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72 出世魚みたいな?

ホムセン店舗に入るが、一見して変化は無い。ダンジョンと繋がったというがどこがつながっているのか・・・先程の電話の主にリダイヤルして再度確認する。


「もしもし、今どこに居る?魔物はどこから現れた」

『ペット用品売り場です。魔物はペット売り場のバックヤードから出てきました』

「わかった、今行く」


ペット売り場か、この異世界に来てから全く利用していない場所だな。転移後直ぐに現状確認で足を踏み入れたが、ペットが全く居なかったため、店内のペットフードやペット用品売り場は利用したが、陳列用ケージとペットの管理スペースは全く使っていなかった。


電話をくれたのは君か? 返答は小声で頼む


ペットフード棚の陰から、奥をうかがっている店員のハイ・コボルト女性に、念話で問いかける。ホムセン店舗で商品出しをしている店員は、コボルト、リリパット、エルフ、ドワーフの女性限定なので、店員のユニホームを着ていれば女性である。女性に限定している理由は、単に女性の働き口の確保のためで、俺の趣味とかでは無い。また、種族を限定している理由は、一応の区切りとして建国前後で線引きをしたためで、一部種族の優遇や、住民ランクをつけるようなものでは無い。ただ、結果論ではあるが、他の種族が店員の服装をしても、容易に偽店員と判断できるメリットがある。


「はい。商品の搬出をしていたら、物音がして・・・見たことのない魔物がその先に・・・」


店員なので、緊急連絡用に俺の携帯の電話番号を教えてあるが、緊急連絡については敬語や挨拶は一切不要、状況や連絡事項を簡潔に正確に伝えるようにと、指導していた。

俺は、無言でうむと頷き、ジェスチャーで彼女に離れるようにと指示する。

商品棚の影から覗き込んで魔物の姿を確認する。ケット・シーより少し大きいか?今は皆ハイ・コボルトになったが、進化前の大人コボルト位かな。体型というか毛並みが作るシルエットは、もっともっさりしていて、ふくよかだな。

【鑑定:目の前のもっさり】 

目の前のもっさり=ムジナ アナグマや狸に似た魔物。ムジナは、雷獣を経て鵺に至る。

日本では、ムジナをむじなと呼び、アナグマの別名であるとか、日本固有のハクビシンが正体であるという風説が信じられ、ムジナの妖怪説は迷信とされているが、少なくともこの世界において、ムジナはまご方無かたなき魔物である。


「うっそん!」

「キャワン!キャンキャン」

「あ、しまった、見つかった」


やべ、ムジナは妖怪の断言に、驚いてつい声に出して叫んでしまった。ムジナって本当に、妖怪だったのか。確か、人を襲って殺すのは少数で、主に人を化かす類の幻術を使うやつで、道を惑わすとか馬糞を饅頭に見せて食わそうとするとか、肥溜めを風呂に見せるという・・・流血は少なめだが、凄く嫌な性格をした妖怪って話だよな。加えて確かに、ムジナが雷獣らいじゅうの正体と言う話もあったし、雷獣=ぬえと言う説もあった。しかし、そうなると、目の前のこいつは強いのか? それとも今はまだ弱いのか? 出世魚みたいに成長するの?それとも「変身するたびにパワーが・・・あと2回もオレは残している」的な感じなの?くっそ、さっぱり分からん。

とりあえず、目の前のムジナの鳴き声は、小型犬のように甲高い、キャンとワンの間の感じで、言葉は通じないようだ。正直言って声を聞く限りとても弱そうに思える。そして、どうやら御食事中だったらしく、犬用ジャーキーを口に銜えている。


「キャウーーン」


ムジナが一声吠えて、俺に向ってくる。動きは普通の犬くらいだが、躊躇なく一気に距離を詰めてくる。


「やべ」


俺はとっさに近くにあった猫草が載せられた、小さな陳列台を掴んで盾にし、初撃を受け止める。だが、店員がDIYの工作事例をかねて、作成したであろう簡易な陳列台は、ムジナの攻撃を受けたことで、既に棚板を何枚か砕かれ、支柱もぶらぶらしている。くそ、やめてくれ、見ず知らずの前世の店員が作ったかもしれない、DIYっぽい陳列台が壊れてしまうじゃないか! お前はDIYに感じるものは無いのか?既に耐久値は0なんだぞ。次の攻撃で木っ端微塵に・・・・。


「召喚、十字槍」


ムジナの動きが止まった瞬簡に、俺は持っていた陳列台の残骸をムジナに投げつけてから、十字槍を召喚し構える。

くっくっく、どうやら俺の思考駄々漏れ体質に影響されて、一瞬混乱したようだが、それが貴様の運の尽き。

ムジナは十字槍をみて、騙されたと知ったのか・・・いや、今俺が騙したと自白したか。まあ、目を見開いて驚いて、すぐさま身を翻し商品棚の裏へと隠れた。


「逃がすか」


俺は直ぐに追いかけるが、ムジナの姿は再び商品棚の影に消える。追いかけ逃げられと何度か棚の周りを回る。何だ? 差別的で不適切な表現があるという理由で、後年一斉絶版になった昔の世界的童話のように、溶けてバ○ーになるまで回るのか? だが、こんなの逆回転すれば・・・あれ? 居ない。ムジナどこ行った。


「きゃあーーーー」

「あ、やば」


短い悲鳴。先程の第一発見者が襲われたと思い、駆けつけると、そこには・・・床に倒れた女性が二名、しかもどちらも同じ顔をしているぞ。


「幻術か変化能力の類か!くそっ同じ顔では見分けが付かない!一体どうすれば・・・・・・(鑑定)と、言うとでも思ってんのか? なめてんじゃ、ねえよ!」


俺は床に倒れたハイ・コボルト女性の顔・・・をした、もっさりした毛並みの体に向って、槍を振り下ろす。


「キャウン」


ほぼ犬と同じ鳴き声を一つあげて、ムジナは煙となって消える。後には魔石が残された。

 

「・・・もしかして“顔を化けても服を着て無い”なんていう、分かり安すぎる不自然さを疑って、本物に攻撃させるための罠?二重トラップ? でも、俺が見たままを信じたら普通に攻撃されるわけだし、裏の裏の裏を読むとか実際は無いよな」


ムジナの賢さがよく分からないから判断つかない。知力が高くても低くても、狡賢いやつは居るから、相手を侮ると痛い目にあう・・・とは思うんだけど、本気でアレで誤魔化せると思っていたなら・・・鑑定できたし、素材スキャンでも分かるだろうから、まあいいか。


「それで、君は怪我無いかい」

「はい。ありがとうございます。転んで少し打っただけですので、大丈夫です」


倒れた娘・・・といっても年齢は分からないが、たぶんまだ若そうな娘を助け起こしていると、複数の足音が聞こえてくる。騒ぎを聞いたもの者が応援を呼んでくれたのだろう。



「で、何か申し開きはあるか」

「えと、今説明した通りで・・・・」

「よし、無いな」

「うええ」

「起きてしまったことは仕方がない。今すべきは、急ぎ現状確認して対策をすることだ」

「そうだよ俺を『そうじゃな、店内で働く者は非戦闘員が多い。早急に対策せんといかん』・・・」

「よし、20人ほど程の調査隊をつくって、直ちにダンジョンを確認、その後堅牢な扉で入り口を塞ぐ」

「わかった、ワシは大工を手配してから探索に加わる」

「念のため腕のたつ奴を集めていこう」

「ダンジョンをとなると、調査隊の通過後に、魔物が湧くこともあります。この場の警戒も必要ですね」

「あの~」

「ここは、私が見ていますよ」

「にゃーとニャルタニャンも、ここにいるにゃ」

「殿下が居てくださるなら心強いです」

「では、ここはレオノール様とアントニャオ様にお任せいたします」

「えと、俺はいつま『あなたは、後30分はそのままです』」

「え~」

「何か不満ですか?」

「・・・いえ、おとなしく正座してます」


そりゃ、少しは“やらかした感”はあったけど、正座させられるとはな。俺さ、正座させられ程なのか? 俺、一応王様のはずなんだけどな・・・。


「いらない手間を増やしたのですから、少し反省してください」

「・・・はい」


何故思考が読める・・・って、ああああ・・・・俺は思考駄々漏れ体質だったよ。アプリで制限かけなきゃ普通に漏れるんだった。



二時間程で調査隊は戻ってきた。


「ダンジョン内で魔方陣を発見したが、どうも魔物の湧き出すポイントらしい。逆にそこを押さえておけば、この階層は安全のようだ。だが、それよりも中の作りがよくわからん」

「中の作りですか?」

「見たところ店・・・商店街のように思えた」

「いや内部の話を、今言っていても仕方がないだろ」

「そうですね、この後はどうしますか、重臣の方の判断に御任せいたします」

「じゃあ、ドルトンは出入り口を塞ぐ扉や強固な壁を作成、黒足は・・・何かあるか?俺は正坐男の膝に乗せる重石を探してくる。レオノールはそれまで、膝上待機だ」

「うえええええ」

「よし、分かった直ぐに取り掛かろう」

「自分はダンジョンの警戒用に、監視カメラを据え付けてみます」

「良いな、黒足はそれを進めてくれ」

「お、俺は・・・・うひっ」


睨まれた!モーブにめちゃくちゃ怖い顔で睨まれた。なんなん?やらかしたのは自覚してるけど、そんなに責められることなの?


今俺は、店内の片隅でレオノールを膝に乗せて向き合ってる。椅子なら良い感じの絵面だけど、正坐中なのでむちゃくちゃ痛いです。


「皆さんダンジョンが、不可抗力だったのは理解されてますけど・・・、そんなことで怒っているんじゃないんですよ・・・、もちろん私もです。あれほどダンジョンで言ったのに、真っ先に一人で駆けつけて、応援を呼びもしないで一人で魔物と戦って・・・、心配している私たちの言葉が全く届いて無いみたいじゃないですか・・・・」


あ、

ここで俺はようやく気がついた。神様と設置したダンジョンが店舗とつながったとか、その所為せいで魔物が店舗に出たとか、そんなことで怒られているんじゃなかった。ただ、俺の無鉄砲を心配して怒ってくれていたんだ。


「モーブさんだって、黒足兄さんだって、一人で突っ込むような事はしません・・・。皆大事な人が居るんです。待ってる人が居るんです・・・」

「・・・ごめん、心配かけた。もう無茶はしない」


レオノールが流す涙を顔に受けながら、心配かけたことを詫びる。

俺はレオノールを抱きしめ、そして・・・・・・何故かレオノールが固まった。

???

何だどうした?


「(どうなったにゃ)」

「(殿下、聞こえてしまいますよ)」

「(大丈夫にゃ、あの様子では気がつくはずないにゃ)」

「(ケント様は兎も角レオノール様は耳がいいんですよ)」

「(そう思うならお前らしゃべるな)」

「(若いのう)」


「・・・・・・おい、聞こえてんぞ!」


俺の声に“でばがめ”どもは、一瞬にして逃げ散った。

そして、正坐した俺と、膝の上で石化したレオノールだけが残された。


誰か助けてくれ・・・・。


※でばがめ 最近はあまり聞かなくなった、のぞき犯をさす言葉。100年以上前に女湯の、のぞき常習犯で銭湯帰りの女性を襲って殺害した犯人の名前に由来。犯人は池田亀太郎という名前の出っ歯の男で、当時その事件は犯人の名前と共に大きな話題になり、そのあだ名から「のぞきをする者」や「変質者」を指す言葉として出歯亀が広まったそうです。


次は明後日20時です


すみません

PCとタブレットで下書きしていたら、それぞれの文章書き換え部分が重複して残るという事態に

なっていまして、文章がめちゃくちゃになっておりました。

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