品が買えるのはこの階層だけだから、他の階層は普通にダンジョンとして魔物の素材などを調達できる」

「鋼材など大きな商品はどうやって運び出すんじゃ?」

「この階の商品は大型商品であれば、商品の代わりに召喚カードが提供される。小さいものは現物、もしくはカードのどちらかを選ぶことができる。商品の入手は外に出た後に召喚カードを使用することで現物に変わる」

「それは便利じゃな」

「だろ。他の階の魔物についても、倒した後に魔石や同様の素材のカードに変わるように設定した。これはすごいぞ、死体を捌かなくても肉や皮に切り分けたカードになっているから、持ち運びも楽だし、手間も省ける。それにカードは腐らないから肉などの鮮度を気にしなくていい」

「ほ~向こうのダンジョンより便利じゃな」

「向こうも、ダンジョンのどこかにあるコアルームで、設定すれば同じようにできるらしいぞ。これは神様情報だ」

「そうなのか」

「それと、ダンジョン内で魔物以外に危害を加えようとした場合や犯罪者などは、強制排除されるようにしてもらった。入ってきた町に戻すだけで死んだりはしないけどな。ダンジョンの私物化や他の冒険者への妨害対策としては充分だろう?」

「充分と言うか都合が良すぎるぐらいじゃ、神様はそこまでしてくれるものなのか?それと、向こうのコアルームというのは何処にあるんじゃ?」

「褒賞の受け取りを急がされたのも、神様方が何か最近色々忙しいらしくて、しばらく手を貸せないからお詫びにと、融通してくれたんだ。通常コアルームはダンジョンの最下層にあるらしいけど、俺は向こうのダンジョンについて、コアルームの場所どころか、階層数も構成も知らないよ」


褒賞までいただいているのに、恐縮されるとか、むしろ俺は驚愕したんだけどな。

しばらくの間と言うのが、どのくらいの期間だかわからないし、人間の時間感覚と違うかもしれないから数十年後か、もしくは、これがサポート終了のお知らせになるのかな。まあ、充分良くして貰ったし『これからは皆で頑張って生きます。ありがとうございました』と、礼のメールを送っておこうかな。


「魔物は階層を越えたり、ひとつの階層が魔物で埋ったりすることはあるのか」

「いや、無い。俺のダンジョンの一階層は、買い物のためにある階層だから、一階層における魔物の定数を最小数で設定してある。魔物の数が定数に達すると、その階層の魔物発生が止まるから、その状態を維持すれば良い。ホムセンに魔物が出てきたのは、一部一体化してしまったからだと思う。普通は階層毎に魔物の往来を止める、フィルターがあるらしいけど、ダンジョンが既存の施設と一体化すると、構造的に脆い場所が生まれる。その脆い部分が外と通じて、その部分にはフィルターがないので、そこから出てくることがあるんだそうだ」

「なるほど」

「魔物を殺さずに最大数を保てば、新に魔方陣から出てくることはない。魔物は自殺しないが、事故死する事はあるかもしれないから監視は必要だけどな」

「便利じゃが、完璧では無いんじゃな。ところで他の階層はどうなっとるんじゃ」

「建物があるのはこの階層だけで、二階そう・・・二階で良いか、二階は草原と森林、河川や湖がある居住に適した階、三階は休火山と森と川で平地は少ないが、鉱物資源に富んでいる。四階は陸を挟んで夏の海と冬の海に別れ、陸も夏と冬で別れている。五階は地下洞窟ダンジョンでコアルームが最深部にある」

「ダンジョン内で自給自足できそうだな」

「そうだな、そのようにデザインした。ただし、魔物は少数居るので完全に安全と言うわけでは無いぞ。街の周囲の森は限られた種の木材しか手にはいらないし、鉱物資源も豊かではないから、その穴埋めに多様な環境と豊かな植生にしてある」


この先何十年、何百年も利用されるはずだから、環境だけは整えた。俺の子孫もこの地で生きるなら、少しでも良い環境を残さないとね。


次回27日です

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