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64 会議継続中

「そして、殿下。地下遺跡で捕獲したゴーレムを調べたいのですが、誰か詳しい方はいますか?或いは、その方面を研究したい方でもかまいませんが」

「いるにゃ、にゃーの妹に魔道具と魔法陣を研究しているのがいるから、後でつれてくるにゃ。そういえば、牢屋の設定も分かったから、それも後で話すにゃ、既に利用しているにゃけどにゃ」


あ、やっべ忘れてた。いつの話だっけ?案外日が経ってるような・・・。


「ありがとうございます。後ほど聞かせていただきます」

「ついでじゃから、ワシからも報告じゃ。飛空船のための浮遊石が大分集まったぞ、そろそろ船体を作ろうと思うんじゃが、以前もらった図面で作って良いんじゃな」

「大型艦はあの図面を見て作ってくれ、意味不明な部分や改良案は随時受け付けるから、どしどし頼む。それと一人用の小型機も設計したので、この小型機を先に作ってくれ」

「小型機?船ではないのか?それと大きな船についてだが、あの船は浮かせておくより着地させたほうが良いぞ。風で流れるようでは危なくていかん」

「あ、うん、そのように修正してください。小型機は船と言うより飛行機なんだよ、ほらこれだ」


いきなり駄目だしされた・・・。妄想を絵にしたようなものだから仕方ないが、小型機は少し自信あるぞ。


「この小型機最大の工夫は燃料の魔石管理にある。乗員1~2名を予定してるから魔力切れの際にスムーズな交換が出来るようにした。電動バイクのバッテリーを参考にしたんだが、魔石バッテリーを2台積んで、一台消費するごとに、充電済みと差し替えるんだ。予備は乗員が魔法の袋に保持しておけばいいし、最悪交互に充電してもいいだろう」


そしてもちろん自転車だ。まあタイヤ径も小さい飾りのようなもので、プロペラ推進機が重要なのだ。地球の人力飛行機と違って、浮力を浮遊石に任せ、推進力だけ人力だ。そして、飛行機の形状にした理由は、浮力石出力調節と航空力学を取り入れた機体でグライダー飛行を可能にするためだ。


「ふむ、これがあればワシらドワーフも、空を手に出来るわけじゃな。面白い、これを先に作ろうではないか、ふっははははは」


あ、これ初めての自転車再来かもしれない。飛ばす時は正気をたもたせるようにしないと、今度こそ死にかねないな。


「私からも一点。出入りを許された商人の一人が、家族を連れての移住を希望しています。どういたしましょう」


商店街を仕切るバラルからの話だ。トラブルではないようだけど、移住の理由が分からないな。俺は殿下に視線を送り、耳が反応したのを見て質問をしてみる。


「移住?殿下、商人は素性の確かな方たちですよね」

「もちろんにゃ、以前からケット・シー王国に出入りしていた商人にゃ。ある程度財産もあるし、生活にも困っていないはずにゃよ」

「商人は、何故移住したいと言ってるんだ」

「はい。それが、この街の学校や、治安の良さを知って住みたくなったと。なんでも街で買い付けをして帰る時に、ひとりで買い物している子供を見かけたそうで、その様子を見て、この街の治安の良さと、子供の計算能力に驚き、あちこちで聞いて回った結果なのだとか」


子供?誰だろうか。というか、子供の何を聞いて回っていたんだ? 行動が不審者みたいだぞ。


「ああ、居ましたね、そんな商人が。自分、聞かれましたよ。子供はライムートだと思うんですけど、商人は『商店で計算能力が高い子供を見た、この街の子供は皆計算できるのか、それともあの子は特別なのか』や『子供一人でふらふら歩いていて事件に巻き込まれるようなことは無いのか』と、警備中に聞かれました」

「警備中に?」

「ええ、警備中です。ですから悪意は無いと思い、学校のことや事件発生数の話など聞かせました」


警備中の隊員は、それと分かる服装と腕章で、職務中の警備員であることを示している。警備中の黒足に聞くという事は、現代日本で言えば警察官に聞くようなものだ、やましい気持ちがあったらまず無理な行為だな。純粋に治安や識字率などを知りたがり、結果として住みたくなったと・・・。


「独身だと変な想像してしまうが、家族連れなら純粋に環境の良さが気に入ったんだろう。良いんじゃないか、学校に行く子供が居るかは分からないけど、細かい事は入国時に確認すればいいだろう。他には何かあったかな」

「宿屋や食堂で上がる意見としては、娯楽施設が欲しいそうです」

「娯楽?」

「まあ、住人の大半は流れ者ではなく、集落ごとの移住なので、人間の街のように一夜の快楽を求めるような歓楽街が欲しいというわけではないです。以前、モーブ様からご提案されたキャバレーやキャバクラは、現状考えうる男性向けの最大限でしょうかね。お館様やヨルン様などは、人間の町に春を売る店があるのを、ご存知と思いますが、現状、我が国においては、求めるものも少ない状況です」

「え、あ、うん。ちょっとまって、俺もモーブもそんなに深いサービスの話はしてないからね。男同士で飲むのもいいけど、ほらあるだろ、家に持ち込みたくない仕事の鬱憤うっぷんとかってさ、俺が言ったら駄目な話だけど、人は三人いれば派閥が出来るんだよ、そんな人間関係の摩擦的や日々のちょっとした事の話とか、愚痴りたくなったり、自慢したくなったりとかさ、そんな時、うまくあしらってくれる女性の店があってもいいかってなっていう、それだけの事だよ。人間界の回春については、知識として知ってるよ、ヨルンだって人間の町出身ならそういう話も聞くだろうさ、しかし知識や伝聞として知っている事と、体験しているでは全く違うからね。これはあらぬ疑いを、もたれないための説明だからね、誤解するなよ。今日は欠席しているヨルンのためにも、確り否定させてもらうぞ」 

「そうだぞ、話し方、聞き方のちょっとした違いで、全く印象が変わる。冤罪はだめだ、立場ある者としてバラルは、責任ある発言をしてくれ」

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

「・・・えっと、あ、はい、すみません。私も人族社会のことを知りもせず、聞きかじりの発言をして申し訳ありませんでした」

「誤解しないでくれよ、俺、権力で封殺するつもりとか全く無いからな。ただ、疑わしきは罰せよという間違った判断がされないように言っただけだからな」


・・・・・・・・・・・・・・・・


「え~では、話を続けます。商店街における来訪者のみならず、住民からも遊ぶ場所の要望があります」

「遊ぶってもは、どういう方向の話なんだ、もう一度誤解の無いように、求められていることを説明してくれ」

「すみません、・・・実はですね、これまで住人のほぼ100%が、休み無く働いてやっと食べていけたわけです。ですから、住人の殆どは、生きていくには休み無く働くのが、当たり前と思っておりました・・・・」

「・・・・それで?」

「しかし、この街では定休日や公休日を設け、一定数の休日を取らねばいけない決まりがあります。ところが、身に付いた生きるために働き続ける習慣から、与えられた有給や公休日を、どうすごせばいいかわからないと言いますか、お休みをいただいてもする事が無いために、一日どう過ごせばいいかわからないという事です。その上、休んでも収入は十分で、隠れて働く必要も無いので、本当に『今日はどうしよう』状態らしいのです」


・・・・・・それはまずいな。そこだけ聞くと、転職して環境が良くなった元社蓄が、休めることで逆に精神を病んいるか、或いは定年退職直後の企業戦士の言葉に聞こえる。生活に困ってないから、犯罪にはつながら無いと思うが、休むたびに精神が疲れては本末転倒だ。


「ならば、年に数回様々な、競技会を開催しよう。例えば弓の腕を競い、的当てで優勝者には褒賞を与えるとか、団体競技で勝敗を競うとかな。そうだな、初回なら国から半年~1年暮らせるぐらいの金額を賞金として出すかな。二回目三回目と階を重ねる際には出資者を募る。大会に出資すれば、その分税を免除して、出資があったことを告知する。うちは店の収入があるから税率は低いが、それでも税ではなく宣伝費になるなら、その方がいいだろう。出資者の宣伝は額に応じて、大会のパンフレットや会場に、宣伝を入れる。そして、競技の優勝者を当てる、くじも開催する。見事勝者を当てた、くじ購入者には購入数とレートによって、配当がもらえる。くじの収益の一部は、成績上位者の賞金に充当する。ここまではいいか?」

「はい」

「協議の参加者は専門職でなくてもかまわない。例えば大工仲間のチームでもいいんだ、そうやって知り合いが参加していれば、自分が参加しなくても知り合いの観戦や見学はするだろ、そしてそのうち自然に休日が消化される。運動以外にも、頭脳ゲームだっていいんだ、確か店にトランプとリバーシがあったよな、頭脳ゲームだって競うには十分だから、同じように勝者には賞金を出そう。そうやって競技人口が増えれば大会以外にも小さな試合が行われたりして、暇は潰れるだろ?」


『なるほど、それは確かに』などと言いながらバラルがメモを取る。複雑な競技の普及は難しいが、元々この世界にあったもので競えば、ハードルは低いはずだ。


「ちなみにな、俺が居た異世界でメジャーなスポーツは複数あるが、団体で行う競技としては・・・・」


この世界にあわせて、アメフト、サッカーを伝授した。それぞれ選択した理由としては、技術もだが、身体能力を必要とする競技なので、ここ世界に合いそうに思えたからだ。アメフトは防具も要るが、最低限ボ-ルがあれば遊べるしね。


「後は・・・そうだな、各種の賭博場を国営で開催するかな」

「国営でですか?」

「ああ、行き過ぎたレートによる破滅者を無くす意味も含め、国営としてそこそこのレートで遊べるギャンブルを提供する。さっきの優勝を当てるくじも同じようなものだな。もちろんのめり込めば身を持ち崩すだろうけど、数日の給金を上限ぐらいにして遊べる感じで、考えている。そして、勝手に賭博をしたりそれを主催する行為を禁止することを通達する」


森の種族だけなら不要だろうけど、人族がいるから多少なりとも、博打好きがいるだろう。放置しておけば、何れ隠れ賭博が横行して、博徒や暴力的な反社会勢力が台頭するだろうから、その前に公営として提供し、逸脱したレートによる賭博行為を禁止、捕縛の対象と定める。


「まあ、仲間内の遊びで、飲み代とか小額の小遣いをかける程度なら好きにやってくれてかまわないけどね。でもそれで継続的に生活費を稼ごうとかいうやつは捕縛対象となる」


この世界は地球とは違う。王権で全てを決める事も可能だし、暴君で無い限りその方が理解と支持を得やすい側面がある。なので、極論俺が駄目と言えば駄目なのだが、法律とまで細かくなくとも、事前に通達しておけば国民も理解しやすいし、わけ分からず捉えられることがなくなるわけだ。


「分かりました」


バラルは、会議で出た話を反芻するように何度か頷いて、自分の手帳に書き付けている。

正直、日本の、庶民に国の舵取りは重いんだけど、それでもこの世界の庶民よりは物を知っていると思い、何とか知恵を絞っている。


俺はいつか宰相を指名して、俺が楽を出来るようにしたいから、君には頑張って欲しいと思うよ。



次回9日です


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